廣瀬徹隆
1968年生まれ、千葉県出身。幼少期に父が廣瀬建材の前身となる土木建材資材の販売会社を起業。大学卒業後、大手清掃用品メーカーのフランチャイズでの営業職を経て、93年、家業を継ぐ決心をし、修行を兼ねて都内の生コンクリート製造会社に入社。工場勤務で建材製造のノウハウを学んだ後、95年、廣瀬建材に入社する。2010年、代表取締役社長に就任。現在に至る。
http://www.hirose-kenzai.com/

INTERVIEW

私たちはこれから、誰も体験したことがないような時代を迎えます。それは、人口が減り高齢社会になった、働き手不足の時代です。一見不幸な時代のように思えるかもしれませんが、目の前にある時代をどう捉えるかは己次第。当社は、できるだけたくさんのチャレンジを重ねることで飛躍する時代にしたいと考えています。全社員が一丸となり、同じ未来を見据えながらチャレンジすることで得られるものはきっと大きい。そう信じて、試行錯誤を繰り返しながら、コツコツと日々を積み重ねていくのみです。

同業他社での修業時代にメンテナンスの大切さを学ぶ

廣瀬徹隆

ミキサー車って特殊で格好いいですよね。子どもの頃からミキサー車がある仕事場を目の当たりにしていた私は、幼いながらに「やりがいがあって面白そうだな」と思っていました。しかし、私が実際に生コンクリートを生業にするようになったのは、バンド活動で食べていくのを諦めてからでした。

中学時代、ビートルズなどの洋楽にハマったことをきっかけにギターを独学で学び始めた私は、高校生になると念願のバンドを組みました。ギターに、そして音楽にどんどんのめり込んでいきながら大学生になると、当時は空前のバンドブーム。身近な人が有名になっていくのを見た私とバンドメンバーは、大学卒業後、音楽で食べていくことを夢見て上京。東京での生活を始めた私は、以前から興味を持っていた営業職を経験するため、大手清掃用品メーカーに入社しました。バンド活動と並行しながら、毎日飛び込み営業に励む日々。しかし気付くとバンドより仕事の方が楽しくなっていたのです。と同時に、父の会社である廣瀬建材を継ぐことが視野に入ってきました。

そこでバンド活動からきっぱりと手を引き、家業を継ぐことを決意。まずは他社で修行しようと思い、1993年都内の生コンクリート製造会社に就職したのです。当社と同じ建材や生コンクリートを取り扱う会社で、入社当初の私は、製造の裏方で設備のメンテナンスを務めていました。工場はトラブルがあると製造ラインが止まり、出荷できなくなります。出荷できないということは売り上げがなくなるということ。メンテナンスの大切さをここで学びました。その後、最初にいた工場から別地の工場に異動し試験係に。コンクリートには色々なJIS規格があるのですが、コンクリートの硬さや強さを試験するのが私の仕事でした。

  • 廣瀬徹隆
  • 廣瀬徹隆

社員と同じ方向を見据え、共に成長したい

1995年、結婚のタイミングで廣瀬建材に入社。学生時代にアルバイトをしていたこともあったので、戻ってきたという感覚もありました。まず私が取り組んだのはメンテナンスと記録。前職で学んだことを生かし、故障などのトラブルを起こさないよう注意して業務にあたりました。その上でメンテナンスした記録をきちんと残し、定期的に消耗するものは前もって準備して次回の交換に備えるというマニュアルを導入したのです。そのほか、中途入社ならではの目線を生かし、小さな社内改革を積み重ねていきました。

その後、代表取締役社長に就任したのが2010年。リーマン・ショックの直後という一番状態が悪い時でしたが、私自身は「このタイミングで良かった」と思っていましたね。大変でしたが、それ以上にやりがいのある状況でしたから。私は、とにかく会社をいい方向に導くため、色々な行動をしよう、挑戦しようと考えました。そこでまず着手したのが人件費の削減です。一番大きなところでは、ミキサー車の運転手を社員からアルバイトに変更しました。そこで浮いた経費を使ってミキサー車の台数を増やした結果、より多くの受注が取れるようになり、出荷数を増やすことができました。また、経営計画書を社員全員に配布し、毎朝の朝礼で読むようにしました。経営指針を言葉で話すだけでなく、文書化して共有することで、みんなが見据える方向を一緒にしたいと考えたのです。他にも色々な試みをした結果、私よりも古株の社員から「(会社の空気が)変わったね」と言われるようになりました。気付いたら、月1回の全体朝礼ミーティングで、それまでそろっていなかった挨拶がそろってきたり、ほぼ全員が参加するようになったりと、目に見えて社員の意識が変わってきたのを感じられるようになったのです。

私の試みは、一つひとつはささいなことかもしれません。けれど、コツコツと積み重ねれば、伝わるものは必ずあります。当社は今、5年で売り上げを倍にすることを目標に掲げ、日々業務に取り組んでいる最中。目標達成のためには、今の業種だけでなく、コンクリートや建材にこだわらない新たな事業を始める必要があると考えています。それはリスクが伴うものです。けれど、これからの時代を生き延びていくためには、新しいことにチャレンジしなければなりません。もちろん、社員の中には新しい挑戦を喜ばない人もいるでしょう。しかし、できれば一緒に頑張って、会社の成長や個人の成長を共に手を取り喜びたい。その先にあるのが、当社の明るい未来だと私は信じています。

ページの先頭へ