大石彰
1950年生まれ。 石川県出身。70年、滋賀県立短期大学建築科卒業後、三陽建設に入社。92年常務取締役、98年専務取締役を経て2000年代表取締役に就任し、現在に至る。社外の交流を大切にし、先輩経営者から様々なことを学び、経営改革に活かす。また、代表取締役就任後は、県外への営業展開や人材の採用・指導等に積極的に取り組み、人の出会い・繋がりを大切にして、現在売上高40億円を達成する。
http://www.sanyoukensetsu.co.jp/

INTERVIEW

私がこれまで仕事をしてきた40年よりもこれからの40年間の方が素晴らしい時代になることを若い人たちには実感してほしいです。なぜかと言うと、努力した人は必ず報われる時代だからです。逆に努力をしない人はいけません。インターネットを活用した可能性は広がり、これまでは難しかったことが実現可能になってきています。自分がやりたいことができる。ただし実行するうえでの思い入れ、情熱、そして仲間が必要です。決して不安がる必要はないから、楽しんでやってもらいたいです。

お金を出しても手に入らないものを

大石彰

私の新人時代はいわゆる3K、4Kが職場として当たり前の時代で、年間の休みなんて10日間くらいでした。盆と正月だけです。ずっと現場に泊まりこんでいましたね。新人の時から現場監督をはじめ、10数年経って積算に移りました。その頃は若い人材がいなくて、中途採用で人が入ってきたのだけれど、その人たちの方が現場監督としての腕は上だった。私は引っ込み思案でしゃべるのも苦手でした。真面目に取り組む私を気に入ってくれる人もいたけれど、しゃべりが上手い方が重宝されました。そこで私の上司から「現場はもういいから内勤に入れ」と見積もりや予算を作る部署に回されたんですね。現場の仕事は花形だったので、その辞令はショックでした。でもその経験があったことで会社全体を見ることの重要性を感じることができました。それまでは現場しか見ていなかったですからね。原価に対する意識も育くまれ、現在の会社経営に役に立っていると思います。

社長になって考えたのは、安定経営についてです。当初は「来年、会社はどうですか?」と聞かれても、「分からない」というのが正直なところでした。売上げが良いときと悪いときの落差をなんとか安定化できないかというときに、自分の得意分野をつくらないといけないと考えました。当社の持っている技術はどこでもやっているような技術しかありません。そんな中で、ローテクを使い、つまりは人の力を使ってなおかつ、人があまりやらないところのナンバーワンになろうとしました。ローテクゆえに追いつくのには時間がかかります。ハイテクならばお金を出したらすぐに買えてしまうからです。そういう分野をつくっていけば、少なくとも追いつくまでに人を育てるのに10年はかかるから参入されないのです。10年スパンで新しいことが一つ出てきて、一つ消えていく。そういうものを回していけば、より安定的にできるかなと思いました。

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中小企業ならではのワンピース経営

安定経営を考える上で新卒社員を入れていくことは欠かせませんでした。今から8年ほど前、あと10年先を考えたときに、この会社を誰がリードしていくのだろうかと考え、ぞっとしました。人をどうやって確保するのかという大きな課題があったからです。その時代は建設業不況で人を採用することを控えていた時代ですので、採用自体はしやすかったですが、人を採用してもどうやって仕事を受注するのかという問題がありました。地域を限定すれば仕事は少ないけれど、拡大したらどうなるのか?と考えました。

地場での競争に勝てないのに、どうして東京で勝てるのか?私も経営者なので、根の合わないところには行きません。感じが合うから行くのです。三陽建設に合ったお客様は必ずいるはずですから、この地域でお客様が10人いれば、10倍のエリアにしたら100人に増える可能性があるわけです。原理原則は人。いただいた仕事を誠実にやっていくことの繰り返しです。

三陽建設は創業60周年を迎え、現在は100周年に向けて様々な取り組みを行っています。語呂合わせで10年後に売上げ100億円、社員数100人、10の事業部を作る、単純明快にこれで行こうと言っています。今の売上げは50億円くらい。オリンピックまでは業界は右肩上がりでいくと思いますが、私が考えているのはそれ以降のこと。それ以降でも維持できることは何か。今の景気に流されず、三陽建設にしかできない分野をたくさんつくろうと考えています。

社長室には漫画「ワンピース」の絵が貼ってあります。なんであんなに若い人からお年寄りまで人気があるのかと思い、全巻買って読んでみました。結局は主人公が言う「俺たちは仲間だ」に尽きるのです。あそこで皆が感動する。夢と希望を持って旅に出る。変なやつばっかりだけれど、それぞれが局面ごとに力を発揮する。出来るやつも出来ないやつもいるけれど、お互いに面倒を見合ってやっていく姿にひかれるんですよね。

会社経営も同じ。良い人材なんて簡単には集まらない。三陽建設には私も含めて二流、三流の人間が集まっているんです。そういう人材がどうやって一流の人と戦うのか。対等にやっていくのか。熱い想いと自分のやりたいこと、そして仲間、それにITや道具を使って時間と距離を縮める。そういうやりかたは、中小企業だからこそできると思っています。

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