彦坂達也
1982年生まれ、兵庫県出身。大学で設計を学び、2004年大手ハウスメーカーに就職。11年、某工務店に転職。16年、神戸市でWHALE HOUSEを創業。
https://www.whalehouse.co.jp/

INTERVIEW

マイホームを考えるときというのは、夢や希望にあふれているものです。しかし、ハウスメーカーに足を運ぶ度に他社の悪口を聞かされたり「この機能がないと良い家になりませんよ」と脅し文句を言われたりして、不安に陥っているお客様がたくさんいることはとても残念です。家づくりの間、お客様には常にわくわくした気持ちでいてほしいですし、存分に楽しんでほしいと思っています。うちには「お客様のために」という共通の思いを持った従業員が集まっています。また、小さな会社なので年間の工事棟数も決めていて、ゆとりを持って丁寧に家を作りあげていきたいと考えています。

大手ハウスメーカーの営業マンとして奔走した新人時代

彦坂達也

大手建設会社で働く父と、教師の母の間に長男として生まれました。父は長男絶対主義者で、私が子供の頃から色んな局面で重要な判断を任せてくれました。今思えばこの教育方針のおかげで、人を引っ張っていく素養ができたのかもしれません。
私が建築の道に進みたいと言った時、父は色んな助言をくれましたが、最大手のハウスメーカーに就職が決まって営業部に配属された時は反対されました。大学で設計の勉強までしたのに、なぜ営業なのだと思ったようです。設計や現場監督の道へ進んでほしかったのでしょうね。
就職面接の時、家づくりに最前線で関わりたいという熱い思いを語っていた私は社内で話題になっていて期待の新人でした。ところが、同期の仲間たちが初めての契約を次々と決めてくる中、私だけ夏を過ぎてもお客様がいない状態が続いていたのです。人と同じことをしていてはこの状況を打破できないと思い、できることは何でもやろうと限界まで自分を追い込みました。その結果、10月に初めて契約が成立しました。それからは毎月のように契約をいただき数々の賞を獲得しました。
自分を追い込むあまり目先の数字にとらわれてしまう時もありました。ある時、モデルハウスにかなり軽装のお客様がいらっしゃいました。家の中を見たいとおっしゃったので、普段通りご案内しました。お客様はかなりご予算があって真剣に家づくりを検討しているのに、身なりのせいでどのハウスメーカーにも相手にしてもらえなかったそうです。「君は見た目で判断せずに接してくれた。君にお願いしたい」と言っていただき、数字よりもお客様とのつながりの大切さ、一期一会の出会いの貴重さを感じました。

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ハウスメーカーと工務店の良いとこ取りを

その後も仕事に充実感を得ていましたが、大手だからこその設計や間取りの制約もあり、お客様の希望に応えられないことも多々ありました。お客様に夢を諦めさせてしまうのは辛く、もっと自由度の高い家づくりがしたいと思い、7年目に地元の老舗工務店に転職しました。現場の職人さんが敷地内で平気でたばこを吸っていたりして、ハウスメーカーで常識だったルールが通用しないことに戸惑いもありました。喧嘩もたくさんしましたが、とことん話し合って改善すべきところは変えていきました。
起業したのはその数年後のことです。神戸の街に「お客様のことをとことん考える」ことに特化したハウスメーカーが1件ぐらいあってもいいのではないかとの思いからでした。私の考えに賛同してくれた3人の仲間と小さな会社を立ち上げました。ハウスメーカーの高い品質と、工務店ならではのお客様との距離感の近さと自由度の高い設計。両方の「良いとこ取り」の会社にしていこうと決めました。良い材料を使えば良い家は作れますが、第三者の品質監査を入れることで工程の一つひとつに緊張感を持てるようにしています。競合他社を上回る数値を定めればいいというのではなく、その数値の先にどのような暮らしをお客様に提供できるかまで考え抜きたいですね。売る事がゴールではありません。苦労もありますが、従業員たちも誇りを持って働いてくれています。
また、家づくりを振り返った時に「楽しかったな。」と思っていただけるような思い出をたくさん作りたいと考え、お客様にも工事にほんの少しだけ参加していただいたり、打ち合わせ中にお出しするコーヒーやお菓子にこだわったりもしています。
会社を大きくしたり支店を増やしたりすることに興味はありません。「継続」が目標です。私たちの家づくりへのこだわりに共感してくださるお客様と共に、豊かな人生を歩んでいきたいと思います。
「やりたいことを見つけよう」というのはよく若い人たち向けられる言葉ですが、そこに「人のために」というフレーズを付け加えた人生設計をしてみてください。ボランティアだけが人のためではありません。「人のために」という思いを仕事にすることができれば、自分の生き方を「かっこいいな」と誇りに思えるはずです。頑張ってください。

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