働き方改革最前線 働き方改革最前線 ビジネスを加速させ生産性向上を実現するワークスタイル変革

in 東京 2017.12.12

セッション1 26%事業生産性を向上させた
日本マイクロソフトの働き方改革とAI活用

輪島 文 氏
輪島 文
日本マイクロソフト株式会社
Officeビジネス本部
シニアプロダクトマネージャー

「私たちの働き方改革が目指すものは働き方を改革することではなく、生産性の向上であることが特徴です」と、日本マイクロソフトの輪島氏は語る。例えば、残業禁止だけを掲げて社員を従わせようとすると、仕事があるのに帰宅する、あるいは仕事を持って帰ることにもなりかねず、本末転倒になってしまう。「限られた時間の中でビジネスの成果を出すためには、働き方を振り返り、見える化をして無駄なことにかける時間を徹底的になくすことです。そこで浮いた時間を、より付加価値の高い仕事に充てていく作業が必要だと考えます」(輪島氏)

同社が全社一斉に働き方を根本的に変える取り組みをスタートさせたのは2011年。経営課題として、強力なトップダウンにより「いつでもどこでも働ける環境」づくりを進めることになった。オフィスの改革など様々な取り組みを行う中で、同社が最も力を注いだのは「意識改革」だ。さらに「経営者が覚悟を示し続ける」こともポイントとなっている。社長自らが社内外で「これからの我々の働き方のスタイル」をアピールすることにより、社員に意識が根付いていったという。

地道な取り組みを続けて約5年、同社は事業生産性の26%向上という成果を挙げた。また、社員の働きがいも7%向上した。この改革は働き手にとって、決してやさしいことだけではない。それでも、「この会社だからこそ自分の力を無駄なく存分に発揮できる」と考える社員が増えたのだ。「ビジネスの成長を目的とする改革の成果が、こうした形で表れたのだと思います」(輪島氏)

■ 活躍するための新しい働き方をサポート

日本マイクロソフトの働く環境は、どのように変化してきたのだろう。これまでは、時間と空間を問わない働き方(テレワーク)のため、「Office365」のアプリケーションなどを使い、作業の効率化を行ってきた。また、メールやチャットを使ってコミュニケーションのデジタル化を図り、クラウドの活用により、いつでもどこでも仕事やコミュニケーションを行うことを目指してきた。今までが働き方の「量」の改善だとしたら、今後はより一層活躍するため「質」の改善を目指すことが必要だと考えている。

写真:輪島氏の講演の様子

質を上げていくためのポイントは3つある。1つ目は「組織を超えたコラボレーション」。様々な部門の知恵を結集した意思決定や、新しい企画を進めるためには組織を超えた巻き込み力で、しかもスピーディーに幅広く人と人がつながる必要がある。2つ目が「ビッグデータ、AIから気づきを得る」。クラウド上には、膨大な働き方のデータが蓄積されている。Office365が備える分析機能「MyAnalytics」は働き方を見える化し、AIによってより良い働き方への気づきを与えるという形で利用できる。これによって、PDCA(Plan、Do、Check、Action)のサイクルをどんどん回していけるようになるという。3つ目が、それらを安心、安全に使うための「エンタープライズ向けのセキュリティ」だ。世界規模の行動解析と機械学習によるリアルタイム、プロアクティブなセキュリティ対策が行われている。

当初はトップダウンで行われていた働き方改革だったが、今は従業員自身が働き方を見直し続けるボトムアップのアプローチで、継続的な改善を進めている。働き方を根本的に変え、新しいビジネスを生み出すため、日本マイクロソフトの働き方改革の勢いは止まらない。

セッション2 「場所にとらわれない働き方」と「セキュリティ」を両立する  ―テレワーク環境に求められること―

三井 智博 氏
三井 智博
e-Janネットワークス株式会社
取締役
営業部
部長

働き方改革を進める上で、避けて通れないのがテレワーク環境だ。テレワークとは、「ICT(情報通信技術)を活用した、時間や場所にとらわれない柔軟な働き方」のこと。会社のオフィスに縛られることなく、外出先や自宅、コワーキングスペースで働くスタイルも広まってきている。そのための環境整備を推進していきたいと考える企業も多いだろう。

「テレワークを実施する際には、場所や業務端末にとらわれない業務インフラが求められます。しかし進めていく中で、企業はいくつかの課題に直面することが多い」と語るのは、e-Janネットワークスの三井氏だ。テレワーク環境の構築に際して企業が直面するのは、まずセキュリティの問題。テレワークでは業務内容や業務環境によって、利用端末が異なるという特徴がある。それぞれ異なる端末を使うとなると、セキュリティ問題とともに運用管理も課題となる。

また、クラウドサービス利用への不安や不満も多い。インターネット環境があれば、クラウドはいつでもどこでも使えるインフラなので、テレワーク業務に有効なソリューションであることは間違いない。一方で、きちんとアカウント管理を行って利用を制限する必要もある。専用のセキュアブラウザからクラウドを使う方法もあるが、業務リソースの活用に制限がかかり、利便性に支障をきたす。

