三井物産

未来に「挑む」を。三井物産と。

vol.1

アジアのヘルスケアにイノベーションを

 変化が激しく、正解のない時代。世界中で、ダイナミックにビジネスを展開する三井物産は、「共創」を進化させている。さまざまパートナーとともに、未来をつくる取り組みを紹介する「未来に『挑む』を。三井物産と。」。vol.1では、同社がアジアで展開するヘルスケア事業を取り上げる。新型コロナウイルス感染拡大を受け、エッセンシャルビジネスに一層期待が高まっている。その中で三井物産がヘルスケア事業に懸ける思い、パートナーとともに目指す未来などに迫る。

Chapter 1

なぜ、アジアでヘルスケア事業?

加速度的に増加
アジアの医療費拠出額

アジアにおける医療費拠出額の推移

出典:OECD、世界銀行、三井物産推定

圧倒的不足
アジアの病床数

人口1000人あたりの病床数

出典:OECD、世界銀行、シンガポール政府、経済産業省

医療の需給ギャップを埋める

 アジアでは近年、疾病構造の変化が進んでいる。これまでは感染症が一般的だったが、所得増、高齢化といった条件が相まって、糖尿病や高血圧といった生活習慣病の患者が増えているのだ。それに伴い、医療費はGDP成長率を上回るスピードで増大。2030年には現状の4倍ほどに膨れ上がるとみられている。既に病院のベッド数はじめ医療従事者や医薬品なども不足しており、質・量ともに十分な医療サービスが行き届かない「医療の需給ギャップ」が顕在化している。

三井物産が描く
「ヘルスケアエコシステム」

場 患者さんのニーズに合わせた最適な医療の提供

人 医療従事者の育成・派遣/紹介

サービス 医療機関の業務をアウトソーシングで効率化

モノ 医薬品の開発・製造・販売、医療材料・機器

データ ヘルスケアエコシステムをつなぐ基盤

満足度の高い医療サービスを

 医療の需給ギャップを埋め、治療の品質を高めながら費用対効果の高いサービスを提供することを目指し、三井物産は総合力を生かして「ヘルスケアエコシステム」の構築を推進している。病院という「場」を中心に、「人」「モノ」「サービス」「データ」を質・量ともに高めて有機的につなげる。このエコシステムの中核をなす病院事業で、三井物産がタッグを組んだのが、アジア最大級の病院グループとして実績とブランドを兼ね備えるマレーシアの「IHHヘルスケア(IHH)」だ。

Chapter 2

アジア最大級の病院グループ
「IHH」とともに目指す未来

世界10カ国
80病院
15000床超を展開

2020年10月時点

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世界で最も信頼される
ヘルスケアサービス・ネットワークを

 IHHはマレーシアとシンガポールの証券取引所に上場、世界有数の株式時価総額を誇る。三井物産は2011年と19年に総額約3000億円を出資。現在32.9%の株式を保有する筆頭株主として、ともに経営を担う。IHHのケルビン・ローCEO(最高経営責任者)は、「世界で最も信頼されるヘルスケアサービス・ネットワークの実現」をビジョンとして掲げる。病院実務のプロ集団として既に確固たる地位を築いているIHH、長期的視野を持ちビジネスを開拓する三井物産。両社は目指す未来像を共有し、互いの強みを生かしながらともに新たな価値の創造に挑んでいる。

IHH傘下のマレーシアの病院で

IHH傘下のマレーシアの病院で

「イノベーションを企業文化とし、
互いの成長を加速」

 IHHには現在、三井物産から5人の社員が出向中だ。その一人、青井祐輔はイノベーション専任部隊を立ち上げ、経営の中枢で同部隊を率いている。ベンチャーキャピタルやICT企業への出向経験がある青井は、デジタルと何らかの産業を結び付ければ新たな事業が生まれるはずと考え、特にヘルスケア分野に可能性を感じていた。一般的に医療をはじめヘルスケア分野は、エビデンスを重視することから保守的で、イノベーションには慎重な傾向がある。しかし青井は、長期的な経営視点からデジタル活用の将来性を説き、周囲の理解を得ながらイノベーションに取り組んできた。これまでにオンライン診療やAIによる入院治療費予測などをIHHのメンバーとともに実現し、患者満足度アップにつなげている。青井は、「イノベーションを企業文化として定着させたい。それが、互いの成長を加速させる推進力になるはず」と話す。

青井祐輔/IHH バイスプレジデント(前列右から3人目)新アイデア創出を目指す社内イベント「イノベーションチャレンジ」で

青井祐輔/IHH バイスプレジデント(前列右から3人目)新アイデア創出を目指す社内イベント「イノベーションチャレンジ」で

Chapter 3

デジタルで加速する
新しい医療サービス

予約から薬の受け取りまで、
フロー全体で捉えるオンライン診療

自宅と病院をつないで診察・診断

薬の処方・配送

患者ニーズ起点で進めていた準備が
コロナ禍で奏功

 IHHでは2020年5月にオンライン診療を開始した。導入までの期間はわずか2カ月。青井は「イノベーション推進の仕組みが経営に根付いていたからこそスピーディーに実現できた」と振り返る。以前から患者ニーズを感じ準備を進めていたところ、コロナが拡大。より安心安全に医療サービスを受けたいという要望の高まりに、待ったなしの局面で奏功した。経営戦略ともリンクしている。アジアは日本に比べ民間病院が多く競争が激しい。青井たちはWithコロナ、Afterコロナを見据え、患者の満足度を上げることは競争優位の確保につながると考えたのだ。オンライン診療は技術やオペレーションに加え、対面診療との組み合わせや薬の受け渡し方法なども含め、フロー全体で設計する必要がある。インドやマレーシアなど8つの国と地域で展開し、各地の状況や課題を共有しながら最良の方法を見いだしていった。現在、オンライン診療は浸透しつつあり、傘下病院での患者の利用率が平均7~10%に達する国や地域も出てきている。

「AIによる入院治療費予測」
新サービス開発にもつながる

 AIによる入院治療費予測は、現場の声をヒントにスタートした。シンガポールでは入院前に費用の見積もりを伝える義務がある。しかし実際の費用と大きな差が生じることが多々あり、患者の不満要因になっていた。そこで青井はAIのスタートアップ企業とともにシステムを開発。精度の高い見積もりを提示できるようになり、患者満足度が大幅に向上した。このシステムは、AI導入の優良事例としてシンガポール政府から表彰されている。青井は「イノベーションの面白さは、予測しない側面にもプラスの効果が波及すること」と話す。AI予測は、特定の手術費用の総額を事前に確定し保証する新たなサービス開発のきっかけにもなった。IHHは約3000万人の患者データを保有している。青井は、「まだまだ『眠れる資産』といえるデータをもっと有効活用すれば、新たなイノベーションが起こせる」と確信している。

「ヘルスケアエコシステム」から
広がるウェルネス構想

治す・治療

未病/予防/予後

より豊に輝く人生

より豊かに輝く人生を

 アジアのヘルスケア市場で知見を蓄えながら、三井物産がこの先に見据えているのが「Wellness as a Service(ウェルネス・アズ・ア・サービス)」だ。治療だけでなく、予防・未病・予後も含め、人々により豊かに輝く人生を送ってもらうためのサービスの提供を目指す。「ヘルスケアエコシステム」から、より広い領域へ。既にさまざまな事業展開が始まっている。青井は「三井物産全体で考えれば、まだまだ新しい事業が創出できるはず。互いの強みを生かし相乗効果を期待できるパートナーとともに、イノベーションをより進化させ、必ず実現したい」と、未来に思いをはせる。

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