指揮者
佐渡裕氏
佐渡裕氏は、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団はじめ国内外の一流オーケストラを毎年多数指揮。ウイーンと日本を拠点に活躍する。また、20年間指揮し続けてきた「1万人の第九」でも知られる佐渡流の原点とは、新しい生活様式の中で目指す未来とは――。佐渡氏が熱く語った。
衣装協力/Utsubo Stock、PINCTADA
指揮者というと、オーケストラを指揮棒一本で意のままに動かし、支配しているかのように思われがちですが、僕はリーダーであっても支配者ではありません。
一流オーケストラの場合、全員が幼い頃から神童と呼ばれ、高い技術を持ったトップ演奏者です。考え方だけでなく国も言葉も異なることが多い。だからこそ指揮者に求められるのは、オーケストラへの技術的アドバイスではなく、彼ら個々の考えをリスペクトしながらも、指揮者にしかできない俯瞰(ふかん)的視点で、今何を指摘すべきかを判断し、気づかせ導くことです。彼らの音楽的想像力を解放し、オーケストラを一つの川の流れにのせて新たに組み上げていくことが役割です。
どうすれば、オーケストラがより素晴らしい音楽を生み出せるか分かれば苦労はありません。ただ、テンポの設定は非常に重要な要素だと感じています。ベートーベン「運命」の冒頭は「ジャジャジャジャーン」だったり、「ジャッ・ジャッ・ジャッ・ジャーン」だったり、指揮者によってテンポは様々です。オーケストラの醍醐味の一つはその人数の多さであり、ピアノ独奏などと違って、演奏者が100人いれば100人それぞれに音の速さが違うので、それをどう合わせ、スリリングな音楽にしていくのか――。
演奏者は、まず指揮者の体の動きなど視覚的合図でテンポやタイミングを判断した後、聴覚で確認して音を合わせていきます。でも僕は、指揮棒をどう振って楽譜の「点」を皆に見せるかではなく、まるで呼吸をするように、互いの「気」のやり取りで指揮をするのがいい指揮者だと思っています。
指揮者も演奏者も観客も、一人一人の人間です。それぞれ異なる背景を持った人々が集まり、心を通じ合わせながら空気の振動を共に感じることが面白い。「共に創造する幸福感」と「人間が好き」、それが僕の指揮の原点です。
世界初の運転支援システム「プロパイロット2.0」。高速道路の同一車線を走行中には、制限速度を上限にハンズオフ(※1)が可能となる。さらに運転支援システムがナビ情報と連動して作動することにより、スカイラインはドライバーとコミュニケーションをとりながら、車種変更や道路分岐なども含め、高速道路出口に向けた走行をドライバーと共に行う。
ドライバーは、メーター内のアニメーションや、ブルー/グリーン/ホワイトといったカラーリングで、プロパイロット2.0の作動状態を瞬時に確認できる。交通の流れを読みながら、最先端システムを操る新しいドライビングを楽しめる。
プロパイロット2.0の作動で触るボタンは2つくらい。一方、走りは、設定一つですごくスポーティーになったり、自分にぴったりのセッティングにできたり。車線変更を積極的にするかしないかまで設定できることには驚きました。「はい、自分で運転」「はい、クルマにサポートさせる」というように、自分の意のままに瞬時に自由自在に操れる。まるでクルマと対話しているように運転でき、しかもドライブのリーダーはあくまでも自分。それが本当に面白かったですね。
若い頃には安い中古のマニュアル車を買って走り回っていた大のクルマ好き。今でもクルマは思い通りに操りたいタイプです。ハンズオフなどを今回体験するまでは、クルマの言う通りに運転しなければならないのでは……と懸念していました。ボタンを押したら「あなたのクルマじゃなくて私のクルマですよ」みたいになると。でも実際にはずっと自分が主役で、コックピットに座って、この道をこういうスピードでこういう感覚で、と走れる。しかも、自分が走るより悔しいけれど正確(笑)。
クルマ好きの僕としては、漠然とクルマがロボットになり過ぎたら嫌だな、そういうことにカッコよさを求めているんじゃないぞ、と常々思っていました。僕はそのボタンを使わないのに、「こういうことができるようになりました」「こういうこともできるんですよ」と誇示するクルマも多く、ちょっと鼻についていたんです。でも今回の試乗では、本当に技術のすごさを感じました。しかもその技術が、ドライバーのため、安全のため、心地いいドライビングのためにつくられていて、僕の意志をクルマがすごく受け止めてくれたんです。プロパイロット2.0の作動状態を伝える情報量も多過ぎず、いらない情報もなかった。見せつけるのではなく、本当にドライバーのための技術だと実感しました。
※1 ハンズオフは、ドライバーが常に前方に注意して道路・交通・自車両の状況に応じて直ちにハンドルを確実に操作できる状態にある限りにおいて可能です。ハンズオフ機能は対面通行路、トンネル内、急なカーブ路、料金所、合流地点及びその手前などでは使用できません。非作動区間に入る際には、システムが事前にドライバーに報知しますので、ハンドル操作を行ってください。あくまで運転支援システムであり、安全運転を行う責任はドライバーにあります。
※記事は2020年9月25日のものです。
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コロナ禍で演奏会を行えなかった間、人生や音楽について様々なことを考えました。小学生の頃からベルリンフィルの指揮を目標に歩んできましたが、今思えば、指揮者として一番の幸福を感じたのは、大学時代にアルバイトで任されたママさんコーラスの指揮だったかもしれないと気付きました。人間臭い「気」のやり取りの中から、全員で音楽を生み出す感動をその時、初めて実感しました。
整然とした音のラインを創るだけでなく、人間の声と体が生み出す共振やうねりも僕にとって音楽の大きな魅力。「1万人の第九」を20年間指揮していますが、合唱やオペラの指揮が僕のライフワークの一つとなっているのもそうした経験があったからだと思います。
今年7月に観客の入った久しぶりの演奏会で感じたのは、その時と同じ純粋な幸福感。そして、観客のいる緊張感と演奏への反応をもらえる喜びです。新しい生活様式の中では多少、音楽的妥協をしてでも新たな方法を模索し、日本音楽界の先頭を切って演奏を続けることが僕の使命だと思っています。
プロフィル佐渡裕氏(さど・ゆたか)
1961年京都府生まれ。大学卒業後、故レナード・バーンスタイン氏、小澤征爾氏らに師事。89年ブザンソン指揮者コンクール優勝。95年第1回レナード・バーンスタイン・エルサレム国際指揮者コンクール優勝。ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団など欧州の一流オーケストラに毎年多数客演、オペラ公演でも多くの実績を重ねる。2015年9月からオーストリアのトーンキュンストラー管弦楽団音楽監督に就任。国内では兵庫県立芸術文化センター芸術監督、シエナ・ウインド・オーケストラの首席指揮者を務める。
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