庄司圭介
1967年生まれ兵庫県出身。京都工芸繊維大学工芸学部卒業後、ゼネコン設計部、アトリエ系設計事務所勤務を経て2001年庄司圭介アトリエ開設。11年、新たに株式会社ファニチャーハウスを設立し、企画設計から施工まで一貫したものづくりを実現。住宅、商業施設、クリニック、保育施設、福祉施設、店舗デザインなど幅広く手掛けている。地元加古川をはじめ、全国に活動エリアを広げる。数年前から海外でも活動中。
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INTERVIEW

40歳の頃は、あと10年ぐらいで仕事を辞めてもいいなと思っていたんですよね。それなりに思い通りの仕事ができてもう満足していたので。でもその先にはまだまだ面白いことや出会いがたくさんありました。やっぱり常にチャレンジし続けるほうがいいですね。
今も新しいことにチャレンジしたくて動き続けています。動いていればチャンスは訪れるもので、海外で仕事をしてみたくて実際に何度も足を運んで視察していると、それを知った人がハワイやスリランカでの仕事を依頼してくださったんです。思いは強ければ叶うものだと実感しています。

身近な存在の建築家になりたくて独立

庄司圭介

子供の頃から絵画や図工が得意で、建築の道に進もうと思ったのは大学受験の時でした。大学では製図関係だけは真剣に取り組みましたが、後はひたすら遊んだ思い出ばかりです。卒業後は設計の仕事ができれば何でもいいと思ってゼネコン系の会社で数年働きましたが、自分の好きなデザインを追求したいと思い直してアトリエ系の設計事務所に転職しました。空いた時間があれば建築関係の本を読んで勉強し、大きなプロジェクトも任せてもらうようになって充実していました。

しかし組織の中で働くことで自分の思った通りの仕事ができないフラストレーションも感じ始めました。デザインのこと、クライアントとの関わり方などいろんな局面で「自分ならこうするのに」と思うことが増えたんですよね。それにプロジェクトが大きいほど、エンドユーザーとの距離は離れてしまいます。「使い手」にとって、もっと身近な存在の建築家でありたい。そんな気持ちが独立のきっかけになりました。

当時34歳で、収入に不満もないし、2人目の子供も生まれたばかり。公私ともに順風満帆だったので、周りには「わざわざ独立しなくても」と反対されましたが、よく分からない自信に満ちあふれていました。もともと計算通りに行動しないタイプですが、自分が感じた通りに動いて正解だったと今となっては思いますね。

それでも、初めは1年以上無収入の時期があったりと現実の厳しさを思い知りました。事務所を立ち上げることは別に難しくないのですが、問題はその先です。クライアントはいない、提携する工務店のあてもない状態で、本当にゼロからのスタートでした。住宅コンペに片っ端から参加して実績を積むことで、少しずつ仕事を増やしていきました。

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若いうちはもっと勝負をかけてもいい

自由にデザインできる環境をやっと手に入れたので、どんな依頼でも楽しんで取り組むように心掛けています。これまでほとんど縁がなかった木造住宅を手掛ける機会も増えました。お客様の喜びや驚きをダイレクトに感じられるのはうれしいです。思いがけない仕事が舞い込んでくることもあります。たとえば動物病院を設計してほしいという依頼がありましたが、動物病院の専門的なことは分からないけど犬は飼っているので、自分が愛犬を連れて行くならどんな病院がいいかという視点で考えることができました。経営側の固定概念がないというのも強みだと気付きました。自分がお客さんとして行きたくなるような居心地の良い飲食店などを設計するのもわくわくします。

今年で、独立してちょうど20年目を迎えます。最初は数年で辞めてしまうスタッフも多くなかなか人材が育ちませんでしたが、10年以上一緒に仕事をしてくれているスタッフも増えてきました。定期的にスタッフ全員で海外デザイン研修に出かけて、アトリエ全体のレベルアップを目指しているところです。
海外での仕事も少しずつ手掛けていますが、現地の工事業者が昼過ぎに帰ってしまうとか工期が1年ぐらい遅れるとか、日本じゃ考えられないようなことが普通にあって苦労も多いです。でもそういう違いすら面白いし、乗り越えた分、完成したら感動するだろうなと思いますね。経験したことがないようなことに今後も挑戦したいです。

最近思うところで言えば、勝負をかける若者が少ない気がしています。少し前は若い人が「雇ってほしい」と飛び込みで事務所に来ることもありましたが、最近はありません。私は安定を選んだことも勝負をかけたこともあるのでどちらの気持ちもよく分かりますが、若いうちにもっと勝負をかけても面白いかなと思います。自分が何をしたいか、どうなりたいかを明確にして、それに向かって挑戦して欲しいです。失敗は何度でも繰り返して、乗り越えることで強くなれます。そんな環境を自分で作っていくのは面白いですよ。

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