さらに、労務管理やコストの問題もある。会社に来ることなく業務を進行すると、社員がタイムカードを押すことがなくなり、従来のような労務管理ができなくなる。テレワークは原則として全社員が対象となる。しかしそのバックグラウンドは業務内容も端末もバラバラで、投資判断は非常に難しくなる。

■ 課題を解決し、テレワークの推進を支援するために

これらの課題を解決するのが、同社が提案する「CACHATTO」というプラットフォームだ。社内に設置するCACHATTOサーバーと、e-Janネットワークスが運営するアクセスポイントで構成されるシステムで、VPN(仮想私設網)回線を使わない通信方式と、端末にデータを持たず、持ち出させない高水準のセキュリティを実現している。当製品は6年連続国内№1を誇っており、テレワークを推進するソリューションとして各方面からの評価も高い。

CACHATTOを導入することで、利用者は様々な端末からそれぞれ異なる業務リソースへ安全にアクセスできるという。「CACHATTOのセキュリティがあれば、BYOD(私物端末の業務利用)でテレワークをすることも提案できます。コストの面でも運用管理の面でも、導入企業側の負担が軽減されます」(三井氏)

クラウドサービス利用時には、ADFS(ID アクセス ソリューションの1つ)や認証サービスとの連携により、利用アカウントや端末を制限でき、閲覧情報の持ち出しを防止することでセキュリティが守られる。労務管理についても、利用時間制御や緊急利用の許可などを使ってコントロールできる。管理者のポリシーを利用者に転換することも可能だ。

セキュリティと利便性を両立させる新発想シンクライアントとして、「CACHATTO Desktop」という製品も紹介された。通信環境が不安定な場所でもPC作業を継続でき、ログアウト時にはワークスペースごと消去されるので情報漏洩リスクが少なく、VDI(仮想デスクトップ)よりも低コストで実現できるという。多くの課題を解決し、働き方改革の推進を支援するこうした製品への期待が高まっていることを実感させた。

セッション3 働き方改革を推進するワークスペースのモビリティとセキュリティ

東郷 剛 氏
東郷 剛
株式会社レコモット
代表取締役CEO
金子 昌義 氏
金子 昌義
楽天コミュニケーションズ株式会社
常務執行役員

働き方改革の目的とは、労働力の減少と労働の質の低下が叫ばれて久しいなかで、「優秀な人材の確保し、生産性向上させ、継続的な企業成長を実現すること」である。従業員はその結果として正しい評価と対価を受け、自由を得ることが大切だ。「つまり働き方改革とは、企業が成長し、自由な働き方を許容するための手段であり、目的ではありません」と、レコモットの東郷氏は語る。

では、働き方改革に必要な要素とは何だろう。まずは人事や評価制度、労務管理などの「制度やプロセス」。そして、長時間労働や有休消化などに対する「文化や風土」といった目に見えないソフト的な側面と、オフィス環境の改善などの「不動産や働く場所」。そして、ツールやデバイスなどの「ICT環境」の整備といったインフラなどのハード的な側面だ。

いずれもトップのコミットメントが大前提ではあるが、「私どもは、まずはICT環境の整備を行うことを提案しています。コストや時間といった面からも導入しやすく、セキュリティさえ担保できれば、どんどん進めることができます」(東郷氏)。ICT環境が整備されれば、結果的にどこでも働けるようになり、風土や文化にも前向きな影響があるだろう。さらに長い目で見れば、制度、プロセスの改善にもつながっていくと同社は考える。

一方で、時間と場所を選ばない働き方が実現すると、情報漏洩などのセキュリティリスクが問題になる。それに対応するためのツールとして紹介されたのが、レコモットの「moconavi」だ。「moconavi」とは、390社21万IDの導入実績を誇るMAM(Mobile Application Management)と呼ばれる分野のツールであり、端末に一切データを残さず、アプリとそのデータを安全に保護するので、情報漏洩のリスクはないという。また、様々なシステムとつなぐことによって、セキュアなゲートやクラウドを提供。工事不要なクラウド接続アプライアンスや、オンプレミスでの環境を提供することも可能だ。

■ コミュニケーションは働き方改革の大切な要素

次に、レコモットとパートナーシップを結ぶ楽天コミュニケーションズの金子氏が、自社の取り組みについて説明した。楽天グループは設立20年目を迎え、様々な領域でグローバルに事業を行っており、理念と物理環境・デジタル環境が高度に整合された全体最適の働き方改革を実現している。

写真:金子氏の講演の様子

「生産性の向上」「お客様の満足度の最大化」「グローバリゼーションの加速」を目的として、物理的なワークプレイスを整備し、デジタルなワークスペースにはICTを使った働き方に対する新しい技術を導入。これらをツールとして働き方改革を推進してきた。

最新の開発における特徴は、「3つのC」(Collaboration、Communication、Connection――コラボレーション、コミュニケーション、コネクション)。「ワークショップやビデオ会議などコラボレーションツールの新しい技術を作りながら、我々も活用しています」(金子氏)

