NIKKEI 100年の資産形成

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マーケットのプロが語る ウィズコロナ時代の今年の展望

UPDATE:2021.01.01(Fri.)

 新型コロナウイルスの感染拡大が相場を騒がせた2020年。今回のコロナ禍における一連の株式市場の動きや、これからの展望を投資のプロはどう考えているのか。資産形成のヒントを探るべく、「現状」と「今後」について運用会社のアナリストや運用担当者にそれぞれ聞いた。

「ESG投資」
ポストコロナ時代の資産運用の進路

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岩永 泰典
アムンディ・ジャパン
チーフ・レスポンシブル・インベストメント・オフィサー

 欧州などでは達成すべき課題や情報開示の在り方が明確に定義され、なおかつ一定の強制力を持つ中で、企業と機関投資家はそれぞれの立場でESGに取り組んでいる。一方、日本では、各当事者が周囲の状況をうかがいつつ行動している状況だ。例えば、企業は気候変動が自社のビジネスに与える影響についての認識を深めているが、情報開示の具体的な取り組みはまだ試行錯誤。機関投資家も、企業が発信するESG関連の情報をどう投資判断につなげていくか、ようやく具体的に考え始めるようになった段階だ。とはいえ、日本のESGも今、大きな変化の時を迎えている。新型コロナウイルスの感染拡大で、企業では従業員やその家族の健康が危機にさらされ、自社のビジネスモデルや働き方を見直すことになった。運用の世界でも、これまでとは質の異なるリスクに対処しなければならない現実を突きつけられた。菅首相が「2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指す」と宣言したことも、日本におけるESG経営、ないしは投資の普及を加速させる原動力になると期待している。

詳しくは、日経電子版広告特集「ポストコロナ時代の資産運用とESG」をご覧ください。

特需でなく普遍的な需要としての
ヘルスケアやテクノロジー関連に注目

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岡田 章昌
アライアンス・バーンスタイン 運用戦略部
シニア・インベストメント・ストラテジスト

 2020年の米国株式市場では、生活必需品やインフラ関連といった本来であれば景気動向に左右されにくいディフェンシブ株が落ち込み、代わりにテクノロジー株が上昇するという現象が起きた。IT企業が提供するスマートフォンのアプリや動画配信サービスなどが身近な存在となったほか、買い物や会議のオンライン化がコロナ下で一気に加速したことが背景にある。

 テクノロジーがもたらす社会構造の変化に柔軟に対応していかなければ、持続的な利益を出せないことがコロナ下でより明確になったと感じる。今後の投資先企業の見極めでは、私たちがかねてポイントとしてきた、長期的な成長に必要なESGの観点を持っているかどうかがさらに重要になるだろう。一時の流行ではなく、社会の普遍的な需要に応え持続的に成長する企業に注目する私たちの運用方針に変わりはない。例えばヘルスケアは今でこそ新型コロナウイルスの影響により一部で特需が発生しているが、もともと世界的な高齢化もあり、中長期的な成長が期待できる分野である。テクノロジー関連とともに2021年以降の株式市場をけん引していくだろう。

本来の姿を取り戻す世界経済
通信インフラ関連企業に期待感

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田中 芳洋
auアセットマネジメント
資産運用部長

 2020年の市場は、新型コロナウイルスの感染拡大により大荒れの展開となった。その中で最も特徴的だった動きは、経済全体が落ち込む中で、通信やそれを取り巻く革新的技術を保有する企業が際立った成長を遂げていたことだ。元々5G(第5世代移動通信システム)によるネットワークデジタル分野におけるイノベーションは、主に供給サイドから経済産業構造に大きな変革をもたらすと予想されていた。しかし、ウイルスの流行により、むしろ足元では需要サイドから変革が加速することとなっている。

 2021年は、新型コロナウイルスワクチン接種や治療方法の確立により、世界経済は徐々に本来の姿を取り戻していくだろう。但し、パンデミックショックからの回復は一朝一夕にはいかず、経済・市場や各企業は、引き続きウイルスとの付き合い方を模索していくことと思われる。こうした中、産業や私たちの生活全体を変革するような通信関連サービス、そしてそれを支える通信インフラ関連企業が引き続き大きな成長を遂げるだろう。

市場環境を見ながら
機動的な運用を

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前野 達志
岡三アセットマネジメント
投資情報部 シニアストラテジスト

 2020年は言うまでもなく、新型コロナウイルス一色の1年だった。世界の経済はコロナの影響から回復できているかというと、まだ心もとない状況だ。とはいえ21年からは、株価だけでなく景気も徐々に回復していくとみられる。一度、景気回復が始まれば2年ほどは拡大が続く予想だが、一つの節目はコロナのワクチンが完成し、広く実用化されるあたり。そこまでは悲観的になる必要はないだろう。

 なお最近の傾向を見ると、従来のように株式と債券への配分を固定した分散投資は厳しい状況であることも知っておきたい。「日本株式25%・米国株式25%・日本国債25%・米国国債25%」に分散投資するポートフォリオの5年間のリターンを見ると、ここ数年、頭打ちになっているというデータもある。

 そこで大切なのは、資産配分を機動的に変更するマルチアセットの運用だ。マルチアセットは市場環境を見ながら株式や債券などの比率を調整する、機動的な運用が特徴。コロナ下でも、マルチアセット運用を行う一部のファンドのパフォーマンスは良好だと聞いている。資産配分を常に一定に保つ分散投資は、今後厳しくなるのではないか。

テレワーク、巣ごもり需要、5G関連が
好調のほか、ESG投資が世界の潮流に

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上野 裕之
三井住友トラスト・アセットマネジメント
チーフストラテジスト

 2020年は新型コロナウイルスの影響で2月から3月にかけて株価は大きく下落したが、以降は実体経済の回復に先んじて上昇、日経平均株価は29年ぶりの高値を回復した。期待されるワクチンの実用化も、安全性や有効性がまだはっきりとわからない状態だが、株価は想定以上に経済の正常化を先取りしつつある。企業業績においても、2020年前半は業績予想の下方修正が目立ったが、足元では上方修正を行う企業が増えている。実体経済の回復はまだ見通しがつかない部分もあるが、投資環境としては悪くない。2021年以降については、足元の業績が好調なテレワークや巣ごもり需要関連に加え、5Gなどの次世代通信関連は今後も成長が期待できるだろう。マーケットでは菅首相の2050年カーボンニュートラル宣言やバイデン氏の大統領正式就任が後押しになり、ESGも世界の潮流になりそうだ。ESGの視点は投資だけでなく、個人の消費意識にも浸透していくのではないか。

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