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2016年11月の『押さえておきたい良書

自分を変える習慣力

「たった一つの習慣」があなたの人生を変える!

『自分を変える習慣力』
三浦 将 著
クロスメディア・パブリッシング
2015/11 240p 1,380円(税別)

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 「将来に対して、なんとなく不安や焦燥感がある」「自分の能力に限界を感じる」「人間関係がどうもうまくいかない」というように、ネガティブな気持ちを抱えながら毎日を過ごす人も多いのではないだろうか? それを「たった一つの習慣」を身につけることで改善できるとしたらどうだろう? 本書はそんな、誰にでもできるほんのちょっとしたコツを、具体例を挙げながらわかりやすく指南してくれる。
 そのからくりは、自分自身の「潜在意識」を味方につけること。私たちがふだん何かを感じたり、考えたりする「顕在意識」は、実は、行動を決定する心の動きの氷山の一角にすぎない。人間のほとんどの行動は潜在意識に支配されているという。ダイエット中なのに甘いものに手を出してしまうといった「わかってはいるけれども、やめられない」行動は、潜在意識のしわざなのだ。
 本書が説く「たった一つの習慣」は、潜在意識のプログラムを書き換えるスイッチを入れるものだ。たとえば「毎朝5時に起きる」という習慣がスイッチになって、潜在意識のプログラムが書き換えられる。そうすると、その他の行動も自動的に変わっていくのだ。本書を読めば、どうすれば効果的に潜在意識を働かせるスイッチを入れられるかがわかるようになる。
 著者は人材育成・組織開発コンサルタント、エグゼクティブコーチとして活躍する「コーチングのプロ」。オリンピック日本代表アスリートなどのメンタルコーチの経験もある。

潜在意識を動かすために「頑張りすぎない」

“習慣化の最初のフェイズで大事なことは、「成果を上げること」ではなく、「定着させること」です。(中略)例えばダイエットなら、最初の3週間をダイエットのための運動の習慣や、食事コントロールの習慣を定着させることに集中し、この段階では体重の増減に一喜一憂しないということです。”(p.59より)

 良い習慣をつけようと張り切るのはいいが、本書によれば、「頑張りすぎる」のはかえって逆効果だ。欲張ってつい「あれもこれも」と始めたくなるものだが、まずは一つのことに集中する。また、上に引用したように、すぐに成果を確かめないことが大事だ。
 潜在意識には「安心安全第一で動く」特性があるのだという。頑張りすぎると、安心安全が脅かされ、潜在意識が動いてくれなくなる。たとえば「スポーツクラブに通う」という習慣をつけようとするときに、初めからハードメニューをこなそうとせずに、お風呂に入るだけでもいい。そうやってスポーツクラブという場所に対して、まず潜在意識が「安心する」ことが重要なのだ。

「人それぞれ考え方が違う」という前提を忘れない

 本書では、「スイッチとなる習慣」を身につけた次の段階として、コミュニケーションや心の習慣のつけ方についても伝えている。著者は、とくにコミュニケーションの習慣は「人生を根本から変える可能性がある」とまで言う。
 良いコミュニケーションを習慣化するには、ある「勘違い」をしないことが前提になる。それは「自分の頭の中にある世界が、相手の頭の中にある世界とほぼ同じだと思ってしまう」という勘違いだ。人の価値観や考え方はそれぞれ違う、ということが頭では理解できていても、相手に「伝えなくては」という気持ちが強くなると、この前提をつい忘れてしまう。まずは「人はそれぞれ違う」という前提を強く意識する習慣をつけることが大事なのだ。(担当:情報工場 吉川清史)

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2016年11月のブックレビュー

情報工場 読書人ウェブ 三省堂書店