信頼できる相続・贈与に詳しい 相続税理士特集

平成の約30年間に日本人の平均寿命は延び続け、社会の状況や家族のあり方が大きく変わったにもかかわらず、民法の相続に関する条文は昭和55年(1980年)以降、大きな変更がなされていなかった。そこで昨年、約40年ぶりに高齢化などの現状に合わせた見直しを盛り込んだ民法改正が行われた。

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夫の死後も妻は自宅に住み続けられる

 長寿化によって、被相続人(亡くなった人)も相続人も高齢であるケースが増えており、特に、夫の死後に残された高齢の妻の住まいの確保や生活の保障が重要になってきている。

 それに配慮して、今回の民法改正では「配偶者短期居住権」と「配偶者居住権」が新たに設けられた。

 配偶者短期居住権は、夫が亡くなったとき、夫の所有する建物に無償で住んでいた妻が、遺産分割で建物の所有者が決まるまで、あるいは夫が亡くなってから6カ月のいずれか遅い時期まで、その建物に住み続けられる権利をいう。

 これまでも、夫の死後に妻が自宅に無償で住むことは判例で認められてきたが、今回、権利として明確化された。配偶者短期居住権は夫が亡くなったときに建物に対して自動的に発生する。この権利は相続財産ではないので、遺産分割には影響しない。

配偶者居住権で住まいと資金を確保

 夫が亡くなって妻と子が相続人となり、夫の遺産が自宅の土地・建物と預貯金というのはよくあるケース。この場合、法定相続割合で遺産を分割する際、妻が自宅に住み続けるためにその所有権を相続し、子が預貯金を相続すると、妻が相続できる預貯金が少なくなり、妻の老後の生活資金が不足するということも起こりうる。

 それを回避するために、今回の改正では建物の権利を配偶者居住権と負担付き所有権に分け、夫が亡くなった時点で同居していた妻が配偶者居住権を取得すると、終身あるいは一定期間、自宅に無償で住み続けられることとした。

 配偶者居住権が設定された居住用不動産は評価額が低くなるため、妻は不動産以外の財産をこれまでより多く相続できるようになり、老後の生活の安定を得ることにもつながる。

 配偶者居住権を第三者に主張するためには登記が必要である点には要注意だ。

 配偶者短期居住権と配偶者居住権は、2020年4月1日以後に起こる相続から適用される。

配偶者居住権の有無による違い

「おしどり贈与」が特別受益の対象外に

 婚姻期間20 年以上の夫婦のどちらかが相手に居住用の不動産等を贈与した場合、2000万円まで贈与税が非課税になる制度があり「おしどり贈与」と呼ばれたりする。

 従来は贈与した配偶者が亡くなったとき、贈与分は特別受益となり、その分贈与された配偶者が受け取れる遺産が減ったが、民法改正で贈与分が特別受益の対象外となり、贈与を受けた配偶者は、相続のときこれまでより多くの財産が受け取れるようになった。

 今回の改正で相続における配偶者の保護が強化されたが、実務的にはさまざまな注意点がある。円滑・円満な相続のためには、事前にその分野に詳しい税理士のアドバイスを受けるとよいだろう。

(ファイナンシャルプランナー 馬養雅子)

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