三菱地所リアルエステートサービス株式会社

スペシャリストたちの提言 企業戦略を考える

最新コンテンツへ

アーカイブ一覧

Vol. 29 日経産業新聞フォーラム スペシャリストの智 CREカンファレンス 2021-2022・リポート ニューノーマルとは何か。
次世代の成長戦略を考える。

PART1 特別講演 ポストコロナ時代の成長戦略

早稲田大学ビジネススクール 教授

内田 和成

経営課題
  • 経営戦略
  • 投資戦略
  • ワークプレイス戦略

三菱地所リアルエステートサービスが協賛する恒例イベント「日経産業新聞フォーラム スペシャリストの智 CREカンファレンス」。1月のオンラインセミナーの第一部では、企業の競争戦略に詳しい内田和成氏が日本企業のレジリエンス(回復力)への期待と、これからの不動産ビジネスについて語った。

動きを止めない世界経済
変化にシームレスに対応する姿勢が不可欠

写真

 日本にいるだけではなかなか見えないが、グローバルなビジネスシーンは“ウィズコロナ”においても着実に動いており、世界経済もその動きに同調しつつある。日本企業もこの機を逃さず、次の時代へ向けた先行投資を怠ってはならない――『ゲーム・チェンジャーの競争戦略』などの著書をもつ内田和成氏は、日本企業のレジリエンス(回復力)を信頼しつつそう提言する。

 昨年秋に三菱地所リアルエステートサービスが実施したアンケートでも、企業の業績判断が好転していることがわかる。もちろんダメージから抜け出せない業種もあるが、一方でコロナ禍においても体力を維持できた企業は、将来に向けた先行投資に目を向けつつある。

 「日本企業は一般に目に見えているものをつくるのは得意だが、不確実なところで何かをつくりあげていくのは不得手。しかし、ポストコロナを見据える今は、人材、設備、研究開発、あるいは事業構造の変化に向けた投資は、確実な目算があるから行うのではなく、多少不確実であっても実験的に投資するぐらいの構えが必要」と内田氏は言う。

写真

 というのもコロナ禍がもたらしたニューノーマルの行動様式は、企業をめぐる環境や市場の変化にダイレクトに結びついているからだ。eコマースの利便性をこれまで以上に多くの人が実感するようになり、社会を支えるエッセンシャルワーカーの重要性に人々はあらためて気づいた。在宅勤務の定常化を通して、ワークライフバランスを真剣に考えるようになった。

 「多様な価値観を持った人々が多様なステージで多様な働き方をしていく時代。企業もまた提供する価値の多様化を図る必要がある」

 企業のCRE戦略においても同様のことが言える。内田氏が今回のカンファレンスで提言したのは「自宅・オフィス・中間形態」の3つの場をセットで考えるという発想だ。「中間形態」とは、ここではサテライトオフィスやシェアオフィスのような、自宅でも会社でもない新しいタイプのワークプレイスを言う。複数の企業が共同でリゾート地にサテライトオフィスを構えたり、シェアオフィスで他企業や地域の人々と一緒にリカレント教育を受けたりするシーンが今後当たり前になるかもしれない。

 「ここで大事なことは、オフィスの形ではなく、オフィスの哲学だ」と内田氏は強調する。

 「企業は従業員にどんなふうに働いてもらいたいか。どうすれば人々のクリエイティビティや生産性は高くなるか。もっと真剣に考え、それに応じたオフィス環境を提供しなければならない。他の会社がやっているからそれを真似するというのではなく、他社がこうならウチはこれで行く。多様なオフィス戦略を通して、企業の個性を発揮するべきだ」という。

この記事は、さらに詳しくこちらでご覧いただけます

写真
内田 和成 (うちだ かずなり)
早稲田大学ビジネススクール 教授
 東京大学工学部卒業。慶應義塾大学大学院経営管理研究科修了(MBA)。日本航空を経て、ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)へ。2000年6月から04年12月までBCG日本代表。06年「世界でもっとも有力なコンサルタントのトップ25人」(米コンサルティング・マガジン)選出。同年から現職。ビジネススクールで競争戦略論やリーダーシップ論を教える他、エグゼクティブ・プログラムでの講義や企業のリーダーシップ・トレーニングも行う。
写真
瀧口 友里奈(たきぐち ゆりな)
株式会社セント・フォース/経済キャスター
東京大学工学部アドバイザリーボード
 東京大学出身。幼少期に米国に滞在。大学在学中にセント・フォースに所属して以来、アナウンサーとして活動。「100分de名著」(NHK) 、「モーニングサテライト」(テレビ東京)、「CNNサタデーナイト」(BS朝日)、日経CNBCの番組メインキャスターを複数担当するなど、多数の番組でMC・キャスターを務め、ForbesJAPANエディターとして取材・記事執筆も行う。イノベーション・スタートアップ・テクノロジー領域を中心に、多くの経営者を取材。
ページ上部へ