宇野康秀
1963年生まれ。大阪府出身。父は、株式会社大阪有線放送社(現 株式会社 USEN)創業者の宇野元忠。87年、明治学院大学法学部法律学科卒業後、株式会社リクルートコスモス(現 株式会社コスモスイニシア)入社。 89年に独立し、株式会社インテリジェンス(現 パーソルキャリア株式会社)を設立。98年、株式会社大阪有線放送社の代表取締役社長に就任。2009年、株式会社 U-NEXTを設立し、映像配信事業や通信事業を手掛ける。14年に東証マザーズ上場。15年東証1部上場。17年、株式会社 USENとの経営統合で株式会社 USEN-NEXT HOLDINGSに商号変更。
https://usen-next.co.jp

INTERVIEW

私にとって「働く」ということは、自分の存在意義を確認するということです。生まれてきたからには何かやらないと意味がない。じゃあ自分がやるべきことは何かと考えた時、まさに今取り組んでいる仕事に全力で取り組むことだと思い至りました。しかし、一人の力ではできることに限界がありますので、一緒に働くチームが必要になってくる。会社とは、チームの人たちが働きやすい環境を作っていくための「器」だと考えています。

父の余命を知り、事業を引き継ぐ

宇野康秀

私が生まれた大阪市の道頓堀というところは商売をされている家が多く、父も親戚も事業を行っておりましたので、将来は自分でビジネスを起こすということを小さい頃から意識していたように思います。高校生になってからは経営学や法律などいろんな本を読みあさるようになりました。中でも、アメリカの未来学者アルビン・トフラーが書いた『第三の波』という本を読んだ時に、自分がこれから生きていく数十年で情報革命が起こり、まさに人類の歴史が大きく変わるのだということを実感し、「こんなにチャンスがある時代を生きることができるのだから、とにかく頑張ってみよう」と決意しました。

自分でビジネスを起こすチャンスが来たのは就職して1年がたった頃。大企業で学んだノウハウを参考に、仲間と共に人材派遣サービスの会社を起ち上げました。その当時から少子化傾向にあり、若年人口が減少していくということがある程度わかっていたので、将来は必ず人材活用の多様化が進み、一つの企業にとらわれるのではなく流動的に働く時代になる。その日のためのインフラとして派遣の仕組みを作っておけば、日本経済の活性化につながるのではないかと考えたことが起業のきっかけです。その後、バブル崩壊を受けて厳しい時期もありましたが、ここを何とか乗り切ればまたチャンスが来ると信じて皆で働いた結果、設立から11年で上場を果たしました。

そのタイミングで父が余命宣告を受け、父の会社を引き継ぐことになったのですが、それが現在の株式会社 USENの元となっている株式会社大阪有線放送社です。父とは起業を反対されて以来疎遠になっていたので、後を継いでほしいと言われたときは本当に驚きましたし、自分の会社を仲間とずっとやっていくつもりだったので、とても悩みました。しかし、ここまで育ててもらって、東京の大学まで出してくれた。父や父の会社で頑張って働いてくれている社員の人たちのおかげで自分の今があると考えたら、やっぱり全くの他人事と考えることはできなかったんです。また、会社にはいくつか問題があったのですが、それを解決すれば、この会社が持っている顧客のネットワークは大きな資産に化ける可能性もあると思い、非常に険しいが登る価値のある山道だと思い、会社を引き継ぎました。

  • 宇野康秀
  • 宇野康秀

自分の中にある「自分らしさ」を見つける

その後、幾度かの事業変遷を経て、2017年にネットワークを通じて法人のお客様に対するソリューションを提供していくビジネスと、個人向けにエンターテイメントを提供するビジネスを経営統合し、新たに株式会社 USEN-NEXT GROUPとしての一歩を踏み出しました。IoTやAIなどのテクノロジーの発展により、私たちの生活はこの10年でさらに劇的な変化を遂げるでしょう。その変化を加速させる先駆者の役割を担い、その先の時代でも必要とされる会社であり続けたい。『必要とされる次へ。』をスローガンに、売上高1兆円の企業を目指して日々社内改革に取り組んでいます。

その一例が、働き方改革「Work Style Innovation」です。昨年9月からフレックスタイム制度とテレワーク勤務制度を導入し、「会社に来てもいいし、来なくてもいい」という働き方を実現しました。その結果、当社の社員であるというアイデンティティーは「この会社の仕事をどれだけやって、どれだけ貢献するか」でしかなくなり、より本質的な仕事の生産性を追求することにつながっていると感じています。これだけネットワークが進化した現代では、これまでのように皆が同じ場所に座ってコミュニケーションを取る必要性はまったくない。実際に導入してみて、社員の意識も変わり始めていると感じています。また、学生の新卒採用も、今まで通りの一律なやり方ではなく、いろいろな対応を取りながら学生と企業が自然にマッチングするということを限りなく追求した選考を実施しています。

これからの時代は企業とそこで働く人の関係性が大きく変わっていくと考えているので、その関係性そのものを根本的に見直していきたいという思いが自分の中にあるんですね。従来の画一的な評価は全く通用せず、むしろ多様であることが求められたり、明確な答えを出すことよりも、何かを創造したり、諦めずにがんばり続けることができたり、そういった個人の個性が生かされ、必要とされる時代に変わっていく。次代を担う若い方々には、誰かや何かに追従するのではなく、自分の中に「自分らしさ」を見つけて、ぜひこの社会を楽しんでいただきたいと思っています。

ページの先頭へ