原口未緒
1975年東京都生まれ。98年、学習院大学法学部卒業。2002年に司法試験合格。04年に弁護士登録し、10年に未緒法律事務所を開設。三度の離婚を経て、スピリチュアルや心理学を学ぶ。現在は女性の離婚に特化した弁護士として活躍中。希望者にはカウンセリングやヒーリングを行い、相談者の心のケアにも注力している。著書に「こじらせない離婚」(ダイヤモンド社)
https://mio-law.com/

INTERVIEW

女性の離婚を専門に取り扱い、相談者に心理カウンセリングも行っている少し変わった弁護士です。洋服でたとえるなら、既製品ではなくオーダーメイドでしょうか。欲しい服が決まっているならそれを売っている店に行けばいいのと同じで、自分が法律に何を求めるかがはっきりしているならそれでいいのですが、そもそも自分がどんな服を着ればいいのか分からない、既製品を着てみたけどどうもしっくりこない。私の事務所には、そんなモヤモヤを抱えた方が多く訪れます。うちでは、デザイン画から書き直すイメージです。調停や裁判はボタンやファスナーのようにツールの一つに過ぎません。
離婚は大きなストレスがかかるものですが、相談者の方には少しでも晴れやかな表情で帰っていただきたいですし、一人でも多くの女性に自分らしくいきいきと人生を歩んでほしいです。

両親の離婚に大きな影響を受けた

原口未緒

今の私の原点は、両親の離婚だと思います。憔悴(しょうすい)する母の姿を傍で見て「何とかしてあげなきゃ」と思いながら過ごしたので、自然と「円満離婚とは」ということを探るようになっていたのかもしれません。
実は私自身、3回の離婚と1回の事実婚解消を経験しています。子供がなかなかできないとか、相手がお金にだらしなかったとか、原因は毎回違いました。相手を変えれば何とかなるのではないかと思っていました。でも3回目の離婚の時に、自分に原因があるのかもしれないと思って、心理学やスピリチュアルの勉強を始めたんです。私自身もカウンセリングやヒーリングを受けて、離婚を繰り返してしまう原因の根本に母の存在があることが分かりました。母はいわゆる「毒親」だったのですが、私もずっとそのことに気づかず、共依存の関係になっていたのです。
原因が分かったことで「私はそういう人なんだ」と自己肯定できたし、良い意味で開き直ることができたのだと思います。自分の経験が離婚を悩む方の参考になればと思い、包み隠さず公表しました。それまではどこにでもいる普通の弁護士でしたが、メディアに取り上げていただく機会も増え、「円満離婚弁護士」を標榜するようになりました。
私が学んだスピリチュアルや心理学を離婚相談にも活用するようになったのは、相談者のみなさんに笑顔になってほしいから。ただそれだけです。離婚の分野は、法律で解決法を示してあげるだけではスッキリしないものです。相談者が自分でも気づいていない、「私はこうしたい」という思いを、話をじっくり聞きながら引き出し、丁寧にすくい上げる。そうすると、相談者の方は自分が譲れない部分や大切にしている価値観に気づき、納得して前に進むことができるんです。

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円満離婚の形は人それぞれ

円満離婚の定義は人それぞれだと思います。短期間でさっさと終わらせたい人もいれば、悔いが残らないようにとことん争いたい人、なるべく有利な条件で別れたい人、さまざまです。例えば、私の母は金銭的に不利な条件で別れてはいませんし、今も悠々自適に生活しています。それでも「別れたくなかった。もっと納得いくまで粘りたかった」といまだに悔やんでいます。母にとっては金銭の問題ではなかったのでしょう。また、相談者の方で、何年も別居して離婚の相談をしていたけど結局復縁した方もいらっしゃいます。何が正解かは人によって違うのだといつも感じています。
私が考える円満離婚は、お互い、憎み合うことなく次の人生を歩んでいけることです。そういう意味では、私の過去の離婚はどれも円満と言えるのかもしれません。自分を責めやすい性格故なのか、相手を責めたことがないんです。2度目の結婚相手にいたってはとんでもないヒモ男でしたが、それでも「こんなにお金を使わせた私が悪い」と自分を責めました。相手を攻撃せず「私が悪かったから離婚してください」と初めから白旗を上げるので、相手も私を攻撃できないんですよね。この結婚は自分の人生にどんな意味があったか、出会って一緒になって、子どもまで生まれた意味は何なのか。自分自身を振り返ることができれば、円満離婚はしやすいのかなと思います。

私が初めてセラピーを受けた時、セラピストに「感情の言葉がない」と指摘されたんです。両親が離婚で揉める姿を見て、自分の辛さや寂しさを封じ込めていたのかもしれません。「どう感じますか」と聞かれて、頭で考えて答えてしまう癖がついていました。相談者の方にカウンセリングをしていると、私と同じパターンの人が多いなと感じます。人からの評価や正しい答えばかりを求めるあまり、自分がどう感じるかという部分が置きざりになっているのです。
そのことに気づいてからは、自分の感性を大事にするようになりました。若者の皆さんも、自分の感じていることや心の声を大事にしてください。答えはすべて自分の中にあります。

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