NIKKEI 100年の資産形成

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資産形成スペシャリストインタビュー 資産形成の新しい考え方「自分自身も大きな資産」〜人生100年時代の「資産」とは?

UPDATE:2020.07.02(Thu.)

MUFG資産形成研究所長

正岡 利之氏

 人生100年時代といわれ、老後を見据えた資産形成がますます重要になっている現代において、改めて押さえておきたいのが「そもそも資産とは何か」ということだ。長年にわたり年金や投資信託の運用業務に携わり、現在は金融教育に関する調査研究やセミナー講師を担当する、MUFG資産形成研究所長の正岡利之氏に話を聞いた。

働く力も資産となりうる

 自分にとっての「資産」と聞くと、預貯金や株式、投資信託などの「金融資産」をイメージする方も多いのではないでしょうか。しかし、私は働く力なども資産の一つであると考えています。

 例えば、私たちは資金を有価証券などに投資することで、金融資産全体を増やそうとします。これが言わば、資産運用ということです。それと同様に、私たちは働くことによって給料などの収入を得ています。将来稼げるキャッシュフローを金融資産に見立てて、人的資本と呼ぶことがあります。これら金融資産と人的資本の合計が、自分たちの持っている資産だと言えるのではないでしょうか。

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 一般的に若い方ほど働く期間は長くなるため、将来的に得られる収入の現在価値、つまり人的資本も大きくなります。若いうちは、保有している金融資産よりも、人的資本の比率のほうが高いという方が多いのではないでしょうか。一方で働いて収入を得る期間が短くなる、つまりは年齢を重ねるほど、人的資本の相対的な比率は小さくなっていきます。

 このように自分の資産を金融資産と人的資本の合算で考えると、若い世代はこれから働くことによって得られる収入に期待できる分、現在保有している金融資産については、投資のリスクも取りやすくなります。併せて、時間を味方に付けることで長期的に相場が上昇するための期間を十分に持てるという、長期投資のメリットも享受しやすいわけです。

人的資本の豊富な若年層は、現在保有している金融資産に対してリスクが取れる

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人的資本の元手となる健康にも気を遣う

 投資によって金融資産を増やすのはもちろん、若いうちから人的資本を高めていくことも大切です。では、人的資本を高めるためには何が必要か。

 仕事をする上での自分自身の価値を高めることになるわけですが、例えば、外国語や資格の勉強といった新たな知識の吸収や、他者との交流が価値を高めるきっかけになるかもしれません。人によっては仕事のやりがいに重きを置いて、好きな領域での専門性を磨くことで価値を高めようとする方もいるでしょう。

 いずれにせよ、人的資本の元手となるのは、自分自身の健康です。つまり人的資本を充実させるためには、資産管理と同様に健康管理にも気を遣わなければなりません。金融資産は投資先によって元本が増えたり減ったりするリスクがあるわけですが、人的資本も同様に、健康を害することで今後の収入が減るリスクがあることも考慮しなければならないでしょう。

話をする正岡氏の写真

資産形成は目的から始まる

 一方で、金融資産を増やしていく、要するに資産形成をする上では、その目的を自分なりに考えておくことが大切だと言えます。

 毎日の値動きをチェックして、短期的なお金もうけに楽しみを見いだせる方はそれでも良いのでしょう。しかし資産形成を行う目的は多くの場合、将来の自分の生活を助けるためではないでしょうか。そのためにもまずは、将来の自分の生活をイメージしてみましょう。将来の収入をどの程度見込むのか、自分はどういった生活を実現したいのか、また何に重きを置いたお金の使い方をしたいのか、そのためにいくら必要なのかなど、自分なりに整理しておくことが大切です。

 そして長期の資産形成をするに当たっては、現預金として保有しておく以外にも、株式や投資信託などにも資産を分散してお金を増やしておくことが大切だと言えます。特に投資信託であれば、どなたでも比較的少額から始めることができます。また「積立」という方法を利用することで、いま手元にある預貯金から一度にまとまったお金を投資に回さなくても、毎月の収入から少しずつ投資資産を増やしていくことができるでしょう。

 最近ではNISAやiDeCoなどの非課税制度も充実し、長期的な資産形成を実施しやすい環境にあります。人的資本を充実させるために、自分自身に投資しながら働くのと同時に、つみたて投資の制度を活用して投資信託などに投資することで、金融資産にも働いてもらうことを考えていきましょう。

 定期的な健康診断が大切であるように、資産形成も定期的にケアすることが必要だと思います。

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正岡 利之
MUFG資産形成研究所長
1982年、三菱信託銀行(現三菱UFJ信託銀行)入社。主に年金や投資信託を中心に、商品組成と運用、運用業務の経営戦略など、幅広く資産運用業務に従事。2015年から同社で金融教育に関する調査研究やセミナーを担当。18年8月より現職。日本証券アナリスト協会検定会員、宅地建物取引士資格取得、行動経済学会会員。
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