ゼニス、革新への挑戦  Episode1 優れたDNAが進化、3つのデファイへ
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時計界で長く経営手腕を振るい、昨年、ゼニス取締役会会長に就任したジャン-クロード・ビバー氏は、
かつて「ゼニスには優れたDNAがいくつも存在する」と語った。
そして「そのDNAを進化させ、未来に伝えることが私の使命だ」とも。
その言葉を「デファイ」コレクションは体現する。
150年以上にわたり進化を続けてきたゼニスのDNAが3つのデファイ(挑戦)へと進化を果たした。


このコンテンツは2018年6月に公開されました

デファイ エル・プリメロ21。フルオープンのダイヤルの下に、100分の1秒の計測を可能にする超ハイビートのクロノグラフ・ムーブメントが潜んでいる。12時位置にはクロノグラフ用の50分パワーリザーブ計を装備する

デファイ エル・プリメロ21。フルオープンのダイヤルの下に、100分の1秒の計測を可能にする超ハイビートのクロノグラフ・ムーブメントが潜んでいる。12時位置にはクロノグラフ用の50分パワーリザーブ計を装備する

超ハイビートで実現した革新 進化は裏ぶた側に潜んでいた

多くの時計ファンがゼニスと聞いて、まず思い浮かべるのはエル・プリメロであろう。誕生したのは1969年。世界初の自動巻きの一体型クロノグラフ・ムーブメントである。当時の量産型では唯一、毎秒10振動を刻むハイビートのムーブメントだった。今でもメゾンを代表する傑作として称賛されている。毎秒10振動とは、時を刻むテンプが1秒間で10往復、振動することを指す。クロノグラフの秒針も1秒間で10ステップを刻み、10分の1秒の計測が可能となる。

昨年発表された「デファイ エル・プリメロ21」は、この一体型ハイビート・クロノグラフのDNAを受け継ぐ進化形である。ビバー氏が打ち出した、フルオープン・コンセプトの斬新なデザインを採用。ダイヤルの7-8時位置に姿を見せるテンプは、既存のエル・プリメロと同じ毎秒10振動をカウントする。3時位置にはクロノグラフの30分積算計、6時位置には1秒単位の経過時間をカウントする60秒積算計を備える。これら2つの積算と時刻表示を10振動テンプが担う。

1969年に誕生したエル・プリメロを搭載するファースト・コレクションの1つ。赤いクロノグラフ秒針で、10分の1秒計測の高性能を際立たせた。3トーンのインダイヤルは、現行モデルが継承するメゾンのアイコンでもある

1969年に誕生したエル・プリメロを搭載するファースト・コレクションの1つ。赤いクロノグラフ秒針で、10分の1秒計測の高性能を際立たせた。3トーンのインダイヤルは、現行モデルが継承するメゾンのアイコンでもある

これだけであれば、エル・プリメロのレイアウト変更でしかなく、進化とはいえない。革新のキーパーツは裏ぶた側にあった。そこに第2のテンプが潜んでいたのだ。

その振動数は、なんと毎秒100振動。超ハイビートを刻むテンプはダイヤル中央に置かれたクロノグラフの針の動きを司る。プッシュボタンを押し、クロノグラフを作動させると、針は1周1秒で高速に回転、100分の1秒という計時を刻む。従来のエル・プリメロの10分の1秒と比較すると10倍も精密だ。まさにクロノグラフの革新だと言えよう。

同時に10振動テンプが担う2つのクロノグラフ積算計も、この動きに連動している。それぞれが1秒、1分単位をカウントする。2つのテンプは専用のゼンマイを動力源とするが、巻き上げは一つのローターで行っている。これは毎秒10振動と同100振動という2つのクロノグラフ機構が完璧に融合されていることを意味する。

デファイ エル・プリメロ21は一体型自動巻きのDNAも継承している。

デファイ ゼロ G。Gはグラビティ=重力の頭文字。ゼロ Gは無重力を意味する。時計精度に悪影響を与える重力に逆らわず、味方につけることで、テンプを水平に保ち、超高精度を実現する。複雑機構を有するモデルの名にふさわしい仕組みだ

