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BtoB市場の

デジタルマーケティングを
どう進めるか

提供:アクセンチュア
BtoB市場のデジタルマーケティングをどう進めるか

アクセンチュアのコンサルタントが、デジタル技術の最先端で起きている変化の波頭、すなわち「Edge」の実像に迫るインタビューシリーズ。第3回は「BtoB市場のデジタルマーケティングをどう進めるか」をテーマに、通信・メディア・ハイテク本部シニア・プリンシパルの太田和良氏(左)と、デジタルコンサルティング本部プリンシパルの片桐英毅氏(右)が対談した。

そのデジタルマーケティングで売れますか?

対談風景

お二人は異なる部門ですが、一緒に仕事をしているそうですね。これまでの経歴と、現在の業務内容を教えてください。 line

太田 私は新卒でアクセンチュアに入社し、これまで長く携わってきたのはCRM(顧客との関係を構築・管理するマネジメント)の分野です。マーケティング、営業、フィールドサービス、コールセンター業務において企画からシステム導入といった改善、改革支援を経験してきました。現在は通信、メディア、ハイテク産業の顧客を中心に、BtoB市場でのCRM改革を主に手掛けています。

片桐 私は中途入社で昨年3月にアクセンチュアに入社しました。それまではウェブ戦略のコンサルティング企業で、戦略立案、カスタマーエクスペリエンス戦略の設計などをやっていました。前職でマーケティングオートメーション(MA)導入コンサルティングサービスを起ち上げたことを契機に、BtoB領域のデジタルマーケティングに深く関わるようになりました。現在はデジタルマーケティングの中で、見込み顧客を管理し購買プロセスを促進するリードマネジメント(見込み顧客を獲得・育成し、受注を最大化すること)領域を専門に担当しています。

対談風景

急速なデジタル化により顧客と企業の関係も劇的に変わりましたね line

太田 BtoBは組織購買であり、複数の人が購買に携わります。大きく分けて、商品・サービスの利用者、購買担当者、意思決定者の3種類の関係者がいます。基本的に商材・サービスが高額であるため、他社との相見積もり、性能比較が必要となり受注に至るまでのリードタイムも長い。近年では顧客側の情報収集力がデジタル活用によって向上しており、営業担当者と接触する前に購買意思決定プロセスの6割を終えている、という調査結果もあります。買い手側に主導権が移っているといえます。そのため、より早い段階から買い手側の動向を正確に把握して売り手側から積極的に情報提供することが必要で、マーケティングが顧客の購入プロセスに対する重要な役割を担っていることが理解できます。

アクセンチュアには顧客からどんな依頼が増えているのでしょうか。 line

太田 マーケティングの領域においては、デジタル対応する必要性はわかるが、どこから手を付ければよいかわからない。もしくは、すでにMAツールなどを導入したりウェブサイトを改善したりなどの対応をしているものの、思うように効果が出ないというものです。共通していえるのは、「デジタル化」「デジタル導入」という言葉が先行し、マーケティングで本来なすべき営業貢献、受注につなげるという概念が後回しになっている、ということです。

対談風景

具体的にはどういう課題がありますか。 line

片桐 マーケティング部門から営業部門に渡されるリードが、営業部門の欲しい尺度で識別されていない状態であるケースが多いのです。営業は渡されたリードをみても期待できる受注確度や、本当に今商談にいくべきなのかがわからないため、アプローチは慎重になりますし、優先度を下げた結果アプローチしないことも多い。また、マーケ側は営業に渡す際の根拠に自信が持てないため、見込み客を丁寧に育てようとし過ぎて、引継ぎが遅くなる、結果的に営業に渡せないといった事象もあります。MAツールでリードの購買プロセス管理やスコア付けなども可能ですが、その判断軸を営業とすり合わせて整合していなければ、いくらここをデジタル化しても意味をもちません。

太田 マーケティング活動と営業貢献のリンクが見えにくく評価されないという課題もあります。本来、営業部門のKPI(重要指標)とマーケティング部門のKPIは、いずれも売り上げ増という大きな目標につながりやすいものでした。しかし、デジタル化が進むにつれ、広告やウェブページの閲覧数、メールの開封率、クリック率といった施策への細分化された個別の反響をKPIとすることが多くなっています。これらは施策の評価としては具体的でわかりやすい一方で、受注にどの程度影響しているのか評価するのが大変難しいのです。

 例えば、商談会で5千人の集客があったことをどう評価するか。去年から2ケタ増えたからよしとするのか、それとも訪れた顧客のうち、1年以内に商談につながる確率は10%、その中から受注できるのが2%としたら、今回の成果は10人となります。仮に今回の成果目標が200人だった場合、来場者は10万人必要だったと逆算されるため、それで評価できるのか。その差は非常に大きい。「受注するためにこのKPIを見ていくことが必要だ」ではなく、「データが取れるから、その中からKPIを選ぼう」となっている、つまり、営業とマーケ間でKPIを考えるときの目線がずれていることが多いのです。だから、営業から見るとマーケが追っているKPIの意味が分からない、もっと言ってしまえば、マーケティング活動が営業に貢献していないと感じられる、そうしたすれ違いが起きてしまうのです。

