暮らしに溶け込む 変わる投資の今 〜投資を支える制度と活用法〜

 株式や投資信託の運用益などが非課税に——。こうした優遇を受けられる制度の拡充が、私たちの暮らしやお金に対する考え方に大きな影響を与えつつある。制度をどのように活用することが、ライフプランにあった上手な資産形成につながるのか。私たちの暮らしの中に少しずつ溶け込んできた投資について、その制度と活用法をファイナンシャルプランナーの岩永慶子氏に聞いた。 (本コンテンツは2018年10月4日付、日本経済新聞(朝刊)で広告特集として掲載したものです)

制度生かした資産形成 長期・積み立て・分散で

 「投資や運用が、特別なものから当たり前なものに変わりつつあります。大きな変化の時が来ていると感じています」。そう語るのは、多くの家計相談の実績を持ち、研修やセミナー講師としても定評のあるファイナンシャルプランナーの岩永慶子氏だ。

自身のライフプランを基にした生活設計への関心

自身のライフプランを基にした生活設計への関心を年代別に示した積み上げ横棒グラフ。「非常に関心がある」「ある程度関心がある」と答えた30代以下の男性はでは66%、30代以下の女性は68.2%となっている。

(回答者:企業勤務者、n=8500)
※MUFG資産形成研究所「金融リテラシー1万人調査の概要」から抜粋

 2014年1月に、個人投資家のための税制優遇としてスタートした少額投資非課税制度(NISA)。16年から未成年者を対象としたジュニアNISA、18年からは長期・積み立て・分散投資を支援するつみたてNISAなど、制度の整備・拡充が進んだ。特につみたてNISAは、年間40万円を上限として最長20年間、つまり最大で800万円まで投資信託が非課税で運用できるため、幅広くメリットを享受できる仕組みとなっている。17年1月に加入資格が拡大された個人型確定拠出年金「iDeCo(イデコ)」とともに、資産運用のポイントとなる長期・積み立て・分散投資を実現してくれる制度だろう。

 なおiDeCoは、18年から毎月払いとボーナス払いの併用が可能になり、制度の柔軟性が増した。また、企業年金がない従業員数100人以下の中小企業を対象に、従業員の加入者掛け金に会社側が掛け金を上乗せして拠出できる「中小事業主掛金納付制度(愛称・iDeCo+)」なども整備された。

 「投資信託は手数料や信託報酬などコストが高いという懸念事項が、制度の登場により取り除かれています」という岩永氏。それぞれの制度に最適化された金融商品も続々と登場し、各世代が自分自身の暮らしに資産形成を組み込みやすくなってきたと指摘する。

つみたてNISAとiDeCoの特徴

つみたてNISAとiDeCoの併用は可能。投資スタンス:どちらも時間をかけてお金を育てる。最長運用期間:つみたてNISAが20年、iDeCoは20〜59歳。投資上限額:つみたてNISAは毎年上限40万円(20年間で合計800万円)。iDeCoは職業により異なり、毎年上限14.4万〜81.6万円。税制優遇対象:つみたてNISAは運用益。iDeCoは掛け金、運用益、給付金。運用できる商品:つみたてNISAは厳選された投資信託、ETF。iDeCoは定期預金、保険、投資信託などで元本確保型と変動型に分かれる。運用スタイル:どちらも積み立て投資。資金の引き出し:つみたてNISAはいつでもOK。iDeCoは原則60歳から引き出し可能。他、つみたてNISAはNISAとの併用は不可、iDeCoは20〜59歳までの国民年金・厚生年金加入者のみ加入可という特徴がある。

余裕ある資金準備で多様な選択肢を実現

 NISAも、iDeCoも、その魅力は税制優遇を受けられる点にある。こうした制度の整備が進んだことで、「今まで年末調整で勤務先に税金の手続きを任せ切りだった層が、税について関心を持ち、投資についても考え始めた」と岩永氏。「30代、40代を対象にした企業セミナーでも、住宅ローン減税などで確定申告を経験し、自身の納税額について意識する方が増えてきています。税制優遇のみならず、投資そのものへの興味につながっている印象」だという。昨年実施された金融リテラシーについてのアンケート調査でも、特に若年層は自身の生活をどう組み立て、設計していくかといった点についての関心が他年代に比べて高いという結果が出ている。

