主催:一般社団法人東京国際金融機構(FinCity.Tokyo)
共催:日本経済新聞社 後援:金融庁
開会挨拶
「ポストコロナにおける東京の
国際金融都市としての役割」
「ポストコロナにおける東京の国際金融都市としての役割」
中曽 宏
東京国際金融機構(FinCity.Tokyo) 会長
ポストコロナ社会では、気候変動対策とデジタル化という2つの課題に対し設備投資需要と内外投資家の投資資金とを結びつけるファイナンスの場が必要だ。東京がそれを提供し国際金融センターとして独自性を発揮していくため、さらなる課題解決に取り組み、次のステージに進んでいきたい。
講演1
「国際金融都市構想に関する
政府の取り組み」
「国際金融都市構想に関する政府の取り組み」
中西 健治 氏
財務副大臣
金融センターの分散を通じ、金融資本市場の強靭(きょうじん)性を高めていく必要がある。日本が国際金融センターの役割を果たして他国の市場と相互補完の機能が発揮できるよう、海外金融事業者の参入規制の見直しや税制面の措置、高度外国人材の生活・ビジネス環境改善等の施策を着実に実行していきたい。
講演2
「資産運用業に対する期待と
資産運用高度化に向けた
金融庁の取り組み」
「資産運用業に対する期待と資産運用高度化に向けた金融庁の取り組み」
赤澤 亮正 氏
内閣府副大臣(金融担当副大臣)
企業・経済の持続的な成長と国民の安定的な資産形成を実現していくため、資産運用業は重要な役割を担っている。資産運用業の高度化に向けて資産運用会社との対話を継続するともに、世界の国際金融センターとしての地位確立のために高い専門性を持つ海外資産運用会社等の新規参入の円滑化に取り組んでいる。
講演3
「『デジタル都市・東京』の
構築に向けて」
「『デジタル都市・東京』の構築に向けて」
宮坂 学 氏
東京都副知事
急激に加速する社会経済のデジタル化を支え、ビジネスや生活の場としての東京の魅力を高めるなど国際金融都市東京の構築に不可欠な基盤をつくるため、東京都は「デジタル都市・東京」構築に向けて取り組んでいる。産業の振興や都民生活向上に貢献する金融産業でもデジタル化の進展を期待している。
講演4
「外資の立場から見た
日本の国際金融都市化」
「外資の立場から見た日本の国際金融都市化」
フィリップ・アヴリル 氏
国際銀行協会 会長
日本はここ1、2年の間に国際金融都市に関する取り組みが進み、規制緩和や金融当局と金融機関の対話の活発化、検査プロセスの改善、税制改正などの進展には目を見張るものがある。日本が世界の金融センターとなるため、今後は外資系企業の参入を容易にするファイアーウォール規制撤廃を含む規制改革や「貯蓄から資産形成へ」の流れを加速させてほしい。
パネルディスカッション1
「国際金融都市に向けた
期待と課題」
田村 アルベルト 氏
モルガン・スタンレー・ホールディングス
代表取締役社長
菅野 暁 氏
アセットマネジメントOne
取締役社長
翁 百合 氏
日本総合研究所
理事長
〈進行〉川崎 健日本経済新聞社 編集委員 兼 論説委員
これまで日本の国際金融都市構想を阻むものは言葉と税金と言われてきた。進行役の川崎が「海外の運用会社が業務しやすい環境が少しずつ整備され、税制改正も行われるなど進展が見られる」と述べたのに対し、翁氏は税制に着手できたのは大きな一歩としながらも東京ならではの特色を打ち出し、「規制緩和や環境整備、決済システムの高度化、デジタル化など、より進んだ施策が求められる」と語った。
菅野氏もインフラの一部が整ったと評価しつつ「インフラの上に何を載せていくのが重要。特に、公募投信の自由化が必要だ」とした上で「今後、海外の運用会社が日本に進出してくれば競争が促進され、運用の高度化が進む。公募投信はこれまでのシニア層の余資運用から、すべての世代の資産形成のためのものに変わっていかなければならない」と語った。
