協賛:電通テック、マイデータ・インテリジェンス

日経電子版ビジネスフォーラム 生活者がコントロールするマイデータの信託サービス~その活用と価値~

21世紀の石油とも言われるようになったデータ。新たな経済成長の種として期待が高まる一方、個人データに関しては2018年5月にEUで「GDPR」が施行されるなどその保護が課題として浮かび上がっている。日本でも生活者が個人情報の提供先を自らコントロールし、企業がそのデータを商品やサービスに活用する新たな仕組み作りが進んでおり、その流通基盤整備の一翼を担う情報銀行の役割に注目が集まっている。2018年11月22日に開かれた日経電子版ビジネスフォーラムでは、個人データの将来像について行政や学識経験者、関連企業の経営者らが集い、議論を深めた。

開始挨拶


フォト:石井 尚二氏

生活者主導のプラットフォーム構築を

マイデータ・インテリジェンス代表取締役社長

石井 尚二

冒頭あいさつに立ったのは、株式会社電通テックの子会社、マイデータ・インテリジェンスの石井尚二代表取締役社長。同社は生活者から預かった個人データを流通させるプラットフォームとして、マイデータ・バンク「MEY」の一部サービスを2018年11月から開始している。

石井社長は、個人データを登録した生活者に便利なサービスを提供するとともに、企業のマーケット活動を支援するようなデータ流通のエコシステム作りが必要だと指摘。生活者主導のシステムを構築するために、フォーラムを通じて「今後なにが最良の策であるかを模索する機会にしてほしい」と参加者に呼びかけた。

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基調講演


「データ流通の基盤整備についての課題」

データ活用、
利用者のメリットに立ち返る

内閣官房情報通信技術総合戦略室 内閣参事官

吉田 宏平

米国のIT大手の個人情報漏洩事件、欧州連合(EU)が5月に施行した「一般データ保護規則(GDPR)」――。個人を中心としたデータの活用について、世界的に大きく局面が変わろうとしているなか、日本政府でもルール整備の議論が進んでいる。内閣官房情報通信技術総合戦略室の吉田宏平内閣参事官は「生活者にとってどうしたら利便性の向上につながるのか考える時期にきている」と語る。

政府はPDS(パーソナル・データ・ストア)や情報銀行の制度や枠組みについて整理し、「情報信託機能の認定に関わる指針ver1.0」を2018年6月にまとめた。本指針をもとに一般社団法人日本IT団体連盟が認定を開始し、来年早々には第1号の認定を出すべく進んでいるという。

フォト:吉田 宏平氏

PDSや情報銀行のメリットとして「金銭やポイントなどの還元が注目されているが、それが全てではない。生活者に提供されるサービス全体の向上、利便性や体験価値の向上にも視野を広げるべきだ」と吉田氏は強調する。企業の視点から見ても、生活の全てをカバーできる企業はないため、企業同士が協調して新しいサービスを生み出すにはデータの共有は避けて通れない。

こうしたデータ活用を推進する上で、個人にいかにデータを戻すか、すなわち個人によるデータの管理がどこまで及ぶかということが重要な論点になっている。個人が完全に管理するケースもあれば、事業者に委託したうえで利用者がある程度管理できる状態にしておく、例えば消去できる機能の実装なども考えられる。

データの範囲も検討課題だ。金融や医療などの情報については基本的に「センシティブデータ」として情報銀行の利用の対象外としてきたが、「局面によって留意すべきポイントは変わってくる。その最たる例が医療・ヘルスケアだ」と吉田氏は語る。例えばスマートフォンで自分の健康データを持ち歩き、旅先で病院に行ったときにそのデータを使ってもらう場合は診療の局面でのデータ活用として検討すべきであるし、健康診断の結果をデータ化して運動などの指導に活用したりすれば、診療以外での局面でのデータ活用としてその扱いを検討すべきと考えられる。

さらに吉田氏は「利用者への説明についてもさらに議論すべきであり、仮に1度同意をとったとしてもそれをどこまで持続させていいのか」という論点も指摘した。

個人データの活用に注目が集まるが、吉田氏は「危ないと思われた瞬間に風がやむ領域でもある。利用者に便利だと思われるようになって初めて定着する」と、個人起点での仕組みの構築が重要だと説く。

