コロナ禍の課題解決、
スタートアップ活用を
3月2日、渋谷で産官連携の
「NEW NORMAL LAB渋谷」開催

コロナ禍の課題解決、スタートアップ活用を3月2日、渋谷で産官連携の実証実験開催

 コロナ禍の社会課題解決に、スタートアップ企業のテクノロジーを生かそう――。経済産業省は3月2日、東京・渋谷を舞台に新しい技術を活用した課題解決に取り組む「NEW NORMAL LAB(ニューノーマルラボ)」を開催する。コロナ禍による経済活動への影響のみならず、少子高齢化などの中長期的な社会課題への対応に役立ちそうなスタートアップ企業の取り組みを紹介し、その活動を広く周知するのが狙いだ。同省新規事業創造推進室長の古谷元氏は、「テクノロジーを使ってコロナ前と同等以上の充足感が得られる技術を紹介したい」と話している。

電動モビリティーや
密の回避を体験

 NEW NORMAL LAB渋谷は渋谷駅周辺から地下鉄明治神宮前駅近くまでの地域を使って行われる。一例が、電動キックスケーターをはじめとした電動マイクロモビリティーのシェアリングサービスを手掛ける会社Luupの取り組み。本イベントでは町中にシェア用の電動キックスケーターを置いたLUUPステーションを配置し、実際にキックスケーターの使用体験ができるようにする。「通勤中はどうしても密になりがち。1人でピンポイントの移動ができ、経済面でも効率的なシェアリングサービスのあり方を見せられる」と古谷室長は指摘する。

 AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)を活用し、レストランやトイレなどが「いま空いているか」について情報提供するサービスを展開している会社バカンも、本プロジェクトに参加しているスタートアップ企業の1社だ。古谷室長は「渋谷という地域は外食や飲食が盛んで来訪者も多い。センサーを使って密の度合いを測る技術を商業施設内で使えば何ができるのか、このプロジェクトを通じてアピールできる」と期待している。コロナ禍では非接触やロボティクスといった技術を活用する場面も増えそうで、本プロジェクトには遠隔接客や警備ロボットといったテクノロジーを取り扱うスタートアップ企業も参加する。

 当日は渋谷ヒカリエでメディア向けのPRイベントも開催。プロジェクトの舞台となる渋谷区の長谷部健区長のあいさつも予定されている。またプロジェクトに参加する企業を交えた2つのディスカッションもネットで配信する予定だ。渋谷はスタートアップ企業の集積する土地であり、彼らを支援してきた東急のような大企業もある。今回のプロジェクトを通じ「スタートアップと大企業の連携もできれば」と古谷室長は話す。

便利なサービスへ、
事業者と政府・自治体連携

 今回の取り組みで特徴的なのは、政府と自治体がスタートアップ企業と組んで技術を紹介する場をつくったことだ。古谷室長は「メディアを通じて一般の人々にテクノロジーの変化や価値を伝えるだけでなく、政府、自治体、スタートアップ企業、大企業がまとまり、連携していく場になることも期待している」と指摘。さらに様々な自治体が「NEW NORMAL LAB」を見て、自分たちの町で同様の取り組みを進めたいと考えた場合にも支援ができると考えている。

 将来的には「こうしたノウハウをパッケージ化して示したい」と古谷室長は話している。個別の技術は国外の事業者でも持ち合わせているかもしれない。だが政府と自治体、事業者がまとまって町中で本プロジェクトを行い、国民からのフィードバックを受けて改善を行えば、より利便性の高いサービスを提供できるようになるだろう。日本発の「新しいノーマル」を生み出すためのプラットフォームとしての機能も期待できそうだ。

古谷 元氏 経済産業省 新規事業創造推進室長古谷 元氏
経済産業省 新規事業創造推進室長

技術やビジネスの
アイデアを提供する
プラットフォーム
「NEW NORMAL LAB」
事業概要を発表

3月2日、経済産業省が主導する「NEW NORMAL LAB」の事業概要発表会とデモンストレーションが、東京・渋谷で開催された。発表会では、西村康稔・経済再生担当大臣、佐藤啓・経済産業大臣政務官、長谷部健・渋谷区長らが、LABに対する展望やメッセージを発信した。その内容を紹介する。

西村康稔

「渋谷は、私もランニングをしながらよく通る町です。いつ行っても若い人のエネルギーを感じます」と語ったのは、ビデオメッセージで登場した西村大臣だ。「新たな日常をつくっていく必要があるいま、欠かせないのは豊かな発想から生まれる提案やチャレンジです。私たちは6兆円の補正予算も組みました。また、ベンチャー企業をしっかりと応援できる枠組みも作っており、様々なテック提案も受け付ています。渋谷のスタートアップ企業の皆さんにもいろいろな提案を投げかけてほしい。このLABがニューノーマル(新常態)の大きな一歩となることを期待しています」と、渋谷という町のパワーに、国として期待を寄せるメッセージを発表した。

続いて、佐藤政務官が登壇。「固定観念にとらわれない大胆な提案や施策を渋谷の町を舞台に展開してほしい」と、新しい発想や技術に注目する一方、「LABを開催して終わりではありません。今日のイベントをみなさんに知ってもらうことで、成果や課題が明らかになるでしょう。それらを渋谷から全国へ広めていくことにも意義があります」と、今後の展開にも言及した。

技術やビジネスのアイデアを提供するプラットフォーム「NEW NORMAL LAB」事業概要を発表

最後に長谷部渋谷区長が挨拶。6年ほど同区長を務めている長谷部氏は、「渋谷区は以前からスタートアップ企業の支援を行ってきましたが、これまではユニコーン的なアイデアが多かった。しかしここ数年は福祉や教育など、生活に根付いたアイデアを持つ企業も数多く見られます。今後は行政や地域との連携も進めていきたい」とコメント。「行政は、今のような感染症流行などの際には、どちらかというと“守り”の政策が多くなるものです。その中で今回の『NEW NORMAL LAB』は、渋谷区にとってかなり“攻め”の試み。このプロジェクトをきっかけに、先を見据えた新たなチャレンジをどんどんしていきたいですね」と期待を込めて語った。

NEW NORMAL LAB. パネルディスカッション①

『都市』『まち』の
デジタルトランスフォーメーションによる
“新常態”の創造

NEW NORMAL LAB. パネルディスカッション②

『中長期的な社会課題に向き合うための、
価値のパラダイムチェンジと新技術の活用』