田村氏は「東京を国際金融都市にすることは、海外の投資家だけでなく日本の金融関係者にとっても重要であり、個人投資家のリテラシー向上と、優秀なポートフォリオマネージャーの育成が大切だ」と述べた。今後の取り組みとしては「スタートアップ企業も国際会計基準を使うのが望ましい」と提言した。
パネルディスカッション2
「資産運用の高度化と
投資家の役割」
奥野 一成 氏
農林中金バリューインベストメンツ
常務取締役兼最高運用責任者(CIO)
坂本 教晃 氏
東京大学エッジキャピタルパートナーズ
取締役 パートナー
ジェイソン・ロー 氏
GICジャパン 総合戦略投資部
シニアヴァイスプレジデント
テッド・リー 氏
カナダ年金基金投資委員会
シニアポートフォリオマネージャー
〈リモート登壇〉
〈進行〉有友 圭一東京国際金融機構(FinCity.Tokyo) 専務理事
投資家の視点でコロナ禍をどうとらえ、投資家の役割はどう変わるか。政府に何を要望するか。進行役の有友氏からのこうした問いに対し、奥野氏は「構造的に強靭な企業を厳選するという投資方針はコロナ禍でも変わらない」とし、「投資家は社会に本当に必要な企業に投資し、対話するというオーナーシップを発揮することが重要」と答えた。
日本の大学や海外に投資する坂本氏は「テクノロジーが浸透するには社会が変わる必要がある。コロナ禍は社会に変革をもたらし、それによってテック投資が進展する」と説き、ベンチャー投資促進のためのシンプルでスピーディーな施策を要望した。
一方、シンガポールの外貨準備を運用しているロー氏は「パンデミックでDX(デジタルトランスフォーメーション)とサステナビリティーという2つの流れが加速した。これからは日本の優秀なニッチ産業に投資したい」と語った。リー氏は「デジタル化が進んでも長期視点では投資方針やアロケーションなどは変わらない。日本には優秀な人材が豊富で他国が学ぶべきものが多いが、今後は他の金融都市との競争はより激しくなるだろう」と指摘した。
パネルディスカッション3
「DXを通じた産業金融の高度化
とイノベーション推進」
山岡 浩巳 氏
フューチャー 取締役
フューチャー経済・金融研究所長
「デジタル通貨フォーラム」座長
呉村 益生 氏
経済産業省 経済産業政策局
産業資金課長
坂田 一郎 氏
東京大学 副学長
大学院工学系研究科/未来ビジョン研究センター 教授
南雲 岳彦 氏
三菱UFJリサーチ&コンサルティング
専務執行役員
〈リモート登壇〉
〈進行〉富田 秀夫 氏リフィニティブ・ジャパン 代表取締役社長
ディスカッション冒頭に進行役の富田氏が①DX②産業金融③イノベーション④東京――という4つのキーワードを示した。DXに対して呉村氏は「DXそのものが大事なのではなく、DXによって経営の仕方を変え新規ビジネスを生み出すことが重要。データ活用で付加価値を生む環境整備を進めていきたい」と述べた。
日本初の大学債を発行した東大の坂田氏は「DXによって価値の創出源がモノから知・情報に転換し、知識集約化時代がもたらされた。これからの知的な無形の価値への投資を期待したい。大学債市場の形成に対して、国際金融都市東京に力を貸してほしい」と強調した。
山岡氏は「コロナ下では雇用確保と企業の存続が優先されたが、これが長く続くとモラルハザードにつながる」と述べ、コロナがもたらす経済の構造変化を産業金融がどう支えるかが課題だと説明。南雲氏は「DXは都市化が生む社会課題の解決に役立つ。スマートシティーの推進では金融機関のアドバイザリー機能に期待したい。デジタル人材を東京から地方へ展開していくことも重要だ」と説いた。
閉会挨拶
小池 百合子 氏
東京都知事
「東京を世界に冠たる国際金融都市として復活させる」という決意の下、国や民間の皆様と連携しながら多面的な取り組みを果敢に展開し、「国際金融都市・東京」の確立、ひいては日本経済の発展につなげたいと考えている。東京都ならびに「FinCity.Tokyo」の活動への理解と一層の協力をお願いする。
本イベントは、東京都の「国際金融都市・東京」構想に基づく金融プロモーション事業の一環として開催しました。