吉田 宏平/内閣官房情報通信技術総合戦略室(IT総合戦略室)内閣参事官。1994年郵政省(現総務省)入省、携帯電話の新規参入などの制度整備に従事、2013~15年に電通に出向、18年から現職。

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講演


「AI・IoTの社会実装に不可欠なデータ流通」

今は情報通信分野の「歴史的な岐路」
100年後に悔やまないデータ政策を

東京大学 大学院情報学環 副学環長ユビキタス情報社会基盤研究センター長

越塚 登

続いて東京大学 大学院情報学環 副学環長でユビキタス情報社会基盤研究センター長の越塚登教授が登壇。「AI・IoTの社会実装に不可欠なデータ流通」と題して講演した。

越塚教授はまず冒頭、「今は世界のICTが歴史的な岐路にある」と指摘。かつて同様の現象があったのが19世紀で、日本と海外を結ぶ海底ケーブルが敷設された時に敷設企業に通信事業の独占権が与えられたこと、またコンテンツの分野でも欧州の通信社が世界を分割して情報を独占し、そのために日本が苦労したことを紹介した。越塚教授は「情報を制するものが世界を制する。100年後に悔やまないために今なにをすべきかを考えなければならない」と強調した。

フォト:越塚 登氏

続いてデータが動かす社会を考えるうえでデータの種類を3つに分類。そのうちオープンデータのデータセット提供については日本政府の取り組みはかなり進んでいるものの、「市町村レベルではまだ2割にとどまるうえ、民間が担う公共交通などの分野ではまだオープンになっていないものも目立つ」と述べた。こうした課題を解決するためデータのプラットフォーム作りも進んでいるという。

2つ目は企業が中心となる産業データ。ドイツのインダストリー4.0など外国が先行しているイメージがあるが、元は日本の方が進んでいたという。日本の取り組みは波があるため、足元では先行されているが、最近は再び勢いが増している。実際に産業データ活用が有効な分野としては意外にも農業などがあり、データを使った収穫量拡大や出荷予測などに効果が出ているという。

3つ目の個人データについては自身で制御できるようにすべきだとの考えが広まっているが、一方で全部を管理するのが難しいのも事実。越塚教授は「技術で克服できる部分は乗り越え、難しいなら情報銀行などに預ける方法がある」と話す。

具体的な個人データの活用例になり得るものとして越塚教授が挙げたのが観光と宅配。旅行では個人情報を提示する機会が多く、クラウドにデータを蓄積することで個人好みのサービスを受けやすくする方法があるという。また宅配については、スマートメーターを使って不在状況を調べれば再配達を大幅に減らせるというシミュレーションを紹介。「不在を知られることに不安を覚える人はいるだろうが、今のままだと宅配業者に不在を知られてしまうのは同じ。むしろプライバシーだからこそ人ではなくAIやロボットに任せるという考え方もできるのではないか」と話していた。

越塚 登/東京大学 大学院情報学環 副学環長、ユビキタス情報社会基盤研究センター長。YRPユビキタス・ネットワーキング研究所・副所長などを経て現職、専門は計算機科学、近年は社会基盤としての情報システムに関心を持つ。

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講演&ディスカッション


「持続的な企業活動支えるマイデータ流通とテクノロジー

企業が連携して
初めて真のデータ流通が実現

マイデータ・インテリジェンス取締役COO

森田 弘昭

医療から金融、農業まであらゆる産業でデータ活用が加速しているが、解決すべき課題は多い。生活者の目線では「インターネット閲覧履歴などが様々な事業者に自動送信され、自分の情報が管理できていないという不安がある」とマイデータ・インテリジェンス取締役COOの森田氏は指摘する。

また、企業側から見ると自社サービスで取得できる顧客のデータというのはパズルの1ピースにすぎず、具体的なサービス展開には情報量が足りない。さらに情報漏洩のリスクや情報の量・質を担保するコストを考えると、1社で展開するには限界がある。

個人情報管理・運用プラットフォームとして、電通テックとマイデータ・インテリジェンスは情報銀行「MEY」を11月に立ち上げた。連絡先や購買履歴、位置情報などの個人情報を預けた人に対して、その人に合った商品情報や割引クーポンなどが届く仕組みだ。

情報銀行には様々な企業が参入を表明しているが、森田氏は「企業が連携して初めて真のデータ流通が可能になる」と説く。安心感のあるユーザーインターフェースをどう作っていくか、企業はどのように信用を担保していくのか、企業間連携をどう進めるのか、様々な課題を乗り越えなければならない。