 人生100年時代といわれる今、中長期的な視点で資金準備を考える人にとって近年整備が進んだ制度は、所得控除など多くのメリットがある。岩永氏は、これらの制度の充実は自助努力を期待する国からのメッセージだと指摘する。

 また、人口に占めるシニア層(65歳以上)の割合が40%に向かう中、シニアライフの在り方は多様化している。老後に必要な資金も、家族構成や居住地域、健康状態、生活スタイルの違いによって様々だ。十分な備えがあれば、定年後もゆとりを持ってその後の人生を思い描ける。

 岩永氏は、セミナーや相談会で様々な暮らし方や生き方を選べる経済状態を目指すべきだと提案することが多いという。「実際、引退後はボランティアに携わりたい、趣味にこだわりたいなど、やりたいことを持っている人は多い。多様な選択肢から暮らし方や生き方を選べるからこそ、人生は豊かになるのだと思います。そのためにも一定の余裕のある資金力は必要。自助努力の部分で、その選択肢の広がりや第二の人生設計に差が出てくると考えています」。

投資の運用は
暮らしや人生設計の一助に

老後資金の準備はライフプラン確認から

 考えなければならないのは、第二の人生設計のための老後資金だけではない。教育資金や住宅資金、病気やけがで働けなくなったときのための備えなども必要になる。

 例えば、子ども1人当たりの教育資金は、幼稚園から大学までオール国公立の場合で約785万円、オール私立の場合で約2222万円。住宅の平均取得費は、土地付きの建売住宅は約3336万円、新築マンションは約4348万円になる(※下図)。岩永氏は「老後資金はiDeCoをメインに考え、その他の資金については、必要となるタイミングを考えたうえで、最適な制度を選ぶべき」と語る。

人生のライフイベントにかかる費用の目安

住宅取得の全国平均。土地付き注文住宅は約4039.2万円、土地付き建売住宅は約3336.8万円、新築マンションは約4348.4万円となっている。

※住宅金融支援機構「2017年度フラット35利用者調査」

幼稚園から大学までの教育資金はオール国公立の場合は約785万円、オール私立の場合は約2222万円。

※文部科学省「平成22年度国立大学の授業料・入学料及び検定料の調査結果について」「平成28年度子供の学習費調査」「平成28年度私立大学入学者に係る初年度学生納付金平均額」

介護に必要な自己負担額。年間平均自己負担額の約95万円を5年間分と、一時的な費用の約80万円を足すと1人当たり約555万円になる。

※生活保険文化センター「平成27年度生命保険に関する全国実態調査」

セカンドライフの生活費。ゆとりある生活費の平均月額は約34.9万円、最低日常生活費の平均月額は約22.0万円。

※生命保険文化センター「平成28年度 生活保障に関する調査」

 以下の図は、子どもの大学資金・500万円を目標に積み立てる場合のシミュレーションである。積立期間を18年間と設定した場合、年率が3%の成果を目指す金融商品であれば、毎月の積立額は1万7512円となる。仮に0.01%の現在の預貯金金利で積み立てを行った場合の必要額は2万3127円となり、2つを比較すると差額が約6000円生まれる。この差額を、大学資金以外のおけいこなどの教育費や、住宅購入への備えにしてもよいだろう。

 また、老後も前期と後期に分かれる時代、アクティブシニアの時期にNISAなどを活用して資産づくりを続け、その後の自身の介護ニーズなどに備えるといったことも可能で、活用の幅も広がっている。

18年間で500万円の大学資金を積み立てる場合

イメージ図

※ノースアイランドによる試算・作成

▲ページTOPへ