ロボットクリエイター/ロボ・ガレージ 代表取締役/東京大学先端科学技術研究センター特任准教授

高橋智隆氏

社会に受け入れられてこそ、
モノの存在価値は生まれる

日本を代表するロボットクリエイター高橋智隆氏は、研究、設計、デザインから部品加工やプログラミングまで行う。ロボットを開発する過程で実感した、技術の進化に必要な条件、社会で生きる技術とは。

高橋智隆氏

自らが未来の基点になる

 これまで数多くのロボットを世に送り出してきましたが、技術的に優れていることと、消費者や社会が受け入れてくれることは必ずしもイコールではありません。だから「研究」だけではその先がない。多くの人に使ってもらうことで初めて使い方が生まれ、新たな技術課題が見えてくるのです。

 そのために最も重要なのは、ビジネスモデルも含めた「デザイン力」だと思っています。独自技術と、既存の技術や部材を集め、それらをどうまとめあげるか。そして単にモノをつくるだけではなく、誰に届け、社会の中でどういう立ち位置になっていくのかまで描いていかないと、普及しません。

 あとは、自分の持てるアイデアを形にし、全力でリソースをつぎ込み続けられる「体力」。困難に負けずやり続けることで、人も技術も社会も、前に進む。環境や仕組みのお膳立てを待っていては、何も変わらない。自ら動くことで波紋が広がり、外的要因さえも切り崩していける。〝自らが未来の基点になる〟という信念を持ち続けることが重要です。

 目指している方向が間違っていなければ、継続することで、いつか閾値(しきいち:限界値、臨界値)を超える瞬間が来る。皆がその技術を理解し、日常の中に取り入れ始めるのです。そのためには、今の生活様式や価値観から飛躍し過ぎない未来のステップを順次提示し続け、保守的な我々消費者をスムーズに未来へと導いていくことが不可欠なのです。

コミュニケーションロボットを
スマホに代わる情報端末に

 目指すは「スマホの未来がロボット」。小型コミュニケーションロボットを、スマホにとって代わる情報端末として普及させることが目標です。10年前、誕生したばかりのスマホは性能的にまだまだ未完成で、我々はガラケーとスマホの両方を持ち歩いていました。やがて、スマホの洗練に伴い、ガラケーを解約してしまいます。そろそろスマホとロボット電話の2台持ち、やがてはロボット電話1台が全てのコミュニケーション端末になる時代を生み出したい。ガラケーは固定電話を移動通信端末に変え、スマホはインターネット接続を加えました。ロボットはそこに、愛着や信頼をプラスすることができるのです。ロボット開発を通じ、社会の変革に自分が関わっていく、とても大きな挑戦です。

 誰しも若い時は、目標の大きさと自身の実力との乖離(かいり)に思い悩むこともあるでしょう。でも自ら手を動かして、少しずつ形にしていけばいい。「どうしようもない大人の事情」と「ちょっと押せば何とかなりそうなこと」を見極めて、自分の力量でやれることをやっていく。すると、自らは成長し、さらに周囲を巻き込んでいくようになり、徐々に大きな目標に挑んでいけるようになるのです。だから今、自分にできる最大限をアウトプットし続けることが大切だと信じています。

「高速も渋滞も、
安心して任せられる」
(高橋智隆氏)

スカイライン

 新型スカイラインが、今秋、発売を開始した。世界初の運転支援システム「プロパイロット2.0」を高橋氏が体験した。

 長年、ロボット開発を行う中で気づいたことの一つが、人間の認知能力の限界です。特に、交通事故原因の多くを占めるのは〝人為的なミス〟という現実があります。人間にはロボットにない優れた能力がある一方、大きく劣る面がある。だから人間をサポートする自動運転は絶対に有効だと思っています。

 今回、プロパイロット2.0の試乗で最も驚きとメリットを感じたのは、少し混雑した高速道路です。高速走行でのハンズオフも非常に快適で安心感がありましたが、中でも特にメリットを感じたのは混雑時です。前後のクルマとの車間も狭いため、試乗前は少なからず不安に感じていたのですが、実際にしばらく運転してみると安心して任せることができた。こうした高度な制御技術の市販化は、自分たちの向かっている方向を信じ、継続して、しぶとくやり続けてきたからこそ。今後、多くのドライバーがこの技術を体験することで、普及も加速し、それがまた進化を後押しするはずです。

高速も渋滞も、安心して任せられる

ちょっと混んでいる時がいい

「最近は渋滞が嫌でクルマに乗りたくない時もあります。首都高などの都市高速でちょっと混んでいる時にプロパイロット2.0は使い勝手がいい。渋滞の中、〝少しでも前に進もう〟としてさらに疲れてしまうのですが、プロパイロット2.0を作動させておけばそんな気も起こらなくなりますね。任せる時には任せられるのが自動運転の良さ。運転の意識が変わります」(「」は高橋氏、以下同)

東京から関西までの移動も
これなら楽

「僕にとってクルマはプライバシーの保てる空間。人混みが苦手だから、移動の基本は自動車なんです。たまに東京から京都までクルマで行くこともありますが、これならとても楽。ハンズオフはすごくいいと思います。車線が消えかかっている所でも、地図データによって正確に走行できることにも納得しました」

※あくまで運転支援システムであり、安全運転を行う責任はドライバーにあります。
※ハンズオフは、ドライバーが常に前方に注意して状況に応じて直ちにハンドルを確実に操作できる状態にある限りにおいて可能です。
※ドライバーの判断と操作で、車線変更や追い越しをすることも可能です。

全方位運転支援技術

全方位運転支援技術

 交通事故ゼロのビジョンに向け、20年以上にわたり運転支援技術の開発に取り組んできた日産。その過程で生まれた数々の世界初技術を統合し、自車を取り巻く危険から「クルマが人を守る」という全方位予防安全の構築を経て、プロパイロット2.0が実現した。

※記事は2019年11月8日のものです。
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高橋智隆氏

プロフィル高橋智隆氏(たかはし・ともたか)

1975年生まれ。2003年京都大学工学部卒業と同時に「ロボ・ガレージ」を創業し同大学内入居ベンチャー第1号となる。代表作にロボット電話「ロボホン」、ロボット宇宙飛行士「キロボ」、デアゴスティーニ「週刊ロビ」、グランドキャニオン登頂「エボルタ」など。ロボカップ世界大会5年連続優勝。米TIME誌「2004年の発明」、ポピュラーサイエンス誌「未来を変える33人」に選定。開発したロボットによる4つのギネス世界記録を保持。

「プロパイロット2.0 試乗映像」

▼プロパイロット 2.0の詳細はこちら

http://www2.nissan.co.jp/SP/
SKYLINE/PROPILOT2/

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