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俳優 内野聖陽氏
グランドセイコー60周年記念企画 いま「時」を、思う 第三部 挑戦の「時」を、思う 俳優 内野聖陽氏インタビュー すべての仕事が“世界戦”と挑戦心を奮い立たせる
俳優 内野聖陽氏
グランドセイコー60周年記念企画 いま「時」を、思う 第三部 挑戦の「時」を、思う 俳優 内野聖陽氏インタビュー すべての仕事が“世界戦”と挑戦心を奮い立たせる
 

誕生から60周年を迎えたグランドセイコーの道のりを振り返りながら、今、ビジネスパーソンに求められることを考える本企画。

第三部のテーマは、「挑戦の『時』を、思う」。漠然とした不安感が漂い、さまざまな課題が目の前に立ちはだかる今の時代。それでも恐れることなく前を見つめ、一歩を踏み出す気持ちだけは失いたくない。

長いキャリアの中でそれを常に体現してきた不屈の俳優、内野聖陽氏。仕事に対するストイックかつ真摯な姿勢、たゆみなき挑戦の精神に触れ、未来を切り拓くパワーをもらった。

内野聖陽(うちの・せいよう)俳優。1968年生まれ、神奈川県出身。早稲田大学政治経済学部在学中に文学座研究所に入り、役者を志す。演劇からミュージカルへと活動の幅を広げる一方、NHK大河ドラマ『風林火山』をはじめ数々のテレビドラマや映画に出演。ヤクザ役で出演した三池崇史監督の映画『初恋』は今春の日本公開に先駆け、昨秋全米公開されたことも話題に。昨年出演した舞台『最貧前線』では第70回文化庁芸術選奨文部科学大臣賞を受賞。また主演ドラマ『きのう何食べた?』が第16回コンフィデンスアワード・ドラマ賞を受賞。同作は来年、映画化される予定。来春放送のNHKテレビ小説『おかえりモネ』ではヒロインの父親を演じる。
chapter 01
すべての仕事が世界戦だ!

大学在学中に演劇の世界に飛び込み、以降はミュージカルやテレビドラマ、映画など、さまざまな舞台で活動してきました。ただ、25年に及ぶ役者人生の中でとりわけ大きなチャレンジは何だったかと聞かれても、僕には答えられません。1つ1つの仕事が挑戦だと、常に考えてきましたから。

僕はいつも、「戦いに挑む」というスタンスなんです。どんなに小さな仕事でも、その戦いのリングを最高のものにするのは、自分自身だと思っています。「この程度でしょ」という感覚だと、本当にその程度のリングで終わってしまいます。それじゃ、仕事がつまらなくなる。でも、「これは世界戦だ!」と自分を奮い立たせて挑めば、どれも最高のリングになると思っています。

この時重要なのが、「これを成し遂げられれば、俺はまた1つ新しい自分を発見できる」という、高いハードルを仕事ごとに必ず設定すること。「こういう演技方法って、これまであまりやったことがなかったな」ということに、あえて挑戦するようにしているんです。

なぜヒットの上を目指さないのか

仕事に臨む時、自分を鼓舞したり戒めたりするために、毛筆で気になる言葉をよく書き記します。作品と本気で向き合い、アンテナが敏感になっている時にしか出てこない思いを焼き付けておくには、なぜか墨で書くのがしっくりくる。心を落ち着かせ、精神を研ぎ澄ませる効果もあるんですよ。その作品に携わっている間は、目につくように部屋の壁に貼っておくこともあります。

始めたのは、十数年前かな。今では、その書を保存しているファイルが何冊も溜まっていますね。

例えば、〈勝負時を見すえろ〉という言葉。それぞれの作品には、「ここを外したら絶対にアウト」という「肝」のようなものがあるんです。それは演じるキャラクターの特性であったり、作品におけるクライマックスであったり。見てくださる方が一番興奮するポイントや、僕自身が心揺り動かされる部分でもあります。どんな仕事にも、そういう肝ってありますよね。それはいわば、勝負時。全体を俯瞰してその勝負時を見極め、そこに全身全霊を捧げてぶつかっていく。その大切さを胸に刻むために書いたのでしょうね。

〈ヒットを打てた今日の自分に絶対満足するな。どうしてホームランを打てなかったのかを考えろ〉と書いたこともあります。これは確か、野球選手の言葉。バッターにとって、最大の目標はホームランですよね。それなのに、塁に出ただけで満足するのはおかしい。なぜヒットの上があるのにそこを目指さないのか、と。

