青山恭明
1959年に大阪市東成区にお寺の次男として生まれる。2007年8月に株式会社サイエンスを設立。設立当初から、浄化水装置、マイクロバブル入浴装置など、水にこだわった商品の開発・製造・販売で事業を展開をしてきた。15年には、ライフデザインホーム事業として住宅の販売を開始。現在も「新習慣」というキーワードのもと、新たな生活習慣の価値を提案し続けている。
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INTERVIEW

大阪万博があった1970年、私は小学4年生でした。50年も昔のことですが、あの時の感動は今でも忘れません。初めてピザを食べたこと、最先端技術を駆使したコードレス電話や動く歩道に興奮したことを鮮明に覚えています。
2025年にも再び大阪万博が開催されますが、次は私たちが出展してファインバブルの技術を世界中の人に見てもらいたいと思っています。ファインバブルは日本が生み、世界をリードする気泡の技術です。私が子供の頃に味わった感動を多くの人に体験してほしいですね。

アトピーで苦しむ娘を救いたい一心で

青山恭明

大阪でお寺の息子として生まれましたが、次男だったので自由に育ちました。わがままでやんちゃで、中学生ぐらいまでは親が何度も学校に呼び出されました。高校生の時、付き合っていた彼女とどうしても結婚したかったので、早く一人前になりたくて卒業と同時に就職。タイヤメーカーや不動産などいろんな業界を転々としました。試行錯誤しながらも営業力をつけ、当時の会社で営業成績はトップに。20歳で教材機器メーカーの営業本部長に抜てきされました。結婚して子供も3人授かり、まさに順風満帆でした。

しかし、私と妻を非常に悩ませる出来事が起こります。三女が重度のアトピー性皮膚炎だったのです。小学校に上がると肌が原因でいじめられ、泣きながら帰って来るようになりました。この辛さは同じ悩みを持った親にしか分からないでしょう。あらゆる治療法を模索し、名医の噂を聞けば全国どこへでも行きました。しかし、一時的に改善することはあってもまた元に戻ることの繰り返しでした。
その頃、偶然手にとった本に「水道水に含まれる塩素が入浴などで肌に吸着し、アレルギー反応を起こして肌が痒(かゆ)くなる」と書いてあるのが目に留まったのです。これはと思い、友人に依頼して塩素を分解する薬剤を入れたシャワーヘッドを作ってもらいました。娘はしばらくシャワーのみで過ごしました。すると、あれだけ悩みの種だった娘の肌がわずか3カ月できれいになったのです。妻と涙を流して喜びました。そして、娘のように重度の肌荒れで悩む人たちの手助けができるのではという思いから、商品化へとつながっていきました。

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最初は怪しまれたマイクロバブル

さらにある時、工場で電子部品や精密機械を細かな気泡で洗浄する光景を見て、このシステムを浴槽に取り入れて人の体を洗えないだろうかと思いました。肌が弱く、体を擦って洗うことができない娘を持つからこそ思いついた発想です。友人の協力を得ながら商品開発に取り組み、苦心の末に直径1千分の1ミリの微小な泡が発生するマイクロバブル入浴装置を生み出したのです。すぐに取引先のマンションデベロッパーがマンションの標準仕様として採用してくださったのですが、最初は誰も飛びつきませんでした。「マイクロバブルなんて聞いたこともない」「何だか怪しい」という反応です。そこで、モデルルームにお試し用の装置を置いて来場者に手を浸して効果を体感してもらうと、すぐに話題になり、大手デベロッパーやハウスメーカーにも採用していただけるようになりました。テレビでも紹介されたことで知名度と売り上げは大きく伸びました。
得体が知れぬと敬遠されていたバブルですが、今では健康、美容などを含む民生品から医療や介護、農業、水産など幅広い分野に切り込もうとしています。海外からの需要も増えてきたところです。「ファインバブル」という総称を得て、気泡の細かさも国際標準化されました。国内において、JISでもファインバブルの基本原則が昨年発行されました。これまで積み上げてきたものが、ようやく日本のテクノロジーとして認めてもらえるところまで来たなと感じています。

起業当初の年末、会社の立ち上げメンバー3人で温泉に浸かりながら、「いつか社員が増えて利益が出せるようになったら、社員全員とその家族を温泉旅行に連れて行きたいな」「そうなるように頑張ろう」と語り合ったものです。温泉旅行は4期目に実現し、毎年恒例行事になりました。この旅行は社員への感謝はもちろんのこと、社員の家族に対して「いつも家族の貴重な時間を奪って申し訳ないが、どうか力を貸してください」とお詫びとお願いをする場でもあります。私は社員に常々「会社が目指す方向性の上にそれぞれの夢を乗せてほしい。会社の夢の実現が個々の夢の実現につながるように頑張ろう」と話しているので、社員の家族にもサイエンスがどんな会社でどんな夢に向かっているのか、見てほしいのです。私は、社員もその家族のこともみんな自分の家族だと思っています。

何かビジネスをしたいと考えている若い人たちに伝えたいのは、利に走らず理念をしっかり定めるのが大切だということです。経営者の一番の目標は理念の達成です。世の中に対して自分は何を与えるのかが大事なのではないでしょうか。
また、夢というのは絶対実現できる一番遠い目標です。かなわないのは、自分が勝手に諦めてしまっただけ。どんなことがあっても追い続けるのが夢だと思います。

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