福留拓人
東京エグゼクティブ・サーチ参画以前は米系コンサルティングファームにて米国・欧州進出企業のための進出支援プロジェクトに従事。
日本へ帰国後はオリックス株式会社に勤務した後、教育系企業のCHO(最高人事責任者)を歴任。
顧問企業での常駐型人事コンサルティング・プロジェクトにも従事。経営会議への定例出席、HR観点からの戦略的助言や経営レベルからの採用・教育・制度設計のコンサルティングもサーチと付随して手がける。
https://www.tesco.co.jp/

INTERVIEW

クライアント様に毎度失礼を承知で申し上げるのは、「ヘッドハンティングは現経営陣の怠慢・失敗の産物だ」ということです。本来、有能な人材を採用し自社で育成するサイクルが機能していれば、ヘッドハンティングの必要はないはずです。私たちのサービスを利用するということは、採用や経営に問題があるということです。
私たちの最終目標は人を送り込むことではなく、お客様に私たちのサービスが必要がない会社になっていただくことなのです。そのために、お客様にとって耳の痛い話をすることもあります。モノやサービスがあふれる時代ですが、お客様にとって本質的に役に立つサービスだけを提供していきたいですね。

地道に足で稼ぐ人探しで難易度の高い人材を発掘

福留拓人

私たちはヘッドハンティングを行う会社ですが、転職したい人ではなく、「転職してほしい人」を探すのが特徴です。「ピュアサーチ」と呼んでいますが、完全な潜在層にだけアプローチをして通常の転職市場にはまず現れないような採用難度が高いポジションの人材を発掘することに特化しています。特別なポジションや特殊技術を持つような人材と接触するためには、高度なデジタル技術を駆使するよりも、泥臭くコツコツと足で稼ぐほうが近道なのです。市場や業界内で「この人は非常に仕事ができる」と評判の人材を人づてに聞いて回ったり、業界紙などメディアに露出している人をリストアップしたりしながらアプローチしていく手法はまるで一昔前の刑事のようです。驚くほどアナログなやり方ですし手間はかかりますが、採用が難しいポジションほど強みを発揮できます。
私が入社したのは、ちょうどリーマン・ショックによる不景気真っ只中の頃でした。どの業界も大打撃を受けており、私たちの会社もご多分に漏れず苦労していました。50代後半ぐらいの社員が多数を占める中、私だけが30歳前の若手だったので、ヘッドハンターの一人としてマイペースにやっていこうと気楽に考えていたのですが、入社から1年半で役員の打診を受けたのです。「若者の発想を取り込みたいのだろう」とこれも気楽に考えていたのですが、さらにその1年半後には社長に任命されました。まさか3年で会社の指揮をとることになるとは思いませんでした。
社長就任後も景気の低迷は続きました。そんな時は本業に自信を失い、他の事業に目が向きがちですが、小さな会社では経営資源にも限りがあったので、新しいことを始めるよりも原点回帰を強め、より一層ピュアサーチの強みを生かしていこうと決めました。
不景気で大半の企業が採用を渋る中、この時期だからこそ優秀な人材が市場にあふれていると考える企業も増え始めていました。しかし、本当に優秀な人材は、この不況下でも所属企業で活躍を続けているはずで、そのような人材にこそ市場価値があると私たちは考えました。敢えて単価を大幅に引き上げ、これまでにない付加価値をつけてより質の高いサービスを提供しながら状況を乗り切ろうと試みました。

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クライアント企業も、振り向いてもらう努力を

リーマン・ショック後の10年は黒字経営を継続できていますが、コロナ禍のようにこれまで予測もつかなかった大きな環境の変化もあり、社会を取り巻く状況は年々変わっていきます。できる限り先手を打って準備を続けていかなければなりません。
デジタル化や効率化が進む中、苦労は無駄なものだと捉えられがちです。この業界でも、人探しのツールや仕組み化は年々進化しています。だからこそ、手間をかけ、たとえ非効率的でも地道に足と行動量で稼ぐサーチビジネスの手法を大切にしたいですね。「人の思いつかないこと」をやるのではなく、「誰もやりたがらないこと」を徹底してやり抜いていくのが私たちのやり方です。若い社員たちにもその価値観、哲学を継承していきたいと思います。
また、ヘッドハンティングは私たちだけが頑張っても成功しません。優秀な人材を見つけて、拝み倒したからといって説得に応じてくれる人ばかりではないからです。転職の必要性を感じていない人に振り向いてもらうためにはクライアント企業の努力も不可欠で、ロマンを感じられるような企業のビジョンや戦略を示していかなくてはなりません。お客様と二人三脚で、優秀な人材を活躍させる環境を整備して魅力的な企業を作りあげていくことも私たちの役割です。

若い人たちに必要なことは、まず自分自身のスタンスや目標、希望を描くことです。そして、自分を偽ったり、ごまかしたり、遠慮したりしないことが大切です。成功や失敗などというのは他社が評価することではなく、最終的に自分で判断と評価をすればいいと思います。他人の目を極端に恐れることなく、自分自身が納得できる「苦労と努力」を積み重ねていただきたいと思います。

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