デファイ ゼロ G。Gはグラビティ=重力の頭文字。ゼロ Gは無重力を意味する。時計精度に悪影響を与える重力に逆らわず、味方につけることで、テンプを水平に保ち、超高精度を実現する。複雑機構を有するモデルの名にふさわしい仕組みだ

重力を利用しテンプを水平に保つ腕時計型のマリンクロノメーター

今年のバーゼル・ワールド(時計見本市)で発表された「デファイ ゼロ G」は超高精度を実現する革新的な機構を搭載した。

ゼンマイが巻き戻る速度を正確な時のカウントに変換するテンプが常に水平に保たれる「グラビティコントロール」と名付けられた仕組みだ。ゼニス独自の複雑機構で、ダイヤルの6時位置に、その姿を見せている。

リングと(放射状に伸びる)スポークから構成されるテンプは、その中心に軸が備わる独楽(コマ)に似た形状になっている。このコマが傾くと、回転が不安定になる。テンプも水平な状態が最も精度が高くなる。

腕時計は身に着けている人の動きに応じて姿勢が変わる。それに合わせてテンプの傾きも変化する。ゼニスは、ヘリコプターやセグウェイなどで採用されているジャイロスコープ(回転儀)の構造を腕時計の仕掛けとして組み込んだ。

かつてゼニスが製作していたマリンクロノメーター。木製のボックス内に備わるジンバルに高精度なクロックを設置した。船が揺れても、時計が水平を保つ仕組みだ。どちらも12時位置にはパワーリザーブ計を備えている

かつてゼニスが製作していたマリンクロノメーター。木製のボックス内に備わるジンバルに高精度なクロックを設置した。船が揺れても、時計が水平を保つ仕組みだ。どちらも12時位置にはパワーリザーブ計を備えている

脱進機を含む調速機構全体を、垂直に交差する2つのジンバルと呼ばれる回転リング内に収め、ジンバル全体は第3のリングの中で回転するように設置した。テンプの軸の下側にウエートを置き、時計の向きが変わった際には重力に引っ張られて、ジンバルが360°回転し、水平位置を保つ。常に水平位置を保つテンプは高い精度を保持する。

このグラビティコントロールという機構もまた、ゼニスが持つ優れたDNAを継承した進化形だ。

今のようにGPSがなかった時代には、長期にわたる大航海では高精度のクロックが必要不可欠だった。出発地との時差から、現在地の経度を計算するためだ。揺れ動く船の中で高精度を得るため、時計師の先人たちは時計全体をジンバルに収めて水平を保たせた。

ゼニスは、この仕組みを持つ航海用クロック「マリンクロノメーター」の優れた作り手の1社だったのだ。

高精度のクロックの製作には高い技術が要求される。それをジンバルに設置すること自体は決して難しい作業ではない。対してテンプだけを水平に保つ、このグラビティコントロールは、ジャイロスコープで回転する調速装置に動力を伝達させるという極めて複雑な構造が必要となる。

ゼニスは高い設計力と精密加工技術で、これを実現。マリンクロノメーターのDNAを腕時計で受け継ぎ、唯一無二の高精度機構を創り出した。

10個限定で製作されたデファイ ラボはプロトタイプ的な位置づけであった。オープンダイヤルの下に見える水色のパーツがオシレーター。ケースは多孔質で軽量なアルミベースの新素材アエロナイトを初めて採用した

10個限定で製作されたデファイ ラボはプロトタイプ的な位置づけであった。オープンダイヤルの下に見える水色のパーツがオシレーター。ケースは多孔質で軽量なアルミベースの新素材アエロナイトを初めて採用した

機械式時計の歴史を一変させる先進的な高精度クロノメーター

昨秋、ゼニスはデファイ・コレクションの第2弾となるモデルを発表した。わずか10本だけが製作され、特別に販売された「デファイ ラボ」である。生産数をごく少数に絞ったのは、この時計が持つメカニズムがあまりに先進的であり、実験的だったからだ。

機械式時計は、それぞれが構造に違いはあっても、ヒゲゼンマイを備えるテンプの振動で時をカウントするという基本的な仕組みは同じ。その動きに応じる脱進機がゼンマイの巻き戻りを制御する。