片桐 デジタルマーケティング人材を育成したい、という依頼も増えていますね。背景にはデジタルマーケティングツールの知識は豊富だが、基本的なマーケティングの知識が少ないマーケティング担当が多いことが挙げられます。顧客データベースはある、最新のツールはそろっている、でもセグメンテーション、ターゲティング、ポジショニングといったマーケティングのスキルがある人材より、デジタルオペレーションの経験者が重視される傾向があります。デジタルマーケティング人材というときに、肝心なマーケティングの部分が抜け落ちているように思います。

太田 視点を組織に向けてみると、マーケと営業の間ではもっと意識の擦り合わせが必要と感じる場面が多いですね。日本企業では多くの場合、営業部門の力が強くマーケティング部門の活動が軽視され、組織間に隔たりが生じていることがあります。本来であれば、「こんな業種の、このような立場で、こんなニーズを持っている見込客が欲しい」と営業がマーケにターゲット見込客像を具体的に伝え、これをもとにマーケは施策立案し実行に移す、このような関係が理想的です。しかし、営業に気を遣うあまり、余計な手間や時間をかけさせないようにとマーケだけで施策立案・実行するものだから、せっかく見込客を獲得しても営業側が動いてくれない。このような状況が本当に多くて残念な限りです。こうした場合、デジタル化にあわせて人材と組織の課題を解決することが必要ですね。

対談風景

そうした課題に対して、アクセンチュアはどんなソリューションを提供しているのでしょうか。 line

太田 まず大前提として、なぜデジタルマーケティングが必要かというと、顧客からのアプローチがデジタル化し、それに対応することが求められているからです。そして、「組織として売れる」仕組み・体制づくりが大事です。営業とマーケティング部門が連携し、目標を共有して動くことが重要です。また、そのうえで、全顧客接点、Web、営業、コンタクトセンター、サービス提供者が有機的に顧客に働きかける仕組みをつくることが重要です。逆に、売るための体制ができていなければ、そもそもデジタル化の前に仕組みづくりから始める必要があります。私たちは、まずお客様がデジタル化を進める目的は何か、そのための戦略、組織、人材はどうなっているか、と現在の状態をアセスメントさせていただきます。その上で、企業の中期的な経営目標と照らし合わせて、各事業や製品ごとに何が必要で、何が足りないかを精査していきます。顧客の目標と検討の深度に応じて、必要な改革のサポートをさせていただきます。

他社に比べた優位性はどんなところですか。 line

太田 カバーする領域の広さですね。私たちは戦略策定・デジタル化から、お客様に届けるコンテンツの作成・提供までワンストップで対応できます。ビジネスのゴールに最適なマーケティング活動・施策の優先順位設定のご支援といったコンサルティング、デジタル化の技術的な支援およびIT構築、組織づくり、人材育成まで手掛けます。

片桐 マーケティングに必要なコンテンツをつくる子会社をグループ内に抱えていることも大きな強みですね。これは2016年に、デジタルマーケティングを手掛けるアイ・エム・ジェイを買収することで可能になりました。また、よりお客様が戦略策定・施策実行に注力できるよう、定型的な分析・調査作業のアウトソースや、イベント企画や実分析など、実際の業務に入り込んでお客様に伴走しながらスキルやノウハウを根付かせていくといったご支援も可能です。

対談風景

最後に、これからやってみたい仕事はどんなことでしょう。 line

太田 顧客体験の向上は今やBtoB領域でも至上命題です。そして現在、コンサルティングとビジネス実務の明確な垣根が良い意味で崩れつつあります。ビジネスにおける指南者から価値共創までを求められる伴走者になっています。今、日本にはCMO(最高マーケティング責任者)的な立場の方が非常に少ない。僭越ですが、実事業の参謀として支えながらそういった方々を一人でも多く日本に誕生させていくことができればと思います。

片桐 教育を通じた人材育成に関わっていきたいと思います。私は美術大学の出身ですが、仕事をしながら複数の大学院で学んで3つの経営学修士を取得し、コンサルティング業界へ進みました。この経験の中で、学び始めるのに遅すぎることはなく、学ぶことで夢を現実化できることを体現しました。今度は私が、お客様や自社の若手メンバーの夢や希望を実現するため、教育を用いてお手伝いができればと考えています。

ノンストップカスタマーモデル

現在顧客はマスメディアやメール、Web、SNS、コンタクトセンター、店舗いつでもどこからでも意思決定をするために必要な情報を入手しています。
そして実体験と評価を繰り返しながら、自身もあらゆる手段で情報提供者となり、つながり続け循環し続けているのが現在の企業や顧客の姿です。

対談風景

アクセンチュア株式会社
通信・メディア・ハイテク本部シニア・プリンシパル 太田和良氏

 ジャズ、パンク、プログレなどの音楽を聴きながらお酒をたしなんだり、時たまギタリストとしてバンドにも参加したりします。また、オフの日しか履く機会がないのですが、スニーカーが大好きで自宅の一室は靴倉庫と化しています。

アクセンチュア株式会社
デジタルコンサルティング本部プリンシパル 片桐英毅氏

 仕事で海外出張する以外に、最低年1回は妻と海外へ行くことにしています。昨年は学会発表と旅行を兼ねスペインへ行きましたが、今年は世界遺産を見て歩くことをテーマに再びヨーロッパへの旅を計画中です。

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企業の購買担当者に高い「顧客体験価値」を

アクセンチュアは、さらなる「顧客接点の取り込み」や「顧客接点の自動化」を軸に
お客様のセールス&マーケティングを変革させ、受注率を向上させます

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