個人データ流通の課題をテクノロジーで解決しようとしている企業の取り組みをパネルディスカッションで紹介した。

森田 弘昭/マイデータ・インテリジェンス取締役COO。広告代理店の営業を経て1998年電通テック入社。2005年から電通で不動産、大手流通チェーンなどを担当。デジタルマーケティングセンター長、ID事業室長を歴任。18年から現職。

フォト:ディスカッションの様子

情報の連携、安全性の担保 新しい技術で解決

フォト:太田 祐一氏

DataSign Founder代表取締役社長

太田 祐一

今までは企業がいかにデータを集めるかということが議論の主題になっていたが、SNSの個人情報漏洩事件やGDPRの施行、カリフォルニアでの消費者プライバシー法成立などの世界の流れを見ると、個人中心でのデータ活用が議論されつつある。

例えばグーグルの行動履歴とアマゾンの購買履歴の両方のデータをもとに広告を打てると便利だが、今の仕組みだと企業間取引になるためできないのが実情。個人に一旦データが戻る仕組みになると、個人に対してデータ利用のオファーを出せるので、ルール上も問題がなくなる。こういったことを実現しようとしているのが当社の「paspit」というサービスだ。

フォト:深津 航氏

Scalar CEO/COO

深津 航

海外では個人が企業に対して「私のデータを忘れてほしい」という指示ができるサービスはあるが、自分のデータがどこの誰に渡ったのか、個人で完全に把握する術はない。企業にとってもデータを確実に消し、さらに消したことを証明するのは難しい。当社はここにブロックチェーンの技術を応用できないかと考えた。

情報銀行の利用者がデータを預けたというログを載せ、非特定情報に書き換えてデータセットにして渡す。別の企業に渡した場合、それを利用した企業がどういう目的で使ったのかを追記する。どこに流通したのかを確認できる技術を開発している。

フォト:大山 健司氏

Planetway Japan 常務執行役員

大山 健司

当社は米国のIT大手が情報を独占している状況から、データの主権を個人に戻すことをミッションにしている。エストニアには政府や企業が分散型でデータをやり取りできる情報連携基盤「X-Road」があり、全国民は「国民ID」を通じて行政や企業からサービスが受けられる社会を既に実現している。これを日本の企業間で応用できるように開発したのが「PlanetCross」と「Planet ID」だ。

東京海上日動火災保険と九州の飯塚病院との間で個人の許諾に基づいて通院データを保険会社へ送る実証実験を行った。これにより約2カ月かかっていた保険金の支払いプロセスが半分に短縮できた。

データ囲い込みより、新しい価値の創出を
具体的検討のターニングポイントに

フォト:福田 勝氏

マイデータ・インテリジェンス
取締役 福田 勝氏

福田「paspit」では生活者がデータを渡してくれるかの実験をしているが、進捗状況は。

太田調査会社のインテージと共同で実証試験中だ。肌の状態などについてのインテージのアンケートデータをパスピットに入れて、回答者に「答えをもらえれば肌の状態にあった化粧品を推奨する」というオファーを出したところ、承諾率は85%ぐらいとかなり高い結果が出た。

企業が自分で囲い込むのが今までの世界。データを開放してサービスで勝負する世界に日本もなる。それに備えた顧客コミュニケーションやデータ整理をしていくべきだと思う。

福田個人データの流通は米国が進んでいるようだが。

深津海外を見ると確かにたくさんデータ取っているが、忘れ去られる権利をきちんと担保しているところが勝ち残っている印象。即座に消せるかどうか、消したことを証明できるか、といったところが利用者に受け入れられるための条件になっている。

福田Planetwayのサービスは共通言語を企業間で持つ発想だが。

大山よくある既存の仕組みではAPIがあるが、データの種類によって個別の開発が必要になる。Planetwayでは共通モジュールを既存システムに埋め込むだけで済むので、データ流通の基盤として広まればと期待している。注力領域として金融とヘルスケア、スマートシティーに注目しており、それぞれで実証プロジェクトが進行中だ。

福田企業に対して生活者側からのリクエストでどんどんデータが流通していく時代になると、企業は囲い込むのではなく、保有しているパーソナルデータを利用して新しい価値をどうやって生んでいくかという発想の転換が重要になる。加えて、自社にない情報をどうやって調達して生かしていくかも検討する必要がある。既に情報銀行といったプレーヤーや、データ流通を実現するテクノロジーも色々と登場しており、具体的な検討をするターニングポイントにきていると感じる。