ゼニス取締役会会長のジャン-クロード・ビバー氏。ゼニスの優れたDNAを進化させ、未来に伝えることが使命だと語る

ゼニス取締役会会長のジャン-クロード・ビバー氏。ゼニスの優れたDNAを進化させ、未来に伝えることが使命だと語る

この原理はオランダの物理学者クリスティアーン・ホイヘンスによる1675年の発明。ゼニスは340年以上も変わらなかった時計の調速機構に代わる新たなメカニズムを開発した。それがデファイ ラボの星をかたどるオープンダイヤルの下に姿をのぞかせる「オシレーター」(振動子)である。

時をカウントするテンプは一般的には金属製で、工作機械がいかに進化しても設計図通りに完璧には形づくれない。わずかだが、熱膨張の影響も受ける。テンプに備わるヒゲゼンマイは螺旋(らせん)状で、テンプの振動に応じる伸縮に、どうやっても偏りが生じ、精度に悪影響を及ぼす。

対して、ゼニスが発明したオシレーターはシリコン製。金属をはるかにしのぐ精密加工が可能で、コンピューターでシミュレーションした設計図通りの形を、ほぼ完璧に再現できる。ヒゲゼンマイに代わり、途中にカーブを設けた3本のビーム(板バネ)を用いているから、振動時の偏りも皆無。非常に軽量でもあるため、重力の影響も受けづらい。これを30度の角度で正確に毎秒30回振動させることで、平均日差±1秒以下という驚異の高精度を実現した。

クロノメーター懐中時計。搭載されるムーブメントは1960年に開発したCal.5011 K。権威あるスイスのヌーシャテル天文台が1967年、これまでで最も高精度なクロノメーターと認定した傑作だ。マリンクロノメーターにも使われてきた

クロノメーター懐中時計。搭載されるムーブメントは1960年に開発したCal.5011 K。権威あるスイスのヌーシャテル天文台が1967年、これまでで最も高精度なクロノメーターと認定した傑作だ。マリンクロノメーターにも使われてきた

機械式時計の歴史を一変させる極めて先進的な発明も、ゼニスのDNAの進化の帰結。それは懐中時計の時代から実に2333もの受賞実績を持つという高精度クロノメーターを開発してきたDNAである。デファイ ラボに備わるオシレーターによって、ゼニスは高精度のDNAを究極まで進化させた。

先ごろ来日したビバー氏は「オシレーターの検証試験は完了し、量産体制も整った」と断言した。ごく少数しか作られなかったデファイ ラボがレギュラーコレクションに名を連ねる日は近い。

重力を味方に、高精度を実現

デファイ ゼロ Gのテンプが、常に水平に保つ様子は、このムービーを見ると分かりやすい。
ジンバルの周囲にはリングのカーブに合わせたドーム状の歯車が4つ備わり、ゼンマイからの駆動力を伝達する構造は極めて複雑だ。

LINE UP

デファイ日本限定モデル

デファイ エル・プリメロ 21 Japan Limited

デファイ エル・プリメロ 21 Japan Limited

自動巻き。チタンケース。径44mm。
アリゲーターコーティングラバーストラップ。ラバーストラップ

各138万円

ゼニスの一体型ハイビート・クロノグラフのDNAを受け継ぎ、進化させた「デファイ エル・プリメロ21」に日本限定モデルが登場した。レギュラーモデルにはない、日本のためだけに特別に用意された色は清らかなホワイト。フルオープン・ダイヤルのチャプターリングとストラップが白でさわやかに装われている。

12時位置にある100分の1秒クロノグラフ用のパワーリザーブ計と、3本のクロノグラフ積算計針の先端にわずかに指されたレッドのコンビネーションは、まさに日本を象徴する。

ストラップの素材は2種類を用意。黒ラバーを覆う白いアリゲーターストラップのサイドに見える黒が全体をぐっと引き締める。もう一つのラバーストラップは純白。表面に施した四角い凹凸がしなやかさを生み、着け心地を快適にする。いずれもケースはチタン製。さわやかに、そして軽やかに100分の1秒クロノグラフの性能を手元でさりげなく誇れる。

価格は全て税別です。

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LVMH ウォッチ・ジュエリージャパン ゼニス ☎03-5524-6420

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