園田明
1967年生まれ。鹿児島県出身。川島学園川内実業高等学校(現れいめい高校)卒業・バスケットボール競技 インターハイ、国体出場。南海日日新聞社勤務を経て、2007年にアイズ・カンパニーを設立。
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INTERVIEW

私が生涯負けられないのは、小学生の時の自分自身です。貧困やいじめ、辛いことがたくさんありましたが、あんな小さなコミュニティーの中でよく毎日耐えたなと思います。
学校の休み時間には、いじめから逃れて裏山に駆け込み、一人で景色を眺めて過ごしました。「20年後、30年後、自分はどうなっているのだろう」と漠然とした不安を抱きながら。あの頃の自分がタイムマシンで今の自分を見た時に、安心してくれるといいなと思いながら日々を過ごしています。子供の頃の自分に負けないように頑張りたいですね。

自分を変えたくてバスケに打ち込んだ学生時代

園田明

生まれてすぐに父を亡くし、母と兄と一緒に奄美大島の母子寮で暮らしていました。親子で近所の玄関を叩いて固形洗剤を販売しながら生活していたのを覚えています。貧しかったけれど、母はいつもシャツにアイロンを丁寧にかけて、身だしなみの大切さを教えてくれました。「挨拶はきちんと」「友達がほめられたり表彰されたりしたら、妬むのではなく一緒に喜びなさい。そうすればあなたが頑張る時にみんな応援してくれるから」と言われて育ちました。
小柄で自分に自信がなく、いじめられがちな子供でしたが、自分を変えるきっかけがほしくて、中学でバスケ部に入部しました。バスケは私の人生を大きく変えました。仲間もできましたし、大会で入賞も経験し、達成感が自信につながっていきました。母と兄に仕送りをしてもらいながら鹿児島でバスケ漬けの高校生活を過ごし、大学や実業団からも声をかけていただいたのですが、卒業後は奄美に戻って新聞社の営業の仕事に就きました。自分を育ててくれた奄美の地で恩返しがしたかったんです。
仕事をしながら、奄美の子供たちにバスケットを教えました。最初に母校の外部コーチとして指導に行った時、バスケ部はまとまりのない状況でした。特に目標があるわけでもなく、ただ放課後に仲間たちとバスケを通じて体育館に集まることが、彼らにとっての居場所だったんでしょうね。まずは私が子どもたちと向き合う姿勢を見せないと失礼だと思い、仕事の合間に何度も顔を出すようにしました。子どもたちも「自分のことを見てくれている」と分かったのでしょう。少しずつ変わっていきました。3年生の最後の公式試合で初めてシュートを決めました。その生徒は卒業後、県外に就職して最初のお給料で、後輩たちにバスケットボールを送ってきてくれたんです。
「どんな指導をしているのですか」とよく質問されますが、技術的なことよりも挨拶・返事・言葉遣いです。これは昔から変わりません。靴やバッグをきちんと並べていなかったら厳しく指導します。どんなに優秀な指導者が効率的な練習方法を考案したとしても、本人たちにやる気がなければ身につきませんからね。

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成功の反対は失敗ではない

新聞社を退職すると、スポーツウエアの会社を立ち上げました。奄美にはバスケ用品を扱うショップがなかったので、それなら作ろうと思ったのが始まりです。敷居が高いオリジナルユニフォームも、PCや携帯から色やデザインを自分たちで選んで簡単に作れるシステムを導入して、店舗を通さない分安く購入できる仕組みにしました。優秀なコーチや設備、ユニフォームを当たり前のようにそろえられるチームばかりではありません。メンバーやウェアをそろえることもままならないチームはごまんとあるので、少しでもそんなチームの力になれたらいいと思ってます。全国に散らばっている教え子たちが営業マンの役割を果たしてくれて、今は5万チームに利用していただいています。
ありがたいことに、うちのスタッフ全員が「スポーツをするすべての人に貢献したい」という共通の思いを持って頑張ってくれています。世の中から必要とされ、働いているスタッフが夢や希望を持てる会社でないと、存在する意味がありません。最近は、ウェアを作る技術を利用してコロナ対策のマスクを作り始めました。収益で、世界中の子どもたちにマスクを配ることができればと思っています。勤務体制もリモートワークを導入していますが、顔を合わせる機会が減っても、みんなが同じ目標に向かって取り組めている実感があります。仲間と協力しながら生きていける世界を奄美から広げていきたいですね。
できるかできないかではなく、やるかやらないかです。成功の反対は失敗ではなく、何もやらないこと。やってみて失敗したとしても、それを学びにすればいいのです。

誰かと比べたり自分に点数をつけたりするのではなく、自分が胸を張って自分らしく生きていられることがあるのならそれを大切にすべきです。それが自分を受け入れるということではないでしょうか。それができれば、自分のいいところが見えてきます。
将来に不安を抱くこともあるかもしれませんが、先のことは誰にも分かりません。まずは今日一日を精一杯過ごして、明日の自分にバトンタッチをすればいいのです。その繰り返しです。自分らしく、一日一日を大切にすてきな時間を過ごしてください。

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