信頼できる相続・贈与に詳しい 相続税理士特集

民法は市民の生活に関するさまざまなことがらについて定める法律で、現在、その見直しが進められている。相続については40年ぶりの改正となり、亡くなった人の配偶者の居住権の保護、自筆証書遺言の方式緩和、故人の預貯金の仮払制度創設などが主な内容。これまでトラブルになりやすかった遺留分制度の見直しも注目される。

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法定相続人には最低限の相続分がある

 亡くなった人の財産は相続人で分け合う。生前、遺言書に、誰に何をどのような割合で相続させるか書いておけば遺産分割がスムーズにいく。

 ただし、注意しなければならないのは「遺留分」。法定相続人(法律で定められた相続人)が最低限相続できる割合のことだ。

 遺言で自由に遺産分割割合を決められることにすると、例えば住まいを失うなどして生活が立ちゆかなくなる相続人が生じる恐れがある。そこで、法定相続人に最低限の相続分を残すようにしているのだ。

 遺留分は、法定相続人が配偶者と子の場合はそれぞれ遺産全体の4分の1、子のみの場合は全体の2分の1、配偶者と父母の場合は配偶者が3分の1で父母が6分の1、法定相続人が父母のみの場合は3分の1となっている。子が複数いたり父母とも健在なら案分する。亡くなった人の兄弟姉妹には遺留分はない。

遺留分の割合

遺留分の侵害がトラブルになる

 例えば遺産総額が1億円で法定相続人が配偶者と長男・次男の3人のとき、配偶者の遺留分相当額は2500万円、長男・次男はそれぞれ1250万円となる。もし遺言書に、次男には1000万円相続させると書かれていたとすると、遺留分より250万円少ないことになる。

 この場合、次男は他の2人の相続人に対して「遺留分減殺請求」を申し立てて、2人が相続した財産の中から不足分を渡すよう求めることができる。

 従来の民法では、遺留分減殺請求が申し立てられると、現金・預金、土地・建物など、すべての遺産が相続人の共有状態となった。自宅の土地建物が共有になると相続人の生活が不安定になるし、自社株が共有になると円滑な事業承継ができなくなる。また、相続した不動産を売却して相続税の納税に充てたりすることも困難になる。

遺留分の請求は金銭で求めることに

 一方で、遺留分減殺請求をした相続人は、現金で不足分の受け取りを希望することがほとんどだ。

 そこで今回の民法の見直しでは「遺留分減殺請求」を「遺留分侵害額の請求」に改める。遺留分を侵害された人が、他の相続人に対して遺留分に不足する額の金銭の支払いを求める形にするわけだ。これによって相続財産を共有することがなくなり、遺産の分割や処分が円滑になる。

 とはいえ、最も重要なのは、遺留分を侵害しないことだ。遺言書で遺産分割方法を指定するときは、遺留分に十分配慮しなければならない。

 各法定相続人の遺留分がいくらか計算するには、遺産全体の評価額を求める必要があるが、これは専門家でないと難しい。

 遺言書の作成にあたっては、相続を専門とする相続税理士に相談するようにしたい。

(ファイナンシャルプランナー 馬養雅子)

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