山田享樹
1997年生まれ、福井県出身。中学卒業後、15歳で建設業界に入る。3年間の下積みを得て独立、18歳で個人事業主として享心興業(きょうしんこうぎょう)を設立し、21歳で享心興業から株式会社KYOSHINに法人化して設立。現在は地元福井県を中心に全国各地の現場に携わる。
https://kyoshin-corp.co.jp/

INTERVIEW

私の父は建設業をやっていて、仕事が終わると若い鳶(とび)職人たちを引き連れて帰って来て、ビールを飲みながら楽しそうに騒いでいました。そんな光景を子供の頃からずっと見ていました。ある時、その職人さんたちが現場で働いているのをたまたま街で見かけたんです。いつも家でどんちゃん騒ぎをしている時とは違って、働く男の顔をしていました。汗を流しながら真剣な表情で機材を運ぶ姿を見て、「鳶ってかっこいいな」と思ったんですよね。それがこの業界に入ったきっかけです。

卒業式の翌日から飛び込んだ鳶職の世界

山田享樹

中学校の卒業式の翌日、春休みで同級生たちが浮かれる中、私は作業着を着て現場で働き始めました。憧れだけで飛び込んだ世界でしたが、暑いしきついし怒鳴られるし、すぐに現実の厳しさを思い知りました。建設業は実力がものを言います。同世代の若手同士の競争も激しかったので、誰よりも早く仕事を覚えたい一心で仕事に励みました。どんなにきつくても絶対に休まないと決めていました。
慣れてくると、「もっと仕事を任せてくれたらできるようになるのに」と思うことが多くなります。若手が勝手なことをしてミスをすればトップの責任ですし、会社としての信用も失ってしまいますから、そう簡単に何でも任せられないことは今では理解できます。でも当時は悔しかったし納得がいかなかったですね。
18歳での独立はほとんど勢いでしたが、やるからにはどこよりも目立つ会社を作りたいと意気込んでいました。ただ、若く実績もないのにすぐに仕事を受注できるほど甘い世界ではありません。最初は応援作業員としてみんなで現場に出向き、日当を頂いていました。どんな仕事でも引き受け、がむしゃらにこなして、地道に信用を積み上げて、ようやく直接お仕事をいただくようになったのはここ1年ぐらいです。
社員の平均年齢は24歳ぐらいですから、今もお客様との顔合わせで「こんな若い子だけで本当に大丈夫なの?」という反応をされることがあります。でも、仕事ぶりを見れば安心していただけますし、「若いのにしっかりしてるね」とか「楽しそうだね」などと褒めていただくと、モチベーションが上がりますね。
私が新人の頃は仕事を任せてもらえないことが不満だったので、若い従業員たちにはどんどん経験を積ませています。手抜きは叱りますが、全力で取り組めばミスは責めません。ミスから学ぶこともありますから。せっかく一日に8時間働くなら、漫然とやり過ごすよりも、何か実になるものを得て帰るべきです。「尻拭いはするから、失敗を恐れず思いきり仕事をしてこい」と言っていつも送り出しています。そうすると、若い従業員たちも責任感が芽生えるのか、どんどん成長してくれています。

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大切なのは仕事を楽しむこと、時間を守ること

今年中に関東進出を計画していて、いずれ全国に支店を出したいと思っています。最終的には今現場で頑張っている若い従業員に支店を任せたいんです。頑張れば社長になれるチャンスがあるって、すごいと思いませんか。そんな会社を今の若い仲間たちと作り上げていくことに意味があると思っています。年を取ったときにみんなで笑えれば最高です。
この業界は悪い意味で保守的なところがあって時代に合わない古い習慣もたくさんありますが、そういうものを打ち破っていきたいですね。こんな若者がいる会社があるということを多くの人に知ってほしいです。そして「きつい」「厳しい」といったネガティブなイメージが先行しがちな建設業を「意外と楽しそうだな」と思ってくれる人が増えたらうれしいです。もちろん楽しそうに見えるだけではだめで、従業員には本当に仕事もプライベートも心から楽しんでほしいですね。

鳶職は足場を組むのが仕事なので、業者の中で最初に現場に入って最後に足場を解体して帰ります。足場は形には残りませんが、完成した建物を見ると言葉にできない達成感があります。それを味わうために頑張っているのかもしれません。
若い人たちにアドバイスを送るとしたら、まず仕事を楽しんでほしいですね。これが一番大事だと思います。そして競争心を持って真剣に取り組むこと。仕事を早く覚えれば、周りは認めてくれます。
あとは、時間を守ることでしょうか。どれだけ仕事ができても、時間通りに来ない人は信用されることはありません。逆にプライベートが多少ルーズでも、朝ちゃんと起きて時間通りに来て真剣に仕事に取り組めば、必ず信用されますし人もついてきます。

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