坂本和也
大阪府出身。旅行会社、貿易会社を経て20代で独立。世界各国を歴訪し、さまざまな価値観に触れた経験を活生かして、貿易を主軸とした複数事業を4法人で運営。その後、GOLDEX社ではインバウンド向け決済プラットフォーム「IPPO」を展開し、現在に至る。
https://www.goldex.jp/

INTERVIEW

中国赴任をきっかけに事業を興してから約20年間海外を拠点に仕事をしてきて、4年前に日本に帰ってきましたが、特に金融に関して、日本がアジア諸国にかなりの後れを取っている現実にがくぜんとしました。日本人として何とか世界に勝てるものを作らねばという思いを強く持ちましたね。またちょうどその時期は日本国内でもインバウンド(訪日外国人)をもっと増やそうという機運が高まっていたので、長い海外暮らしの経験から「外国人にとって本当に心地のよいおもてなしとは」ということについて、さまざまな企業の方にアドバイスをする機会がありました。そういったこともあって現在は、インバウンド向けサービスソリューションアプリの提供を主体に事業展開をしています。

成長の過程で身についた経営感覚

坂本和也

とにかく質問の多い子どもだったようです。何を見ても「あれ何?これ何?どうなってるの?」と。実家が商売をやっており、家の中では、今日の来客は何人で、売り上げがいくらで……といった、子どもの世界では出てこないような言葉が飛び交っていたので、いや応なしに物事を数字に置き換えて考えるということが習慣になっていたんじゃないかと思います。挨拶をするということについてはとても厳しくしつけられましたし、家計が苦しいから子どもでもできる仕事をしろということで、10歳から高校を卒業するまで8年間、新聞配達をやりました。今考えると家計が苦しかったと言うのは、僕に新聞配達をさせるための嘘だったとわかるのですが、商売をするということの基礎を作ってもらえたと思っています。

最初に就職をしたのは旅行会社で、社長がたまたま高校の先輩だったんです。学生の時、地元に西日本で初めての歩行者天国を作るからと声をかけてもらい手伝ったことがあるのですが、その社長から「お前は営業に向いているからうちの会社で営業をしろ」と言っていただいて。しかし、その頃の私は人に頭を下げることが嫌で、営業はできないと思い込んでいたんです。それをそのまま素直に社長に伝えたところ、「頭を下げて仕事をもらうような営業マンは大した営業マンじゃない。お客様から頼まれて営業するのが本物の営業マンだ」と。また、「旅行に行かない人間はいない。この仕事は男女問わずさまざまな年代の人と接することができる仕事だ」とも言われたのですが、この2つの言葉が就職の決め手となりましたね。

そこでさまざまな経験を積ませてもらって、22歳になる前に独立、起業しました。水処理メーカーとの事業で初めて中国の大連というところに行き、60人くらいの村落で飲料水を作る仕事をすることになったんです。旅行会社時代に添乗先で培った人脈も生かして、水処理のプラントを輸出入する貿易会社を作りました。当時の中国との貿易では、現地の銀行が発行したL/C(信用状: Letter of Credit )が日本の銀行で通らないなど、さまざまな困難がありました。仕事が終わればそれでおしまいではなく、集金まで確実にやらないといけないというのは、自分で商売をしてみて初めて気付いたつらさでしたね。身近に相談できる相手がいないということも本当につらかったです。

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歴史から学び、実践する

当初海外で仕事をするときには通訳を使っていたのですが、それがきっかけで失敗をするということが結構あって。31歳のときにあるイギリス人との出会いがあり、彼とコミュニケーションが取りたくて日常会話を繰り返すうちに、いつのまにか英語が話せるようになりました。さらに41歳で中国語も話せるようになり、いまはスペイン語を勉強しているのですが、言語を獲得するのに遅すぎるということは全くないと思いましたね。今では商談も通訳なしで行っていますので、誤解が生じることもほぼなくなりました。これは英語が話せるようになって気が付いたのですが、日本人的な考え方と欧米人の考え方はやっぱり落としどころが全く違っていて。そしてもちろん中国的な考え方というのもある。3言語を話すようになって3通りの考え方をするようになりました。海外で事業展開する上で、ジャッジの材料が増えたということは非常に大きいと思っています。

経営でも人付き合いでも、何かを考えないといけない起点に立ったときは必ず歴史書を読み返して判断するようにしています。当社が提供するインバウンド向け複合型決済サービス「IPPO」を開発するときも、お金に関する歴史を勉強しました。現在はお札や硬貨などの現金のほかに電子マネーもありますが、貨幣が流通する前は物々交換だった時代もあり、お金の形はどんどん変わっている。しかし、商品を買う際に対価を払うという「決済行為」だけは未来永劫(えいごう)変わらないのではないかと考え、決済に関する付随サービスを作ろうと決めました。歴史から学びとった結果ということになりますね。

これからの日本を背負う若者たちにも、ぜひ世界で戦ってもらいたいという思いを持っています。今の若者たちには豊かな国で育ったことによる発想力や想像力がある。例えば、誰も思いつかないようなキャラクターやゲームコンテンツを生み出せる力は、特に優れていると思います。また、我々の世代よりも心が豊かだと感じています。そういった部分で、世界の人たちに向けて、ただ利益を追求するのではなく、心の豊かさを提供できるような、ソーシャルネットワークを広げることをビジネスにしていただけたらと思っています。若者の皆さん、これからの日本を支えるべく頑張ってください。

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