それは、役者でも同じ。常に最高の状態を目指していないと人は成長できないと頭ではわかっていても、ついヒットで満足してしまいそうになる。僕にもよくあるんです。この言葉は、そんな自分に喝を入れるために記したものです。

役を演じる前は必ずビビる

こんな話をするとすごく強気な人間に見えるかもしれませんが、実は毎回、1つの役を演じる前にはビビってますね。「今の俺にできるかな」「無理じゃないかな」って。ここまでいろいろな役をやってきても、まだビビる。でも、その恐怖感や不安感とせめぎ合いながら、それらを上回る気迫で立ち向かっていかないと、見る人を作品世界に心地よく誘うような表現をするのは難しいと思っています。要は、最後は気合です(笑)。気迫あるなしの問題だと思ってます。

もちろん、つらいと感じる場面もやっぱりあります。どんな仕事もそうでしょうけれど、厳しい状況に挑めば挑むほど、苦闘も多くなる。

中でも特に記憶に残るのは、2014年に公開された久保田直監督の映画『家路』に参加させていただいた時です。2011年の東日本大震災の後、故郷が立ち入り禁止区域に設定されて戻れなくなった家族の物語。その中で、僕は先祖代々受け継いできた土地を失い、農業を続けられなくなってしまった長男を演じたんです。その時に感じたのは、「役を演じるとは、これほど難しいのか」ということでした。

映画『家路』
長いキャリアの中でも役作りに特に深く苦悩し、大きなチャレンジとなったと振り返るのが、2014年に公開された映画『家路』に参加した時だ。福島を舞台に、東日本大震災後に先祖代々守ってきた土地と農業という仕事を失う長男の役を演じた。『家路』ブルーレイ・DVD発売中 発売・販売元:ポニーキャニオン (C)2014『家路』製作委員会
映画『家路』POST
chapter 02
「俺に表現できるのか」と頭を抱えた

いつもは自分の中にあるさまざまな要素をかき集め、それを膨らませたり変形させたりしながら想像力を駆使して役を演じている気がします。

でもこの作品で生きる人間を演じるには、現実に起こった事件が虚構の枠をあまりにも超えてしまっていました。そして、自分自身も、東北で起きたことの事実に打ちひしがれて、勇気というものを失っていたのかもしれません。僕ら虚構に携わる人間があまりにもひ弱に見え、「この喪失感や絶望感を、いったいこの俺に表現できるのか。どうしたらいいんだ」と頭を抱えました。今こうして振り返ってみても、自分の役者人生の中で一番苦しんだ作品だったと思います。

でも、その壁を乗り越える糸口が見えたのは、現地の方々との触れ合いの中でした。それだけのつらい思いをされていても、みなさん笑顔でたくましく生きていらっしゃる。「“生きる”ってすごいことだ」と心から感じました。みなさんの姿や言葉から逆に勇気とエネルギーをいただいたことで、自分なりの芝居を見つけることができ、なんとか演じ切れたかと思っています。

笑えてほのぼのできる役も楽しみたい

昨年春に放映されたテレビドラマ『きのう何食べた?』で演じたケンジという役も、僕にとっては、新境地を切り拓く大きな挑戦の1つでした。僕が扮したのは、西島秀俊さん演じる料理上手な弁護士シロさんの恋人で、乙女なハートの美容師ケンジ。男2人暮らしの温かな食卓を通して、人生に起こる小さなドラマを丁寧に描いた作品です。

『臨場』の検視官、倉石義男もそうだし、『JIN−仁−』の坂本龍馬もそうだったかもしれないけれど、今まで僕が演じてきた役は、ある意味無骨で男くさいものが多かった。でも、このケンジという役は、ポカーンとした抜けた表現とか天然っぽい空気感が大切な要素なんです。

それって、これまであまりこだわってこなかった方向性の演技なのですが、今、自分の中ではこの領域が1つのテーマになっていて。例えれば、尊敬する役者の1人、大滝秀治さんのような味のある抜け感。実はこう見えて僕も天然ですから(笑)、それがうまく表現に出てくるといいなというちょっとした野望を抱いています。笑えたりほのぼのできたりするような表現をもっと研究していきたいですね。

どうしても眉間にシワが寄って心が塞ぎがちになってしまう今だからこそ、「縮こまっていちゃ、いかんな」「人生、楽しまなきゃ」と思っていただけるような作品に関っていけたら嬉しいです。