■パネリスト

太田 祐一/DataSign Founder 代表取締役社長。日本発のDMP開発に携わり、企業がパーソナルデータを活用するためのプロダクトを複数開発。データ活用の透明性確保のためにDataSign設立。MyData Global founding member。

大山 健司/Planetway Japan 常務執行役員。外資系コンサルティング会社などを経て2012年日本IBM入社。16年からIBMの技術を活用したベンチャー企業育成を推進するプロジェクトを推進。18年、Planetwayに参画。

深津 航/Scalar CEO/COO。1998年日本オラクル入社。ビッグデータ事業の立ち上げを担当。主に金融事業などのインフラ事業者を担当。日本オラクル退社後、Orbにて営業・事業開発に従事。18年にScalarを共同創業。

福田 勝/マイデータ・インテリジェンス取締役。1998年電通テック入社。消費財メーカーやチェーンストアに対して、顧客購買データ分析や施策プランニングに携わる。現在はマイデータ・インテリジェンスでセールスを統括。

3

パネルディスカッション


「ユーザーと産業がシンクロする情報銀行の期待と課題」

情報銀行、重要な社会的機関になる可能性
期待と課題でパネルディスカッション

パネルディスカッションでは世界における個人データ利用の現状と日本の課題、協調領域の重要性、将来に向けた展望など、様々な切り口からの議論が行われた(パネリストは、板倉陽一郎氏、石山アンジュ氏、青木貴博氏、江端浩人氏、コーディネーターは有園雄一氏、肩書き・プロフィールは後述)。

個人データの使い方、情報銀行が支援

フォト:有園 雄一氏

有園 雄一氏

有園まず情報銀行に関する課題整理をしたい。

板倉アプリを導入する際にプライバシーポリシーや利用規約に全て目を通している人はいない。一つ一つのアプリごとにプライバシーに関する意思決定するのは無理なので、使い方の大枠を定めて情報銀行に預け、支援してもらうというのが基本的な考えだ。集めた個人データを米西海岸の企業だけに使われるのは困るし、一方で今から日本国内でデータを集めるのも簡単ではない中、本人の意思を反映して使える個人データが求められていることが背景にある。欧州がGDPRで「域外であっても欧州人のデータを守る」北風作戦に出たのに対し、日本はこの器を使えばサービスが利用できるようにして投資を呼び込もうとしているという見方もできるだろう。

有園確かに欧州は個人データを個人の基本的人権と見て守ろうとしている。

石山シェアリングエコノミーの世界でも最近はエアビーアンドビーやウーバーといったプラットフォーマーに対する個人の反発が大きくなっている。企業は個人データを管理する役割にふさわしくないとして、企業がデータを独占しない形でのシェアエコノミーへの取り組みが出てきた。

フォト:板倉 陽一郎氏

板倉 陽一郎氏

板倉欧州では個人データの保護を基本的人権と見なしているため、それに関する取り決めでトレードオフはあり得ない。それだけ欧州のデータが米西海岸に流れることに危機感を抱いているのだろう。保護の対象となる特定個人が識別できるデータについても、欧州は広めに取っている。

江端統計上のデータとなってしまうと、その中で特定個人の評価だけ抜き取るのは難しそう。むしろ情報流通の仕組みを広げる際には、ユーザーが喜んでデータを出せる仕掛けが必要ではないか。リンクトインのように、自分の履歴を出すと仕事のオファーが来るような仕組みだ。


協調領域作り、危機感が背景に

フォト:青木 貴博氏

青木 貴博氏

有園radiko(ラジコ)は協調領域を作り上げた実績を持っている。

青木ラジコにそれができたのは広告収入がピークの半分に減り、ラジオを聞く習慣がなくなりつつあったから。若者に接するチャンスを作るには大同団結が必要だった。ユーザーが1日に使うアプリの数は限られており、残り少ない座席に入るためには入り口を1つにしなければならなかった。今では1日120万~130万人が聴取しており、有料会員も54万人いる。この夏からはラジコオーディオアドを開始し、ターゲティング広告にも取り組み始めた。それだけに個人のデータについてはとても知りたいし、実際に膨大な個人情報のデータを使ったサービス提供に取り組んでいる。

