小川康
1966年、神奈川県生まれ。父親の転勤により東京を経て長崎で高校までを過ごす。89年大学卒業後、東京海上火災保険(当時)入社。98年、インテグラート株式会社にインターンとして入社。99年米国ペンシルベニア大学ウォートン・スクール留学、2001年ブーズ・アレン・アンド・ハミルトンに勤務、03年インテグラートに再入社。08年から現職。
https://www.integratto.co.jp/

INTERVIEW

私たちのミッションは「新たな製品サービスの実現を支援する」ということ。新しい製品や新しいサービスができると世の中がより良くなっていくと信じて、お客様の事業投資を支援するソフトウエアの開発に日々取り組んでいます。お客様の役に立つために、お客様の声をよく聞くこと、そしてそのお客様の声と経営学者による企業研究の成果を照らし合わせたシステムを設計するのが私たちの仕事。今考えられるベストの解決策を提案するということを心がけています。

未完成のものを形にするために

小川康

過去を振り返って考えてみると、中学から大学までの10年間を学生寮で過ごしたことは、私の人生の中でとても大事な部分です。たくさんの人と24時間一緒に暮らしてみて、一人ひとりは本当に複雑でそれぞれに違っていること、そしてその違いはとても大切なんだということを学びました。特に大学時代を過ごした東京・目白台にある男子学生寮「和敬塾」での日々は最高でしたね。楽しい思い出も、社会の縮図と思うような理不尽なことも全部含め、寮生活での経験が今も、自分の根っこのところで生きています。

大学卒業後に入社した会社では、上司や先輩方に優しく厳しく育てていただき、お客様との向き合い方や仕事の進め方を教えていただきました。営業職に4年間従事した後に、茨城の支店の補佐に任命されたのですが、大きなやりがいを感じると同時に、今思うと、ちょっと調子に乗っていたところもあったと思います。ある時、支店長にひどく叱られたことがありました。支店長に出席してほしい打ち合わせがあり、あらかじめ口頭でその旨を伝えていたのですが、当日に外出をされてしまって。その後、「お前は確かにそう言ったかもしれないし、おれも聞いたかもしれない。でもその打ち合わせの場所におれはいなかったんだから、お前はお前の仕事をしたことにはならない」と言われましたね。その通りだと思って今に至ります。やるべき仕事があって、理由がどうであれその成果を達成しないと意味がない。誰のせいでもない、自分の責任だと。とても大切なことを教えてもらったと思っています。

組織としてとても完成度の高い会社で、今でもそうだ思います。しかし、世の中にはもっとやらなくてはいけないことがあると思ったんです。未完成のものを形にするために、私ができることをやろうと思いました。今から20年ほど前ですが、当時はまだベンチャー企業が少なく、盛り上げていこうという機運が高まっていた時代でしたので、技術系のベンチャー企業を立ち上げて社長になろうと。例えばソニーは井深大さんという天才技術者がいて、盛田昭夫さんという経営者がいて、世界一になった。格は違っても同じように、技術を引き出していくような経営者になろうと決意したのです。

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経営学者の研究をシステムに反映

ベンチャーの経営者になるなら、本場アメリカのビジネススクールに行こうと。だけどこのままでは何を勉強したらいいかもわからないから、まずは日本のベンチャーで修行したいと思っていたところ、相談をした友人から紹介されたのがインテグラートでした。当時の社長がペンシルベニア大学ウォートン・スクールのイアン・マクミラン教授、そしてコロンビア・ビジネススクールのリタ・マグラス教授とお付き合いがあって、会社に来てくれたことがあるんです。「どうしたらインテグラートが成長するか」ということを本当に一生懸命アドバイスしてくれて、大変感動しました。絶対にこの先生から学びたいと思い、猛勉強の末、その翌年にウォートン・スクールに合格し、アメリカへの留学を果たしました。

この2人の教授との出会いが今の仕事にそのままつながっているので、本当に運が良かったのだと思います。昨年(2017年)10月、大手企業の経営企画や財務、製品開発の方々向けに発売した「DeRISK」は、事業のリスクを下げ、不可欠な事業の意思決定と管理を支援するシステムで、教授らが開発した「Discovery-Driven Planning= 仮説指向計画法」という考え方を実務に当てはめて作ったものです。例えば部品メーカーの場合では、2025年に電気自動車がこれくらい売れたら、あるいは電気自動車の市場が全体の10%だったら、この部品はこれぐらい売れますという「仮説」を立てる。もしその仮説=2025年の電気自動車の売り上げ想定に対して何か新しいニュースが出てきたら、「経営を見直した方がいいんじゃないですか?」といち早くお知らせするような仕組みです。仮説が外れるということを早くお知らせできれば、軌道修正ができる。このプロセスを「成功の確率を高める」「リスクを下げる」と言っています。このような考え方で、不確実な事業をより確実に進めていく「DeRISK」を提案することに、会社を挙げて取り組んでいるところです。

不確実な事業や製品サービスが成功していくと、新しい製品サービスが世の中に出ます。その一端を我々のようなソフト屋がお手伝いできるということに、私も社員もとてもやりがいを感じています。難しい仕事ではありますが、経営学者の考えや企業の役に立つ考えをもっとたくさんの人に知ってもらいたい。開発したシステムを100社、1000社、1万社に使ってもらうことができれば、直接コンサルティングや研修をするよりも100倍1000倍も役に立てる。だからこそソフト屋であることが大事だと思っています。会社の規模を大きくして、より良いサービスをお客様にご提供したい。世界一の会社になって、たくさんの会社に貢献したいと思っています。

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