KDDIとシスコシステムズ(以下 シスコ)は17年4月、ビデオ会議の機能を中核にチャット、ファイル共有/閲覧、アプリケーション間通話などのビジネスコミュニケーション機能を統合化したクラウドサービス「Cisco Webex」(旧名Cisco Spark/18年4月に改称)の提供・普及においてアライアンス契約の締結を行った。目的は革新的なビデオ会議の仕組みをテコに、日本企業の働き方改革を加速させることだ。この大目標のもと、KDDIはCisco Webexをベースとしたソリューションを「Cisco Webex with KDDI」の名称で展開し、KDDIのスマートデバイス、ネットワーク、サービスなども組み合わせて提供している。また併せて、Cisco Webexを自社内に導入し、自らの働き方改革に役立てる一方、蓄積した活用ノウハウやナレッジをソリューション強化にも生かしている。KDDI梶川真宏氏とシスコ石黒圭祐氏の対談は、その話題から口火を切った。
シスコ 石黒:シスコとのアライアンスを機に、KDDIではCisco Webexを自社内でも活用していただいていますが、まずはユーザー目線でCisco Webexをどう評価しているのかについてお聞かせください。KDDIは早い時期から働き方改革に関するさまざまな取り組みをされていると思いますが、Cisco WebexはKDDIの働き方改革でどのように使われていますか?
KDDI 梶川:Cisco Webexのビデオ会議は、音声・画像の品質がすこぶる良く、遠隔地にいる相手との対話にもまったくストレスを感じません。誰かと会議を始めるのも、会議に参加するのも実に簡単です。実際の利用を通じて、Cisco Webexが世界市場で圧倒的なブランド力とシェアを有している理由を身をもって感じました。
シスコ 石黒:現在、KDDIでCisco Webexを利用されている方の数はどの程度でしょうか。導入から1年弱が経過されたと思いますが。
KDDI 梶川:利用者の裾野はすでに社内60部門/3,300IDに広がっています。最初は私の部署からのスモールスタートでしたが、他の部門の方はその様子を見て「これは便利だ」という口コミのような形で現場での活用が急速に広がっていきました。とりわけ遠隔の複数拠点と対話することの多い法人営業担当者の間では、かなり普及が進んでいますね。結果、お客さまにCisco Webexをお勧めする際の営業担当者の説得力がどんどん増しています。何しろ自分たちで利用し、便利さを実感しているわけですから。
シスコ 石黒:それはうれしい限りですね。ちなみにCisco Webexはクラウドサービスですが、セキュリティーを不安視するような声は社内になかったのでしょうか?
KDDI 梶川:KDDIは通信事業者ということもあり、セキュリティーには相当厳格ですし、ビデオ会議を通じた社内の対話には秘匿性の高い情報も含まれます。ですから、Cisco Webexの社内利用に際しては、セキュリティーがひとつの懸案事項になったのは確かです。ただし、シスコによるセキュリティー機能の拡張もあり、Cisco Webexのセキュリティー機能はかなり充実し、クラウドサービスとして当社のセキュリティー要件を十分満たすレベルに達しています。またKDDIならではの取り組みになりますが、クラウドサービスのIDを一括管理する「KDDI Business ID」サービスを組み合わせて、セキュリティーレベルを上げています。そのためセキュリティーに対する社内の懸念が払拭され、利用が一挙に広がりました。