場所を選ばず仕事をしていくためには、業務アプリだけではなく、電話やチャットなどのビジネスコミュニケーションも重要な要素となる。同社の音声サービス「モバイルチョイス050」は、業務用の電話番号を付与し、通話料も含めて公私使い分けができるBYOD(私物端末の業務利用)のツールだ。モバイルチョイス050とmoconaviはネットワークで連携しており、端末の電話帳に顧客の個人情報を登録する必要なく、発信、着信が便利に使える。両社は、「これからも多様な働き方を実現する企業のためにサポートを行っていきたい」と考えている。

セッション4  ワークスタイル変革を効率的かつ確実に実現するためのITセキュリティとは

鈴田 透 氏
伊藤 利昭
パルスセキュアジャパン株式会社
カントリーマネージャー

米国に本社を持つパルスセキュアジャパンは設立から3年、「セキュアアクセス・ソリューション」を提供することに専門特化した会社だ。「創業以来、規模や業界を問わず、当社製品を導入した企業では安全でシームレスなアクセスが可能になっています。ワールドワイドでお客様は2万社、エンドユーザーは1800万を超えています」と、伊藤氏は説明する。

■ 働き方改革を推進するためのIT活用

伊藤氏は今回のテーマである「働き方改革」について、冒頭でそのトレンドとITの関連性について話を進めた。企業は国を挙げた「一億総活躍社会の実現」に取り組む必要があるが、深刻な労働力不足という大きな課題がある。その解消のために、ITが貢献できることとは何か。それは、「働き手の特性の違いをITでカバーすること。また、ITを活用することで生産性を向上させ、長時間労働を減らし、在宅勤務を可能にすること。そして、ITの仕組み作りを通じて年齢に関わらず生産性を高め、高齢者の就労を進めることです」と伊藤氏は語る。

一方で、昨今のトレンドとして「デジタルトランスフォーメーション」が起こっている。これについて伊藤氏は次のように説明する。「第3のプラットフォーム技術を利用して、新しい製品やサービス、新しいビジネスモデル、新しい関係を通じて価値を創出し、競争上の優位性を確立することです」。第3のプラットフォームとはクラウド、スマートフォンに代表されるモバイルデバイス、ソーシャルネットワーク技術、ビッグデータやアナリティクスを活用することである。

■ 自由で柔軟なアクセスを提供するためのセキュリティ

あらゆる場所からアクセスできる形になると、仕事をしている人にとって気になるのがセキュリティだ。ひと時代前のセキュリティ対策は、会社のPCを持ち出し禁止にするなど、「〇〇させない」ということが主流だった。しかし、「セキュリティは制限するためのものではなく、アクセスを可能にするために存在します」と伊藤氏は語る。個人所有のデバイスでも、仕事に必要なすべてのアプリケーションに対して、データセンターであってもクラウド上であっても、オフィスにいるのと同様の仕事環境を提供することが、ワークスタイル変革を可能にするという。

自由に、柔軟なアクセスをするためのITセキュリティが、パルスセキュアジャパンの製品の考え方になっている。「ITの役割はセキュリティの観点からいえばアクセスを提供することがすべてです。正しいユーザーが許可されたデバイスを用いて、必要なデータとそれを処理するアプリケーションに安全にアクセスする環境を整えることが大切です」

ユーザー、デバイス、モノ、サービスに安全なアクセスを提供する同社のセキュアアクセス・ソリューションは、社内だけでなく、外出先や自宅からでも、一つの「インテリジェントなクライアントソフトウェア」をインストールするだけで、安全なアクセスが可能になる。ロケーションに応じた接続方法の自動化、接続先を意識しない操作性、マルチデバイス対応、管理負荷の軽減などの特長を持ち、その利便性は目を引く。「簡単な導入でかなり大きな部分をカバーできるソリューションです。コスト面を考え、大きくインフラを変えずに済むという面でも使いやすいと思います」と伊藤氏は結んだ。

ワークスタイル変革が進行する中、安全なアクセスを提供するパルスセキュアから目が離せそうにない。

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基調講演

ITを活用した働き方改革の勘どころ
~業務の改善・効率化からその先へ~

上田 和己 氏
積水ハウス株式会社
IT業務部
システム企画
IT推進担当
上田 和己

特別講演

ここから始めよう!
企業と個人両方に成果を出す働き方改革

山﨑 紅 氏
富士ゼロックス株式会社
変革マネジメント部
マネジャー
山﨑 紅

セッション

26%事業生産性を向上させた日本マイクロソフトの働き方改革とAI活用

輪島 文 氏
日本マイクロソフト株式会社
Officeビジネス本部
シニアプロダクトマネージャー
輪島 文

働き方改革を推進するワークスペースのモビリティとセキュリティ

東郷 剛 氏
株式会社レコモット
代表取締役CEO
東郷 剛
金子 昌義 氏
楽天コミュニケーションズ株式会社
常務執行役員
金子 昌義

ワークスタイル変革を効率的かつ確実に実現するためのITセキュリティとは

伊藤 利昭 氏
パルスセキュアジャパン
株式会社
カントリーマネージャー
伊藤 利昭

協賛企業

日本マイクロソフト株式会社
e-Janネットワークス
recomot レコモット
楽天コミュニケーションズ
マクニカネットワークス
パルスセキュアジャパン
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