俳優 内野聖陽氏
この腕時計は振る舞いを変えてくれる

腕時計って、若い時はクロノグラフとかいろいろな機能がついていて、それが目に見えるのがカッコいいと思っていたけれど、この歳になると、時の流れを静かに感じさせてくれるものがちょうどいい。特に本当に分刻み、秒刻みで進んでいくせかせかとした忙しい時代には、時の流れを感じる道具はそうあってほしいと思います。その点、このグランドセイコー(SBGK007)はすごくすっきりしていて品があって、素敵ですね。

このガラスの丸みがいいなあ。1つ1つ磨いているんですか?やっぱりそうだよね!だから、腕につけると贅沢な感じがして、心を豊かにしてくれるんですね。まさに、日本の職人技の極みだなと感じます。

僕は今、52歳なのですが、普段はまだまだやんちゃな部分もあるんですよ。でも、年相応に振る舞うということも、時には求められます。役を考える時には基本的に内面からアプローチする方なのですが、外側から作っていくことも内面を変化させるのに不可欠だと思います。こういう腕時計をすると、やっぱり振る舞いも変わってくる。少し大人な、優雅な気分にさせてくれますよね。

SBGK007
グランドセイコー エレガンスコレクション SBGK007と、内野氏の書。それぞれの仕事に挑戦する中で、「この作品の勝負どころはここだなと思うと、なぜか知らぬ間に筆を手にとって文字を書いているんですよね(笑)」(内野氏)。達筆だが、本人いわく「自己流です。これまで誰にも見せてない。恥ずかしいな」

撮影協力:東京芸術劇場

Elegance Collection
「時」を、まとう
  • SBGK007
    “挑戦”の精神が凝縮された腕時計と共に、次なる高みを目指すグランドセイコーエレガンスコレクションSBGK007

    今年、60周年を迎えたグランドセイコー。その長い歴史は、ものづくりに携わる技術者たちの「挑戦」の軌跡でもある。1960年、「世界に挑戦する国産最高峰の腕時計をつくる」という志のもとに誕生した初代グランドセイコーは、国産では初めてスイスのクロノメーター検査基準優秀級規格に準拠。1968年には国産初の自動巻10振動モデルを発表し、2000年代には、機械式時計とクオーツ式時計の良い部分を融合させた第3のムーブメント「スプリングドライブ」を進化させるなど、次々と高い目標に挑み、それをクリアしてきた。

    その伝統を受け継ぐヘリテージコレクションに加え、さらに近年は、デザイン領域を大幅に拡大。洗練されたドレスウオッチや遊び心のある本格スポーツウオッチなどが加わり、いっそう着用シーンが広がっている。

  • 内野氏が選んだのは、グランドセイコーの新たなチャレンジを体現するモデルの一つ、エレガンスコレクション「SBGK007」。長年平面を用いたデザインを得意としてきたグランドセイコーにあって、曲線を大胆に取り入れた丸みのあるフォルムが特徴だ。

    熟練の匠の技が生み出す鏡面のように滑らかなケースに、両面から徹底的に磨き込まれた歪みのないドーム形状のデュアルカーブサファイアガラスが柔らかさをプラス。文字板もふっくらと盛り上がり、その丸みに添うように分針とパワーリザーブ表示針も緩やかなカーブを描く。ダイヤル上にはパワーリザーブ表示機能があり、最大巻上時約72時間持続。手首にぴたりと寄り添う無駄のない薄型のシルエットが、最高峰を目指して常に躍動し続ける人の腕で、そのチャレンジを静かに見守る。

    SBGK007キャリバー
SBGK007 [ Grand Seiko Elegance Collection ]

ムーブメント:手巻「9S63」
駆動時間:最大巻上時約72時間(約3日間)持続
精度:平均日差+5秒〜−3秒
外装:ステンレス
ケースサイズ:横39mm×厚さ11.6mm
バンド材質:クロコダイル

THE NATURE OF TIME The Japanese Spirituality of Time

グランドセイコーの進化は卓越した技術はもちろんのこと、それを実現してきた匠たちのたゆまぬ情熱、深い愛情によって実現されてきた。先人の功績を連綿と引き継ぎながら理想を追い求めて自らを乗り越え、さらなる高みを目指す。


ここで綴られるブランドストーリーは日本発の真のラグジュアリーブランド、グランドセイコーと匠たちとの60年にわたる歩みの軌跡である。

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