NIKKEI 100年の資産形成

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いま改めて考える! コロナ禍での資産形成

UPDATE:2020.07.14(Tue.)

 新型コロナウイルスの感染拡大は株式市場にも大きな影響を与えた。その後は一時的な調整を経て急回復したものの、今回の大きな変動に戸惑う個人投資家も多いだろう。しかし資産形成では、こうした価格の変動リスクを軽減できる方法がある。今回のコロナショックを機に、改めて投資との向き合い方を考えてみたい。

 新型コロナウイルスの感染拡大は株式市場にも大きな影響を与えた。その後は一時的な調整を経て急回復したものの、今回の大きな変動に戸惑う個人投資家も多いだろう。しかし資産形成では、こうした価格の変動リスクを軽減できる方法がある。今回のコロナショックを機に、改めて投資との向き合い方を考えてみたい。

Part1
「相場は見ない」が重要
投資信託でコツコツ積み立て投資を

投資のリスクを軽減する
「資産分散」「時間分散」

 新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)で世界の株式市場は一時、歴史的な急落をした。長期の資産形成を行っている人や、これから資産運用を始めようと思っている人は不安を抱いているかもしれない。長期資産運用のサポートを専門とするファイナンシャルスタンダードの福田猛氏は「そもそも『相場を見る』ことが間違い」だと話す。

 相場が上昇している局面はいいが、今回のコロナショックのように下落時はどうしても不安になってしまうのが人の心理。そのため「長期の資産運用を前提としていたにもかかわらず、途中で投資をやめてしまう人も多い」(同氏)という。将来の目標をきちんと見据え、淡々と投資を続けることが重要だ。

 ただ、投資にリスクはつきもの。とりわけ価格変動などのリスクに個人投資家はどう向き合えばいいか。その方法として、福田氏は「資産分散」と「時間分散」を挙げる。

資産分散と時間分散

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 資産分散とは、国内外の株や債券など複数の資産に分散して投資する方法だ。投資の世界には「卵は1つのカゴに盛るな」という有名な格言がある。卵を複数のカゴに分けておけば、そのうち1つのカゴを落としたとしてもほかのカゴに入っている卵は影響を受けずに済む。投資する資産を分けておくことで、リスクを軽減できる。資産形成で利用される機会の多い投資信託は、1つの商品を通じて多数の株式や債券に間接的に投資を行うため、資産分散の効果が得やすい。特に各国の株式に投資できる商品であれば、世界の経済発展と共に、自分の資産を増やしていける。

投資信託の仕組み

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 一方、時間分散は、投資するタイミングを分散する方法だ。買う時期をずらすことで、投資対象の一時的な値動きに左右されることなく、平均購入価格を平準化させられる。時間分散のポイントは、毎回一定額を購入すること。価格が変動する金融商品を毎回一定の金額で買い続けることで、価格が低い局面では購入量が多くなる。今回のコロナショックのような相場の暴落局面では量をたくさん購入できるため、今後相場が回復したときは運用結果が大きくプラスに転じることになる。

 毎月1万円の積み立て投資を10年間継続した場合を考えてみる(投資金額120万円)。もし1万円の商品の価格が7年後に2000円まで下がったとしても、10年目に5000円まで回復すれば、最終的な運用成績は139万円に。つまり10年目に元の1万円まで価格が戻らなくても投資元本を上回る運用成績を得ることができるのだ。このように長期の積み立て投資で相場急落による元本割れのリスクを抑えられる。「リスクと向き合う正しい方法を理解していれば、急激な相場下落も乗り越えられる」(福田氏)という。

積み立て投資の効果
(下がったときに量をたくさん買える)

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コロナ禍で利用者数が急増
オンライン活用も検討

 資産形成を検討している人の中には目標がまだ定まっておらず、どういった種類の商品に投資していいのか分からない人も多いだろう。それであれば金融機関が提供しているロボアドバイザーサービスなどの活用も手段の一つだ。ロボアドバイザーなら簡単な質問に答えるだけで、自身に合った「投資信託の組み合わせ(ポートフォリオ)」まで提案してくれる。

 また現在はインターネットを通じて、資産形成を始めるための選択肢も増えている。例えばコロナ禍で利用者数が急増したネット証券などは「時間・場所を選ばない」「自分で好きな商品を選ぶことができる」「スマホ・PC・タブレットなど、デバイスを選ばずスムーズな取引ができる」といったメリットがある。さらに、コロナ禍で行動が制限される場面においても、疑問点があればオンラインチャットですぐに問い合わせも可能だ。顧客に信託報酬の一部を還元するサービスを提供していたり、購入手数料を無料にしている金融機関もあり、個人の資産形成を促す環境は着々と整えられつつある。