トヨタ自動車の高級車ブランド「レクサス」を展開するレクサスインターナショナル。初めは「何の広告だろう?」と引き付け、イメージの広がりを感じさせながら、クルマに落とし込む質の高い動画広告を展開し、2017年度の日経電子版広告賞 クリエーティブ部門 優秀賞を受賞した。企画の意図や狙いなどについて、レクサスブランドマネジメント部 Jマーケティング室 室長の沖野 和雄氏に聞いた。
――今回の企画の意図や狙いについて聞かせてください。
レクサスはブランドシフト、つまりブランドのイメージをよりエモーショナルな方向へとシフトしようと考え、その一環でグローバルでのブランド広告を2013年から続けています。今回はその第5弾にあたり、日経電子版のビルボード動画とスマホのインリード動画を使わせていただきました。レクサスというのは、クルマのみならずお客様のライフスタイル全体に対して唯一無二の体験を提供するブランドなんだ、ということをお伝えしたくて、今回のようなクリエーティブでつくらせてもらいました。
――日経電子版にどのような点を期待されましたか。
ターゲットユーザーである、いわゆる富裕層の方々、年収800万円以上の方の含有率が明らかに高いですし、レクサスにお乗りいただきたい、ビジネスをリードする方々の含有率も高い。まさに唯一無二と言っていい媒体です。他に選びようがなく、日経電子版以外の選択肢はありませんでした。
「エクスペリエンシャル・マスターズ」と名づけさせてもらっている、我々のマーケティング上のターゲット、つまり最上の体験を求めておられる方々のことですが、そういったチャレンジ精神や豊かな経験をお持ちのお客様は、もちろん日経を読んでおられる。昨今はデジタルで情報を得られる方の比率が高いだろうと考えて、電子版を選びました。マーケティング上、輸入車ユーザーを重点ターゲットとしており、いま輸入車に乗っている方に「レクサスはこれまで自分たちが思っていたイメージとちょっと違うかもしれないな」という気付きをしていただきたいという期待もありました。
――制作の過程での留意された点や苦労された点は。
クリエーティブが非常に重要かつとても複雑なものだったので、最終的に決定するまでにずいぶん時間がかかりました。CGなので、映像品質を上げていくことにはかなり苦労しましたね。ちょっと詩的な表現になってしまいますが、モノそのものの鼓動が感じられる、ひとつひとつのプロダクトが次のプロダクトにつながる、かつお客様のライフスタイルを取り巻くようにより人間的、感情的なつながりが作り出されていく……。こんなことをCGというデジタルなもので表現していくことには、かなり苦心しました。楽曲の選択にも心を砕きましたね。よりアップテンポな案もありましたが「より感情に訴えよう」と。決して分かりやすいクリエーティブではないので、じっくり見ていただくのにベストな道を探るのには時間がかかりました。
――掲載後の効果や反響はいかがでしたか。
一連の活動としてやっているので、今回の広告の直接的な効果はなかなか測りがたいですが、他社の方から「レクサスはライフスタイル全体を質のいいものにしたい人が選ぶブランドだよね」と言われたので、我々のマーケティング活動やブランディング活動が功を奏しつつあるのかなと自負しています。クルマそのものも含めてですが、ブランドに対するイメージが変わってきているのかと思います。
ビジョナリー、オリジナリティー、エモーショナルの3つの指標を追いかけていますが、その数字は明確に上がっています。クルマを含めて全体としてご評価をいただけたかと思います。
――今後の戦略についてお聞かせください。
電子版はターゲティングができる効率的なメディア、ということで重視しています。今後はこれまで以上にカスタマージャーニーを意識して、ターゲティングもきちんとしながら、かつターゲットの現在のポジショニングに沿ったコンテンツをお届けできるようにしたいです。やはり輸入車ユーザーは牙城が固い。古今東西そうですが、輸入品には得がたいものがあります。ですからストレートに「レクサスです」と伝えても、輸入品へのあこがれも含めた潜在的なイメージの壁があります。世代によっては「輸入車の方がカッコイイ」というのもありますし。
ですから弱点を突くというか、まずは知り合うきっかけをつくらなければいけません。レクサスに関心がないお客様に対しては、いきなりクルマそのもので行くのではなく、様々なブランド活動、例えば「食」とか「匠」とか「デザイン」といった富裕層が興味を持たれている分野で我々も貢献させていただき、それらを通じて「唯一無二の体験ができるブランドなんだ」ということをお伝えしようとしています。
まだレクサスには興味がない、ファッショナブルなライフスタイルを表現するクルマではないと思われてる方々に対しては、ブランドイメージから入って「意外とレクサスって自分と趣味が合うな」「自分と同じ価値観を持っているブランドかもしれないな」というのをまず思っていただき、ちょっと懐に潜り込む、ということを地道にやっていきます。そうしないと、クルマにまでたどり着きませんので。
【掲載期間】2017年3月13日〜3月19日
制作 | デルフィス |
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