挑戦者の原動力 スカイライン特別企画

理想を支えてくれたのは“人” 出会いの運を重ねながら 俳優 竹中 直人さん

俳優、映画監督、コメディアン、ミュージシャンなど多彩な才能によって、幅広い分野で唯一無二の存在感を示す竹中直人さん。自らを「変なおっさん」と言い、型にはまらない生き方を貫く――。その姿勢につながる仕事観、常に彼が追い求めてきたものなどを聞いた。

子どものころから「変な子」 違う人格になれる役者は転職

 俳優になろうと思ったのは、多摩美術大学時代に映像演出研究会という8ミリ映画をつくるクラブに入ったことがきっかけです。卒業後「俳優の道に進むんだ」と劇団に入ったのですが、全く生活ができない。バイトで生活費を稼ぎたくはなかったので、必死で売り込み活動をしていました。学生時代からモノマネ番組に出演していたこともあり、違う人格になれることにとても憧れていたので、役者という道しか考えられなかった。

 子どものころから「変な子」だったと思います。運動会の徒競走では皆が一番の子を応援するのに、誰も見ていないビリの奴が必死に走っている姿を見ているのが好きだった。球技大会でクラス中が「勝とう」と盛り上がっているとき、「どっちでもいい」と思ってしまう。皆と同じように熱くなれない自分が常にいました。でも、もちろん熱くなる自分もいたりする。裏返しというか、いろんな感情の振り幅がいつも自分の中にあったような気がします。

 加山雄三さん、原田芳雄さん、松田優作さんが好きだと言うと、加山さんだけ毛色が違うと言われますが僕の中では同じです。加山さんの曲でも、皆が知っている曲ではなく知られざる曲を見つけるのが好きだった。世間一般から評価されたものを、自分が後追いで評価することは子どものころからイヤでしたね。多くの人に評価されることは素晴らしいことですが、「知る人ぞ知る」といったものを探すことへのこだわりがあるのかもしれませんね。

役づくりは苦手 芝居はその場のエネルギーがつくる

 生活できるようになったのは27歳。お笑いでデビューしていきなりでした。念願の風呂付きアパートに住めたことはとてもうれしかったけれど、自分が成功したとは少しも感じられなかった。「1年で消えるだろうな」ってずっと不安でした。世の中に少し注目されると、それまで冷たかった人たちが急に優しくなってものすごく怖かった。芸能界の雰囲気にもなじめなかったですね。

 そんなとき、滝田洋二郎監督に呼ばれ映画デビューしました。映画をつくっている現場はとても楽しかった。照明が明るくてよく笑うテレビ局の派手さとは違い、低予算で誰にもかかわらず一生懸命つくっている感じが、自分の肌に合う世界だった。

 僕は、役づくりという言葉が苦手です。事前に準備せず、現場で生で感じたものを大事にしたい。手ぶらな状態で現場に入ります。秀吉を演じたときも同じでした。歴史的事実があったとしても、人それぞれで解釈はいろいろ。脚本家やスタッフ、共演者と共に、自分たちが想像した新たな人間をつくっていきたいと臨みました。計算しないところでぶつかり合い、それが何らかのエネルギーを産む。理屈ではなく直感的なものが芝居をつくるのだと思います。

 作品で何かを伝えたいということもないですね。「僕はこの映画で○○を伝えたかった」と言う人もいますが、観る側の価値観によって何通りにも解釈される。評価される。つくり手は、ただつくったという事実があるだけです。

自分はこういうことだけのために生きてるんじゃないかな

「自分の監督作『東京日和』が公開された時、大好きな忌野清志郎さんから電話があったので『ぼく明日、見に行こうと思ってるんですが』と言うと、『俺は毎日忙しいけど、明日は空いてるぜ』って。一緒に見に行ったら本当にお客さんがいっぱいで、『竹中やったな』って何度も言ってくれたんです。大好きな人にそんなことを言われた瞬間、自分はこういうことだけのために生きてるんじゃないかな、と思いました」(竹中さん)

竹中さんを支えるもの ポータブルスピーカー

「玉置浩二君がアルバムをつくろうと言ってくれて、僕が作詞とボーカルを担当し今年4月にCDを出しました。2つのスピーカーはいつも持ち歩いていて、四角い方はホテルの部屋の壁際に、円筒形のほうはテーブルにポンっと置いています。旅やロケに行ったときに使い分けると最高です。部屋で音楽を聴きながら一人でお酒を飲む時間がいい。あと10年は飲んでいたいなぁ」(竹中さん)

最低なことを経験しないと本当のことは分からない

 僕は仕事を選ばないので、「やらなきゃよかったな」という現場ももちろんあります。でもそういう現実も悪くないんですよね。自分の監督作で助監督2人を怒鳴りつけたことがあるんです。そのときスタッフの一人に「あの2人はどうしようもない助監督だと思います。でも竹中さんはそういう人にも怒鳴る人じゃなかったはずです」と言われたことがあった。すぐに2人に謝りに行きました。監督としては、リーダーシップというより、常に周りを感じながらリズムをつくって皆を動かしていくように工夫することが必要ですね。感情的になりそうなとき、いつもそのスタッフの言葉を思い出します。

