NIKKEI 100年の資産形成

R&Iファンド大賞受賞企業のお金のプロに聞く 今後のマーケット展望/武藤さん「プロ目線の現在の市況を聞いてみよう!」

経済や企業の動向、日々変わる社会情勢などを個人ですべて把握するのは難しい。信頼できるプロに相談する力も金融リテラシーの一つだ。ここでは、R&Iファンド大賞を受賞した投資信託の運用担当者に、自らの運用姿勢や投資すべきファンドの見極め方などを聞いた。

しんきんアセットマネジメント投信/国内株式は評価見直しも 銘柄発掘は配当がカギに

しんきんアセットマネジメント投信 運用部
主任調査役 ファンドマネージャー川村真生氏

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足元では東京証券取引所の市場改革もあり、企業の余剰資産を研究・設備投資、自社株買いへ向ける動きが活発だ。資本利益率の向上や企業の成長期待とともに、国内株式全体の評価見直しもあるのではないかと注目している。原材料やエネルギー価格高騰の影響も懸念されたが、価格転嫁を進められた高付加価値企業などは高いパフォーマンスを見せた。今後は新型コロナウイルス禍の収束によるインバウンド(訪日外国人)復活などが日本経済の追い風になるだろう。

優れた投資先の銘柄の発掘では、配当も一つの指標になる。配当利回りの高さは利益見通しに対する企業の自信の表れだ。ただし、高配当が一時的なケースもあるため、ファンド運用では強固な財務基盤や安定した業績といった様々な視点から、高い配当利回りの維持が期待できる企業の見極めを行っている。

信用金庫業界の特色は「Face To Face」のサービスにある。今後も販売員向けのセミナーなどを通じて対応の質を高め、お客様の中長期的な資産形成に貢献していく。

三井住友トラスト・アセットマネジメント/国際分散投資に注目 リスク要因に対応した商品選びを

三井住友トラスト・アセットマネジメント アクティブ運用部
マルチ戦略運用ユニット マルチアセット運用チーム長濵地健太郎氏

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ここ1年はインフレが加速し、世界的に金融引き締めの流れが強まったことで、株式をはじめマーケットは軟調に推移した。リスク要因に対応するための柔軟なポートフォリオ運用、国際分散投資の視点はより重要となるだろう。欧米を中心とした各国中央銀行の金融政策、国際的な紛争などの影響がどのように波及するか、資産クラスごとの見極めが求められる。

個人の資産形成においては物価高や円安を念頭に、株式・債券などのなかでもインフレへの対応が期待できる銘柄のほか、外貨を含む海外資産も視野に入れたい。市況を反映した投資をするなら複数の地域や資産への幅広い分散投資をするマルチアセットを検討するのも一つの選択肢だ。世界経済の成長を享受すると同時に予期せぬリスクの影響を軽減させることで、長期的に安定した収益の獲得が期待できると考えている。今後は我々専門家からも、商品選びや保有継続の判断に役立つ情報を動画配信やSNS(交流サイト)なども交えて、わかりやすく伝えていくつもりだ。

インベスコ・アセット・マネジメント/変動激しい株式市場 王道を追求した厳選投資が重要

インベスコ 英国法人 グローバル株式運用ヘッド スティーブン・アネス氏

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今後の株式市場は、インフレや各国中央銀行の動向、景気減速への懸念などから、引き続き変動の激しい展開が続くと予想される。

現在の世界株式指数の予想株価収益率は長期平均と同程度であり、世界株式全体でみると割安とはいえない。

また、異例の超低金利環境下で、2011~21年にはグロース(成長)株、バリュー(割安)株が株価を押し上げた。このような株価上昇は、今後起きる可能性は低いと考える。

こうした状況下で個人が資産形成で成功するためには、特定の市場やテーマなどに絞るべきではない。世界株式全体を投資対象にしつつ、ボトムアップ・アプローチによる徹底した企業調査を行い、「株式投資の王道」、すなわち「成長」「配当」「割安」の3つの観点に着目して銘柄に厳選投資することを検討するのも一つの手だ。

この「株式投資の王道」を用いた投資については、ウェブに動画やレポートを用いて情報を発信しており、本も出版した。是非参考にしてほしい。

HSBCアセットマネジメント/不透明な環境で強みを発揮 幅広い資産への国際分散投資

HSBCアセットマネジメント HSBC世界資産選抜 運用責任者ケイト・モリッシー氏

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2022年はインフレと金利上昇で株式や債券にとって困難な投資環境だったが、コモディティー(商品)やインフラ関連資産は相対的に堅調な動きを見せた。今後は欧米で景気後退の可能性が高まる一方、堅調な成長を続けるアジア地域を中心に、新たな投資機会が生まれると見込む。

このような環境下では、「HSBC世界資産選抜 収穫コース(予想分配金提示型)」が実践する幅広い資産、地域への国際分散投資が強みを発揮すると考える。具体的には、財務体質が強固な企業の社債への選別投資や景気に左右されにくいインフラ関連資産の組み入れで景気後退に備える。加えて、景気見通しが良好で、金融引き締めも緩やかな新興国の株式・債券への投資がリターン向上に貢献し、長期運用において最良な選択の一つといえるだろう。

HSBCグループは少額投資非課税制度(NISA)のモデルとなった個人貯蓄口座(ISA)が普及する英国で、個人の資産形成意識の浸透に大きな役割を果たしている。その経験を生かした運用サポートを継続していく。

※「R&Iファンド大賞」は、R&Iが信頼し得ると判断した過去のデータに基づく参考情報(ただし、その正確性及び完全性につきR&Iが保証するものではありません)の提供を目的としています。本特集では特定商品の購入、売却、保有を推奨、又は将来のパフォーマンスを保証するものではありません。

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R&Iファンド大賞2023とは

今回話を聞いた運用会社4社(しんきんアセットマネジメント投信、三井住友トラスト・アセットマネジメント、インベスコ・アセット・マネジメント、HSBCアセットマネジメント)はいずれも「R&I ファンド大賞2023」を受賞している。同賞は格付投資情報センター(R&I)が優れた運用実績をあげたファンドを表彰するもの。第三者の立場から純粋な運用実績による定量評価のみで選んでおり、多くの資産運用関係者に広く認知されている。

詳しくはR&I公式ホームページで