江端広告についても今は広告主の意思を反映する仕組みになっているが、むしろユーザーがこういう情報を欲しいと述べ、それを選別して送るようにすればいいのではないか。

有園テレビの世界でも同時配信はやらざるを得なくなっている。ラジコではどうやって協調領域を作ったのか。

青木プラットフォーム化できたのは危機感を共有していたからだ。悩みが一緒だからと結ばれることもある。ただし権利処理は大変。ラジオは音だけだがテレビになると肖像権なども絡むので、さらにハードルが高いのではないか。

有園ラジコは自分で番組を編成できる機能も持っているそうだが、これは生活者がデータを主導する情報銀行と同じ方向性と言えるかもしれない。


リテラシー向上するようなサービスを

板倉インターネット広告などに利用されるDMPは、本人がアクセスできないところで企業がPDS(パーソナル・データ・ストア)を運営しているようなもの。ここに個人がアクセスできて、それにダメ出しできるようになればPDSのようになる。またPDSにアクセスする時間も、他の娯楽との競争になることを忘れてはならない。他のアプリより面白くなければ使われない可能性がある。

江端せっかくAIがあるのだから、個人の反応を学習していけるようになってほしい。ここに預けてよかったという流れになればいいのではないか。

フォト:石山 アンジュ氏

石山 アンジュ氏

石山便利な方に行くとそこしか使わなくなり、その企業がデータを独占するという問題が起きる。ビッグデータがインフラ化したときのリスクを考えなければならない。中国アリババ集団グループの「芝麻(ゴマ)信用」のように、その評価次第でサービスが受けられなくなるといったリスクが出てくる。

有園欧州でGDPRが成立した時、これで欧州はAI開発で遅れるという話があった。一方で中国のように人権を気にせず情報を取ることがいいAIの開発に直結するとも限らない。多様性が必要だと思う。

板倉日本にとっては企業が国内でサービスしなくなることが最悪。近代民主国家としては中国のような方法はダメだが、情報銀行があり後ろめたくない方法で個人データを使える市場があれば企業も来てくれるのではないか。

フォト:江端 浩人氏

江端 浩人氏

石山これからは個人のアクションに価値がある時代になる。具体的なルール作りはこれからだが、その際にはプレーヤーとして個人を入れるべきだ。シェアリングエコノミー協会でもこの9月から個人会員を受け入れるようにしている。

青木ラジコとしてはまずユーザーを知りたいと思っている。それがさらなるユーザーサービスにつながると考えている。

江端情報リテラシーをどう広めていくかが課題になりそう。リテラシー教育などをベースにサービスが普及していくことを考えるなら、情報銀行に触れれば自然にリテラシーが上がるようなサービスにする、使うのが自分のためになるサービスをたくさん作ることが必要。

有園情報銀行は社会的にも大事な機能となるだろう。データを吸収し拡大するテクノロジーの中で、置き去りにされる個人が出てきている。情報銀行がそうした動きを管理するような、重要な社会的機関になるのではないかと期待している。

■コーディネーター

有園 雄一/株式会社電通総研カウンセル兼フェロー。オーバーチュア(現ヤフー株式会社)、グーグル株式会社などを経て2016年にzonari合同会社を設立、株式会社電通デジタル客員エグゼクティブコンサルタント、マイデータ・インテリジェンスコンサルタント。

■パネリスト

板倉 陽一郎/ひかり総合法律事務所 パートナー 弁護士。主な取り扱い分野はデータ保護法、IT関連法、知的財産関連法など、2010年から12年に消費者庁に出向し、個人情報保護制度の国際関係に携わる。

石山 アンジュ/シェアリングエコノミー協会事務局渉外部長。株式会社リクルート、株式会社クラウドワークスなどを経て現職、内閣官房シェアリングエコノミー伝道師、総務省地域情報化アドバイザーなど。

青木 貴博/radiko代表取締役社長。株式会社電通で主にラジオの業務に従事、2009年IPサイマルラジオ協議会運用担当(事務局)、11年株式会社radiko設立と同時に出向、17年6月から現職。

江端 浩人/江端浩人事務所 代表。総合商社、ITベンチャー創業、日本コカ・コーラのバイスプレジデント、日本マイクロソフト業務執行役員、株式会社アイ・エム・ジェイCMO、株式会社DeNA執行役員などを歴任、デジタルマーケティング人材育成にも尽力。

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