 いろいろな人が集まる映画づくりの現場では、どれだけ意見を交わしても価値観の違いを感じることもあります。でも価値観の違いはどうしても超えられないし、譲り合わないと作品はつくれない。「この現場は最低だ。最低だ」って思っていたら心が沈むだけだし、何とかして楽しむ方に変えていく力を持っていたいです。ビジネスの世界でも同じかもしれません。最低なことも体感しておかないと、本当に大切なことは分からないと思います。

 憧れや理想を持つことは大事ですが、「こうありたい」「ああなりたい」と思っていてもなかなかそうはいかない。人生って「こんなはずじゃなかった」ということがほとんどだから、その思いをエネルギーにするしかないんじゃないかな。いくつになっても、いっぱい傷ついた方がいいと思います。

信頼され、信じる思いがはい上がる力になる

 僕は若いころから人との出会いに恵まれていたと思います。五社英雄監督の作品で緊張してNGばかり出していると、監督が「よぉござんすよ、兄貴さんのまんまでよぉござんすよ」と言ってくれた。森崎東監督には、笑いでデビューしていた僕が面白い演技をしようとすると「余計な芝居をするな! お前のままでやれ!」と怒鳴られた。その言葉を聞いた時、「こんな僕を信じてくれている……」と強く思いました。弱い自分を常に支えてくれるのは、やはり“人”ですね。

 僕は本当に変な子だったし、今も変なおっさんですが、五社さんや森崎さんのような人たちがいてくれたから、今があるのだと思います。人から信頼され、人を信じる思いが常に僕を支えてくれています。信じることはとても大変だし、時間がかかります。でも本当に信じるものを見つけるまで頑張る、負けない気持ちが大切だと思います。あきらめることも決して悪いことではない。でももう一度はい上がる力は、信じる思いなんじゃないかな。

 これまで僕は、本当に自分が心から愛せるものを探してきました。初めての監督作『無能の人』は、大好きなつげ義春さんの作品です。それまで出会った人たちの中で、いいなと感じたスタッフや素敵だなと思った俳優たちを呼ぶことができた。この作品を撮れたときは本当に夢を見ているようでした。これからも「この人とまた一緒に作品をつくりたい」、その思いだけです。

プロフィル
俳優

たけなか・なおと/1956年神奈川県生まれ。83年『ザ・テレビ演芸』(テレビ朝日系)でデビュー後、コメディアンとしてバラエティー番組を中心に活躍。96年にはNHK大河ドラマ『秀吉』で主演の豊臣秀吉役を務め、高視聴率を記録した。91年に映画『無能の人』で監督デビューを果たし、ベネチア国際映画祭国際批評家連盟賞、ブルーリボン賞主演男優賞を受賞。2013年の『R-18文学賞vol.1 自縄自縛の私』まで7作を監督している。日本アカデミー賞最優秀助演男優賞を『シコふんじゃった。』『EAST MEETS WEST』『Shall we ダンス?』の3作品で受賞するなど、受賞歴も多数。17年4月には玉置浩二プロデュースによるアルバム『ママとカントリービール』をリリース。

プロフィル 俳優

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これまでもこれからも挑戦する人とともに

常に挑戦する魂を失うことなく、時代の最先端を走り続ける日産自動車のプレミアムセダン。クルマ本来の最高のパフォーマンス、最高の走行性能にこだわり続けてきたからこそ、あえてラグジュアリーではなくプレミアムと呼ぶにふさわしいクルマたち。輝かしい歴史とDNAを受け継ぎ、新たな未来を拓(ひら)くその魅力に迫る。

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進化の結晶が、いまここに。

「自分の映画の企画が2本突然ダメになった47歳のとき、クルマの免許を取ったんです。マイカーのない家庭で育ったので“経験したことのないものをやってみたい”と思って。自分で運転して初めて海に行ったときはうれしかったなぁ。大好きな音楽を聴きながら“うぉ~! 俺走ってるよ~!”って叫びながらハンドルを握っていました。大好きな音楽聴きながらクルマを走らせるってのは最高のロマン。そのことをこのとき初めて知りました」(竹中さん)
60年にわたり日本を代表する名モデルを生み出し続けてきたスカイラインは、かつてないドライビングプレジャーにも挑戦し続けてきた。最新モデルは、圧倒的な臨場感を演出するBOSE®Performance Series サウンドシステムの搭載をはじめ、洗練を極めた室内空間を実現。俊敏なレスポンス、最速を目指すハイブリッド、次世代ターボ、全方位世界最高峰のセーフティ機能などとともに、その挑戦の魂と技術の結晶は、さらに多くの人々の多彩なニーズをも満足させるものとなっている。

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セドリック、グロリアの系譜を繋ぎ、日本のプレミアムセダンの頂点から、世界の頂点へと革新の道を歩み続けるフーガ。パワフル&ハイレスポンスな走行性能と優れた環境性能を両立する、1モーター2クラッチ方式の「インテリジェント デュアル クラッチ コントロール」を採用した独自のハイブリッドシステムなど。その挑戦の全ては、人生を革新し続け、真の豊かさの価値を知るオーナーのために。

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