河越祥郞
1946年2月10日生まれ。高校卒業後、証券会社に営業として勤務。転職期間中に訪れたアメリカでヒントを得て1973年に応緑株式会社を設立。ハウジング事業とゲート事業の2部門に分けて営業を行っている。
http://www.ohryoku.co.jp/

INTERVIEW

お客様のご要望に応えるために商品開発をする時は本当に楽しいですよ。苦に思ったことがありません。お客様が商品を見た時の顔を思い浮かべると、時間を忘れて作業できますね。人の役に立つ人生じゃないと意味がないと思いませんか。社員たちには常々「自分で枠を作ってはいけない。自分を超えなさい」と話しています。誰かのためにという思いがあれば、自分で限界だと思っているところは考え方を変えるだけで超えられるんですよ。

オーバードアを日本でも普及させたくて

河越祥郞

子供時代の私はとにかく好奇心の塊。おもちゃでも機械でも何でも、身の回りにあるものを分解しては怒られていました。どんな構造になっているのか、気になって仕方がなかったんですよね。大人になっても、クルマを自分でいじった揚げ句、組み立て直すのに部品が余って慌てたりしていましたね。機械科の高校へ進みましたが家庭の事情で大学進学を諦め、親戚のツテで証券会社に入社して営業の仕事をしました。しかし自分が本当にいいと思うものをお客様におすすめすることができないのが不満で、辞めてしまったんです。

辞める少し前に休暇を取ってアメリカに行ったのですが、通りに並ぶどのガレージにもシャッターではなくオーバードアがついていることに気づきました。女性がつま先でポンと蹴るだけでガレージの扉が簡単に跳ね上がって開くんです。これは日本でも絶対に普及すると確信しましたね。取り扱っている会社が東京にあると聞いて、帰国するとすぐに社長を訪ねて「私にこのオーバードアを売る仕事をさせていただけませんか」と懇願しました。「そんなに簡単に構造がわかる商品じゃないから」と断られ帰らされましたが、食い下がって3日連続で訪ねたところ、とうとう折れて大阪の代理店を紹介してくださったんです。商品の仕様を無我夢中で覚え、知り合いにカタログも作ってもらいました。芦屋かいわいで営業すると、想像以上によく売れたんですね。これが事業の始まりです。

最初はオーバードアだけを扱っていたのですが、「玄関とガレージの扉のデザインを統一したい」というご要望があったのがきっかけで、玄関ドアやキッチンなど建材全般を扱うようになりました。「こういうものは作れませんか」とご相談を頂く度に、ラインアップを広げていきました。私は「人が言ったことでやれないことはない」と思っているので、専門知識がないことでも、その都度勉強して対応していったのです。やがて増築やリフォームのようなご依頼も頂くようになったので、1級建築士事務所として本格的に住宅事業にも着手しました。

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33トンの門扉を手動で開閉できる

バブルが崩壊して売り上げが激減した時期もあり、住宅業界一本では浮き沈みがあるので、住宅と門扉の二本柱でやっていこうと決意しました。セキュリティーを重視する世の中になってきていたので、門扉は大きな役割を果たすだろうと期待を抱きました。その後、岩国空港に103メートルの門扉を作りました。33トンの重さがあります。電動でありながら停電の際は手動でも開閉できる仕様にしたところ、ちょっとした話題になりました。33トンもある門扉を手で開けられるとは誰も思わないでしょう。私たちが作る大型門扉は非常に軽く開閉できる構造になっていて、10メートル程度の門扉なら片手で簡単に開閉できるんです。

しかし、最初から軽い門扉を作ることが目的だったわけではありません。私たちが重視したのは、他のどの門扉よりも長い年数使っていただけること。耐久年数が長いということは摩耗する部品が少ないということですから、それなら軽く動く門扉を作ろうという発想になったんです。結果的に大きくても手動で開閉できる門扉という副産物ができたわけです。私たちはお客様のご要望をお断りしません。何とかかなえてさし上げたいと思いながら一つひとつ実現していくと、次々にヒントが湧いてきて、できないはずのこともできるようになるんですよね。それにはお客様に対する熱く深い思いが不可欠です。

住宅も門扉も、「使い勝手がよく耐久年数の長いもの」という意味で事業の方向性は同じです。これからもできる限りお客様のご要望にお応えし続けながら、商品も増やしていきたいですね。誰にも作れないようなものを生み出していくことが私たちの役割だと思っています。

今の私から、今後の日本を背負う若者の皆さんへひとつメッセージを送るとしたら、自分の将来に対して何か一つ目標を決めてみてください。そして、そこへ一直線に向かって行ってください。目標の大きさ、形、思いは人それぞれだと思いますが、そこに焦点を絞れば有効な時間を過ごせますし、有意義な人生を送ることができると思います。

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