大坪信之
1963年生まれ、福岡県出身。86年に西南学院大学を卒業後、日本アイ・ビー・エムを経て、94年に徳育教室(現コペル)を設立。著書に『偉人を育てた母の言葉』(致知出版社)、『あなたの言葉で子どもは育つ』(プレジデント社)など。
https://copel.co.jp/

INTERVIEW

幼いころの私は、言葉をなかなか話しませんでしたし、壁に体当たりしたり同じ場所でくるくる回り続けたりするような変わった子供でした。今なら注意欠如・多動性障害(ADHD)みたいな診断名が付くでしょうね。集団行動が苦手で、よくいじめられたり仲間はずれにされたりしましたし、周囲の大人にも「ダメな子」のレッテルを貼られて怒られてばかりでした。それでも、母だけは「あなたはいい子」といつも褒めてくれたんですよね。私が3歳の頃から「この子は普通の子とは違うから叱らずに育てよう」と決めていてくれたのだそうです。それが大きな救いでした。

興味本位から幼児教育の世界に没頭

大坪信之

大学を出て外資系の大手IT企業にSEとして入社したのですが、集団行動は相変わらず苦手だったので最初はひどい社会人でした。研修中の身でありながら年間10日の有給を全部使って旅行に行ったりして、ずいぶん怒られましたね。でも入社して2~3年経った頃、CPSというIBMが開発した問題解決手法のインストラクターとして指導ができるようになり、徐々に結果が出てきて仕事が面白くなったんです。この会社では多くの学びを得ましたが、完全性を追求する姿勢を叩き込まれたことが大きかったですね。今も、世界最高の幼児教育を提供したいと本気で考えながら仕事をしていますが、この時の経験が原点になっていると思います。
現在の事業でも、このCPSの手法を活かした家庭の問題解決手法を提唱しているほどです。

幼児教育の世界に足を踏み入れたのは、最初は興味本位だったんです。結婚して子供が生まれたばかりの頃に、同月齢の子供がいる知人の家にお邪魔したのですが、部屋にひらがなの五十音表が貼ってあったんですね。まだ0歳なのに、ずいぶん気が早いものだと笑いましたが、知人は0歳こそ肝心なのだと真面目な顔で言います。気になって書店をのぞくと、確かに早期教育に関する本が山ほどありました。乳幼児の潜在意識に働きかけるという内容に引かれ、それから幼児教育に関する本や論文を片っ端から読みあさりましたね。興味を持つととことん追求する性分で、3カ月後には教室をオープンしていました。

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コペルの教育を受けた子供を世界中に増やしたい

一番苦心したのは教材作りでしょうか。子供の脳の配線が形成されるのは、子供が「なんだろう」と興味を持って目を輝かせている瞬間だけです。しかし、初めて目にするものでないと、子供の目が輝くことはないのだそうです。しかも子供の集中力が持続するのは、年齢プラス1分間だけ。小さな子供がじっと座らずにすぐ動き出してしまうのは学ぶ意欲がないからではありません。むしろ意欲が強すぎるあまり、新しいものを求めてしまうんですよね。うちでは、1歳児なら2分おきに新しい教材を出していきます。それを月齢ごとに用意するわけですから、膨大な数の教材が必要です。最初は毎日終電の時間まで残って教材を作り続けていました。形になるのに10年ぐらいかかったでしょうか。今、2000種類の教材をそろえています。カード教材に限れば1万枚以上です。ギネスにも申請していますが、これだけの教材を扱っている幼児教室は世界でも類を見ないでしょう。
私たちは「幼児教室」を標榜していますが、半分はお母さんのための教育でもあるんです。お母さんにも子どもの成長をそばで感じてほしいですね。お母さんのかかわり方は、子供に大きな影響を与えます。特に、頭ごなしに叱らないというのは大切なことだと、私自身の体験も踏まえて実感しています。自分がどんな人間かというセルフイメージは、実は幼少期に8割方決まるんです。だから親の影響は、本人たちが思っている以上にとても強いものなんですよね。

教室を立ち上げて25年。質・量ともに世界最高のものができていると思います。これをどのように世界中に広げていくかということが今後の課題です。近々、上海と北京に教室を開くので、これを機に海外展開に注力していこうとしています。
将来、世界中でコペルで学んだ「世のため人のためになりたいという徳育」の能力を発揮して、子供たちが各国のリーダーになっていく。コペル出身という共通点から親睦が深まって、国同士の関係も良くなり、世界が平和になる。私はそんな夢を持っています。教育を通じてより良い世界を作りあげていけたらいいですよね。
若い人たちにも「これが叶(かな)うなら死んでもいい」と思えるぐらいの夢を持ってほしいと思います。そのために全力で尽くせば必ず道は拓(ひら)けますので、頑張ってください。

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