【特別セミナー】つみたてNISAではじめる資産形成

 「貯蓄から資産形成へ」の流れを後押しする制度として、2018年1月につみたてNISAがスタートした。2月13日のNISAの日に開催された「NISA活用セミナー」(主催・日本経済新聞社クロスメディア営業局)では、つみたてNISAを活用した資産形成について、有識者が意見をかわした。

ご挨拶

投資の考え方の転換で
資産形成の定着を

内閣府大臣政務官
村井英樹

職場つみたてNISAを通じて投資を身近に

話をする村井氏の写真

村井英樹氏

 現在、我が国の1800兆円を超える家計金融資産の半分以上は現預金が占めており、米英と比較すると現預金の比率の高さが際立つ。株式や投資信託などリスク性資産の割合を見ても、おおむね20%以上少ない状況だ。

 1995年から約20年間の家計金融資産の推移を見ると、米国が3.32倍、英国が2.46倍の増加に対して、日本はわずか1.54倍しか増えていない。この差は、運用リターンの有無が要因と考えられる。

 とはいえ、米国でもはじめから投資文化が定着していたわけではない。85年ごろまで株式や投信の保有割合は現在の日本と同程度にあった。その後、確定拠出年金(401k)や退職所得勘定(IRA)が導入されたことによって間接的に投資に向かう資金が増え、家計資産が増加していった。国内でも同様に政策的な後押しが必要になると考える。

 金融庁の実施したアンケート調査では、資産形成に踏み切れない理由として「まとまった資金がないから」という意見が多く聞かれた。一般家計における少額からの積み立て・分散投資の有効性はまだまだ認知されていない。

 こうした中、まとまった資金で投資するのではなく少額の投資をコツコツ続けて増やすという発想の転換を促し「貯蓄から資産形成へ」の流れを加速させるため、長期・積み立て・分散投資に特化した「つみたてNISA」を今年の1月からスタートした。

 家計の資産形成を促すうえで金融機関の存在も重要だ。金融庁としては、金融機関に対して「顧客本位の業務運営に関する原則」を公表し、その実践を働きかけている。効果は次第に表れており、つみたてNISAの商品基準を満たす商品が140本を超えるなど、金融業界全体の意識に変化が生まれ始めている。

 そのほか、つみたてNISAを広く普及させるうえで重要な鍵を握るのが「職場つみたてNISA」だ。職場での制度利用は投資を身近に感じるきっかけになる。すでに金融庁の職員向けに導入したところであり、今後は地方公共団体や民間企業にも広く職場つみたてNISAの導入を促していく方針だ。つみたてNISAをはじめとした制度普及を通じて日本の家計における資産形成が定着することを期待する。

講演

あなたもつみたてNISAを
はじめてみませんか?

ファイナンシャルプランナー
北野琴奈

少額から時間を味方に資産形成する仕組み

話をする北野氏の写真

北野琴奈氏

 資産形成は時間を味方につけることが極めて重要だ。毎月3万円を年率2%の運用利回りで10年間積み立て運用できたとすると、最終的に得られる金額は、概算で元利合計398万円になる(複利・税引き前)。

 一方、同じ条件で積み立て期間を20年にすると得られるのは884万円(概算)。運用期間は倍でも、収益はそれ以上の差になる。

 少額からでいいので、できるだけ早く始めて、長く続けることが将来的に資産形成を成功へ導くコツといえる。

 その際の受け皿として最適な制度が今年からスタートしたつみたてNISAだ。年間40万円までを上限に最長で20年間、投資から得た収益が非課税になる。投資方法は積み立て投資に限定される。

 対象となる金融商品は、金融庁が定める一定の要件を満たす公募投資信託と上場投資信託(ETF)で、現状140本超がラインアップされている。いずれも低コストで分配頻度が抑制された商品であることが特徴だ。

金銭的な余裕は人生の選択肢を広げる

 投資信託には通常、購入時に販売手数料、運用期間中には信託報酬と呼ばれるコストが発生する。このコストが収益に与えるマイナスの影響は小さくない。

 その点、つみたてNISAの対象商品は、ETFを除きすべて購入時の手数料がかからないノーロード型で、信託報酬も一定水準以下(例:国内株のインデックス投信の場合0.5%以下)に限定されている。

 毎月分配型の商品もないので運用益を再投資しながら運用を継続することで、資産が雪だるま式に増える複利効果が期待できる。

 金銭的な余裕は人生の選択肢を確実に広げるはずだ。個人がつみたてNISAをきっかけに資産形成の第一歩を踏み出すことで、豊かな人生を手に入れてほしい。さらにお金や資産形成について家族や身近な人々と気軽に話せる文化が、日本にも根付いていくことを期待している。

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