いまこそ考えたい、私たちにとっての投資

 ライフプランに思い描いた未来を実現する。そのために必要なのは、投資をそれぞれのやり方で暮らしに生かしていくことだろう。「証券投資の日」である10月4日に都内で開催された「いまこそ考えたい、私たちにとっての投資」(主催=日本経済新聞社 クロスメディア営業局)セミナーでは、国の制度の拡充や金融機関のサポートなど投資に踏み出す環境が整いつつある今、それらをどのように資産形成に活用すべきかについて議論した。(本コンテンツは2018年10月29日付、日本経済新聞(朝刊)で広告特集として掲載したものです)

基調講演

ライフプラン3.0と資産形成

無形資産創造が重要度増す

伊藤宏一氏の写真

千葉商科大学
人間社会学部教授
伊藤宏一

 米国では近年、企業の無形資産に価値があるとされるようになってきた。同様に、人間も形のある資産だけでなく、無形資産を多く持つ人が勝ち残る時代なのだろう。

 投資はそんな無形資産を育てるものでもある。金融資産だけでなく、無形資産の視点からも投資の重要性が増しているのが、現代といえるかもしれない。

 目指す未来を具体化することをライフプランというが、このライフプランは今や「3.0」の時代だと考えている。それは、既存のライフプランの枠を超えたマルチステージモデルとして、一人ひとりが長期的なライフデザインを考える必要があるということだ。

 例えば働き方に関して言えば、終身雇用の考え方にとらわれることなく、人生に数度の仕事の転換があり、個人が仕事の中心になることだ。勤務方法についても、テレワークやコミュニティーオフィスなど、時間や場所にこだわらない柔軟な働き方が求められている。

 リンダ・グラットンとアンドリュー・スコットが著書「LIFE SHIFT」で「一生に何度か本格的に学び複数のキャリアを持ち、無形資産であるスキルや能力や知識を生かして人生の選択肢を広げ、自分のためだけでなく人々や社会のために生きる。自分に合ったスキルやネットワークをつくり上げて、継続的な資産形成をしていく」と述べている。そんなイメージだろう。住宅購入などで大きなローンを抱えるより、ある程度身軽で自分の無形資産をつくるために投資できる資金を準備しておくことが求められ、意識的にネットワークをつくっていくことも必要になる。

 そんなライフプランの下支えになるのが金融資産の形成だ。若い時から長期分散積み立ての投資に取り組み、リタイア後にその蓄えを運用しながら取り崩していく。長期にわたる人生に備え、金融資産の寿命を延ばすといった考え方が一般的になろうとしている。

積み立て投資と引き出し運用

グラフ

65歳時に3000万円の貯蓄があり、毎月12万円を使うと仮定した場合、利回りゼロなら資産寿命は20年10カ月、86歳で蓄えは尽きる。しかし、3%で運用できたならば資産寿命は32年5カ月に伸び、98歳まで枯渇しない。

 この資産寿命に加え、生命寿命や健康寿命の基盤となるのが環境社会寿命という概念になる。長く豊かな人生を実現するためには地球環境が良くなり、地域の衰退などが起こらない状況を創出する必要がある。

 この環境社会寿命を延ばすために、持続可能な開発目標(SDGs)が国連で定められた。企業評価の基準においても、環境・社会・ガバナンスを意味するESGと呼ばれる概念が、従来の自己資本利益率(ROE)などと並んで重要になりつつある。年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)も、ESG投資を始めた。サステナビリティー報告書を作成し、積極的に非財務情報を開示する企業も増えている。

 人生にとっての無形資産が重要度を増すように、企業価値の判断にも非財務要因を考える時代になってきている。専門家の力も借りつつ、長期で企業価値が上がるような投資にチャレンジしてほしい。

パネルディスカッションの様子。
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