信頼できる相続・贈与に詳しい 相続税理士特集

中堅・中小企業では経営者の高齢化に伴い、事業承継が大きな課題となっており、事業を円滑に承継できるよう、後継者が自社株を引き継ぐ際の贈与税・相続税を猶予する制度が設けられている。今年度の税制改正では、個人事業主についても、事業用資産にかかる贈与税・相続税に納税猶予制度が導入され注目を集めている。

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自社株の納税猶予は条件が大きく緩和

 中堅・中小企業の事業承継が円滑に進まない要因の一つが税負担だ。事業承継では後継者に自社株を引き継がせる必要があるが、その際に贈与税・相続税がかかる。

 非上場会社の株式の評価額は、経営が順調で財務が安定しているほど高く、後継者に生前贈与したときの贈与税や相続させるときの相続税が高くなり、それが負担できないと事業が承継できなくなる。

 そうした事態を避けるために、2009年に自社株にかかる贈与税・相続税の負担を軽減する制度が設けられた。条件を満たすと、株式の一定割合に対する贈与税・相続税が猶予され、後継者が亡くなったときなどには、猶予されていた贈与税・相続税の全部または一部が免除されるという仕組みだ。

 ただ、納税猶予を受けるには、会社、経営者、後継者それぞれに条件があり、それが厳しいために制度の利用が進まなかった。そこで、15年に条件が緩和され、18年には10年間の期限付きで、大幅な条件緩和措置がとられている。

個人事業主の資産に納税猶予制度創設

 19年度の税制改正では、個人事業主の事業用資産にも納税猶予制度が導入された。後継者が19年1月1日から28年末までに相続・贈与により取得する財産にかかる贈与税・相続税に適用される。

 事業主は青色申告の承認を受けていることが条件。納税猶予の対象となる「特定事業用資産」とは、現事業者の事業(不動産賃貸業を除く)に用いられている土地(面積400㎡までの部分)、建物(床面積800㎡までの部分)、建物以外の減価償却資産(機械装置、車両運搬具等)で青色申告書に添付される貸借対照表に計上されているものを指す。

 この制度の利用が考えられる業種としては漁船を保有する漁師、建物・駐車場などを保有する旅館業などがある。特に、個人経営の開業医で、病棟や駐車場、高額な医療機器や備品などを保有している場合は、診療所の承継に当たって納税猶予制度を利用するメリットが大きいケースがあるだろう。

開業医の多くは個人経営 診療所の開設者別施設数

小規模宅地特例との併用はできない

 ただし、納税猶予を受けるための条件は細かいうえ、後継者が事業を廃止したり事業を譲渡したりした場合は猶予が打ち切られるので、長期的な事業計画が必要となる。

 納税猶予と、事業用宅地等に対する小規模宅地の評価減の特例は併用できない点にも注意が必要だ。小規模宅地の評価減は後継者以外の相続人の相続税も減額されるが、納税猶予では後継者以外の相続人の相続税は減額されない。

 納税猶予の適用が受けられるかどうか、納税猶予と小規模宅地の特例のどちらを選択すべきかなどは、相続税に詳しい税理士に相談することも一手だろう。

(ファイナンシャルプランナー 馬養雅子)

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