大川護郎
1972年生まれ、兵庫県出身。中学卒業後、読売新聞の販売店に就職。19歳で所長となる。新規購読の獲得で3年連続表彰され、その後エリア普及率約40%を達成した。2003年から不動産投資を開始し、13年株式会社ANGELO設立。不動産の賃貸・仲介・斡旋・管理をはじめ、建築工事業、土木建設業、デイサービス事業など幅広く手がけるほか、不動産オーナー向けのセミナーや講演会などの活動も積極的に展開している。18年『新聞少年が一代で4903世帯の大家になった秘密の話』(ぱる出版)を出版。
http://www.angelo-group.co.jp/

INTERVIEW

警察庁の統計によると日本における1年間の自殺者数は2003年をピークに減少していますが、19歳未満の自殺者は増加傾向にあります。自ら命を絶った若者の遺書の中に「お父さんの背中を見ても夢を感じない」と書かれたものがありました。どれだけ一生懸命、家族のために働いたとしても、子どもが夢を持てないとすれば、親にとってはたまりません。一生懸命がんばった人が報われない世の中を変えたい、一人でも多くの人を助けたいと思って打ち出したのが『0円家賃』という構想です。子どもが夢を見られない今の世の中で、何かおもしろいことをしてやろう、中卒でもこんなにおもしろいことをやる人間がいると示せたら、誰かが夢や希望を持って生きられるのではないかと考えたのです。日本全体を良くするためにも、一人ひとりが夢を持つこと、夢を持てるようにすることが大切だと思っています。

新聞配達の少年から不動産オーナーへ

大川護郎

小学生になった頃、父親が経営していた会社が倒産しました。学校から帰ると、普段は仕事で家にいないはずの父親がいたので驚いたことを覚えています。翌日からは債権者が押しかけて来るようになり、4年生の時には家財道具を全部差し押さえられて持って行かれました。家自体は母親の名義だったので残っていたのですが、自宅の外側に心無い貼り紙をされたこともありました。そんな大変な状況でしたが、私はそれなりに楽しんでいたと思います。どうしたらお金持ちになれるかということをよく考えていましたね。

早く働きたいという気持ちが強く、中学卒業後は新聞販売店に就職しました。そして19歳でその販売店の所長となり、そこからは3年連続で新規購読の獲得数を評価されて、新聞社から賞をいただくまでになりました。生まれて初めて表彰されたのでうれしかったのと同時に、大きな不安も感じるようになりました。なぜなら、配達エリアが決まっているので、新規購読者を増やしたら次に獲得できるところがなくなるのです。この仕事を一生続けるのかと考えたら、先が見えなくてつらくなりました。従業員の生活を守るためにも、新聞配達以外の手段が必要だと考えるようになったのです。

「日本に住む1億2千万人の方々から1円ずつもらえる方法はないか」と考え、それは人の生活の基礎となる衣食住に関わる仕事だろうと。自分の適性と照らし合わせて選択肢を絞る中で、住居は誰にも必要で、家賃が安くなればなるほど多くの人が利用してくれるのではないかと思い至ったのです。同じ頃、新聞販売店でチラシを見ていたら、長期間売れていない物件があって。廃墟のような建物でしたが、改装したら十分住める。立地条件も良かったのですぐに購入を決心しました。しかし、融資を受けるためにあちこちの金融機関を回ったところ、どこも門前払いをされてしまって。40店舗近く回って最後に訪れた地元の信用金庫だけが唯一「おもしろいね、前向きに考えましょう」と。うれしかった、本当に。そうして現在の仕事の原点となる1棟目の不動産を取得したのです。

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『家賃0円』構想がもたらす日本の未来

その後も少しずつ所有物件を増やしていったのですが、2008年にアメリカでリーマン・ショックが起こり、日本経済にも大きな影響をもたらしました。しかし、当社にとってはこれが追い風となり、不動産価格が暴落したタイミングで一気に物件を購入。事業のさらなる拡大へとつながりました。現在では建設中の建物を含めて全274棟計4903戸を所有しています。そのうち地元の兵庫県姫路市にある約2300戸の物件全てを『0円家賃』にしたいと思い、そのための方策を展開しています。まずは当社が所有する建物の上にWiFiのアンテナを立て、姫路市全域で利用できるフリーWiFiを設置。利用するには専用のアプリが必要で、そのアプリの画面に地元企業などの広告を表示し、得られた広告収入を家賃に充てて0円にするというシステムです。

もし家賃が0円になる、と考えたら夢があるでしょう? 姫路市の平均家賃が約7万円、一家族の月額通信費が1~2万円としたら、一世帯あたり毎月約9万円を節約できることになります。これまで年収が低いことを理由に諦めていたことを、諦めなくて済むようになる。そうなれば自然と住民も増えますよね。人が集まれば産業や文化が発展し、住民も地元企業も自治体も、皆が喜んでくれるような良い循環が生まれると考えています。下を向いて生きるよりも上を向いて生きたいですし、その方が絶対おもしろいと思うんです。採算は十分に見込める。まずは姫路で成功事例を作り、関西圏に拡大していきたい。関西をもっと発展させて東京に負けないくらいの拠点にし、日本全体を良くしていけたらと思っています。

これからの時代を背負う若い人達にも、夢は常に大きく持ってもらいたいですね。夢は大きいほどおもしろい。しかし、やることはコツコツと。最初から1億円を稼げる仕事はありませんので、まずはどのように1円を稼ぐのか術(すべ)を知って、そこから、10円、100円と稼ぐ力を身につける。私もまずは1棟を買うことからはじまりました。もしもあの時購入できていなかったら、今の私はありません。明日の自分を変えようと思ったら、今すぐに動くこと。そして夢を持つことです。夢を持てたら目標ができ、「想い」が生まれます。想いが生まれたら、もうあとは必死に考えるしかありません。諦めずに頑張ってほしい。そしていつか家庭を持った折には、子どもたちにも夢を持たせられるようになってほしいですね。

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