古賀剛人
1960年生まれ。佐賀県出身。東京歯科大学卒業。東京歯科大学大学院博士課程修了。歯科医としてのキャリアをスタートさせ、2院を開業した後、36歳の時にスウェーデンに留学。Uppsala大学(スウェーデン)大学院修了。現在は歯科医院を開業する傍ら、新潟大学非常勤講師も歴任。著書・論文多数、「インプラント外科学」シリーズ3部作はインプラント手術の教科書として広く認知されている。
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INTERVIEW

「自ら技術を施すことで成り立つ仕事がしたい」と思い、歯科医の道へ進みました。しかし、歯科は技術だけで成り立つものではなく、最適な治療法を選択するために現状を把握・理解し、優れた診断能力と考察力が求められるもの。それは人生も同様で、自分が置かれた状況や立場をしっかりと認識し、目標を立て、様々な可能性を想定しながら常に準備を怠らないことが重要です。偶然の連続でたまたまうまくいくのが人生ではなく、想定しないことに遭遇するのが人生。常に目標や手段を修正する柔軟性を持ちながら、計画的に道を切り開いていくべきだと私は思っています。

高い思考力と経験値で、手に職を

古賀剛人

常日頃から歯科医の仕事で大切にしていることは、安全性です。患者様の様々な症状に向き合っていく際に安全を確保できなければ、そもそも医師としての仕事を全うできません。だからこそ、それを達成するために科学的根拠を学ぶ姿勢を持ち続け、最善の治療にあたるための優れたチームを形成する必要があります。それはまさに、ラグビー日本代表のワンチームの精神と同じこと。常に緊張感を持ちながら、個人の役割を理解した上で協力体制をビルドアップしていくことが重要なのではないでしょうか。
そうしたチーム医療の大切さは、私が36歳になった時に経験した、スウェーデンの大学院での留学が大きな学びにつながりました。とても貴重な知識と臨床経験を得ただけでなく、形成外科、耳鼻科などとのジョイントチームの手術に参加させてもらうなど、多くの得難きチーム医療の経験と、その重要性を学んだのです。その頃はすでに2軒の歯科医院を開業していましたが、インプラント治療発祥の地でもある北欧で外科学を学び直したことは、歯科医としての大きな転換期にもなりました。
私はもともと、1925年生まれでファッション・デザイナーをしていた母に、「手に職をつける」意義を言い聞かされて育ってきました。母には、太平洋戦争直後の大変な時期に「デザイナーという仕事で手に職をつけ生き抜いた」という自負があったからです。そして実際に、私は手に職をつけ歯科医となりこれまでのキャリアを歩んできました。インプラント治療という新たな武器を手に入れようと覚悟を決めたのも、母に言い聞かされていた意義が自分の中に根付いていたからなのかもしれません。
しかし医師というものは、手に職をつけたことに慢心せず、常に自己研さんを怠らないことが何よりも重要です。そうした高い意識を持つことが、その後の医師の優劣を左右するものだと思うからです。

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一人で戦うのではなく、チームとして戦うこと

それと同時に、新しい知識が最善のものと決めつけず、常に疑いの目を持ちながら、冷静な視点を併せ持っていかなければいけません。そうした知識や視点を教育講演などの場で幅広く伝えていくことも私の重要なミッションでもあるでしょう。著作や大学での講義など、教育的な側面をさらに充実させることは私の夢の一つであり、個人的な楽しみの一つでもあるのです。
今でも研さんの日々は続いていますし、我々の仕事にゴールや頂上はありません。今後も自分の治療技術や診断能力をさらに高めていきながら、常に高みを目指していきたいと思っています。そのためにも新しい医療機器の開発に目を向け、常に情報をアップデートし続けていくことも大切。これまでも手術用顕微鏡下の精密診療やデジタル系のテクニック開発など、様々な分野で医療は進化を遂げてきました。だからこそ勉強を怠るわけにはいきませんし、これからも継続して学んでいかなければ歯科医療をけん引していくことはできないと強く認識しています。
私自身、物心ついた頃から学ぶことが大好きでした。今後は年齢的に、歯科医師として晩年の時期に差しかかりますが、幸いなことに、まだ衰えを感じることはありません。もっともっと技術を磨き、研さんし、自分が学んだ知識をすべて反映できるような治療システムを確立させていきたいと燃えています。もちろんそれを実現するためには、私個人の力だけでなく、チーム医療としての進化が必要不可欠。歯科医療業界全体を引っ張っていくような気概を持ち続け、患者様に喜ばれるような質の高い治療システムを完成させるためにも、これからもワンチームを掲げて日進月歩の医療業界に立ち向かっていきたいですね。

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