中山貴博
1975年生まれ、東京都出身。東京歯科技工専門学校を卒業後、歯科技工士として大学病院で2年間勤務。その後、歯科医師を目指し東京歯科大学へ進学。慶應義塾大学病院歯科口腔外科などで4年間現場経験を積み、2007年なかやま歯科医院を開院。
http://nakayama-dental-clinic.com/

INTERVIEW

この仕事をしていると、大半の人は歯医者さんが嫌いなのだと痛感します。面と向かって嫌いだとか苦手だとか言われるのはつらいものがありますが、歯の治療は痛いし長く通わなくてはいけないし、嫌がられるのもよく分かります。私が暗いとますます患者様の気が重くなってしまうので、できるだけ丁寧に状況を説明し、明るくいろんな話をするように心掛けていますね。歯医者嫌いな方にこそ、安心して通っていただける場所でありたいと思っています。

歯科技工士から歯科医師へ

中山貴博

そんな私も子供の頃は歯医者が嫌いでした。6歳の頃に初めて知人の歯科医院で診てもらった時には嫌がって大暴れしたのを覚えています。それでも知人だから作業室をのぞかせてくれたのですが、石こうを流し込んで歯の模型を作る様子を見るのは面白くて好きでしたね。小学生の頃の日記には「将来は動物のお医者さんか歯医者さんになりたい」と書いていたんです。大人になって読み返して、そうだったのかと驚きました。

実は、最初に志したのは歯科医師ではなく歯科技工士だったんです。手先を動かして細かい作業をするのが好きでしたし手に職をつけたいと思っていたので、職人のように技を磨こうと技工士の専門学校に通いました。現場経験も積み、楽しくて充実していたのですが、勤務先の大学病院で歯科医師の先生が患者さんに接する姿を見て、治療の仕事にも魅力を感じたのです。それから一念発起して歯科大に進学し、大学病院の歯科口腔外科で2年研修を受け、歯科医院をいくつも掛け持ちして地道に経験を積み重ねました。せっかく技工士になったのにまた一から受験して歯科医師を目指すのはかなり覚悟のいることでしたが、治療の現場でも技工士の立場に視点を変えることができることは私にとって大きな強みになっていると思います。

今のクリニックを立ち上げたのは、知人が「開業するならここで」と物件を紹介してくれたのがきっかけでした。もともと技工士で入れ歯を作るのが得意なので、最初はそこに特化したクリニックにしようと考えていました。しかしお子様から高齢者まで幅広い年齢層の患者様が来てくださるようになり、今は入れ歯はもちろん歯周病やインプラントなど、どんな症例でも取り扱っています。治療する上で、見た目を良くしたいのか機能性を重視するかコストを抑えるか、求めるものは患者様によって異なるので、じっくり話をして患者様にとって最良の治療方法を選んでいただきたいと思っています。そのためのツールはできるだけたくさん持っておきたいですね。

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訪問診療や分院も視野に

最初は歯医者に苦手意識を持っていた患者様が、何度も通うにつれていろんな話ができるようになったりご家族を紹介してくださったりすることがあります。そうやって信頼を寄せていただいているのを実感できたときに一番やりがいを感じますね。中には口もきいてくれずいつもむっとした表情の患者様もいらっしゃったのですが、数年通い続けた末に見せてくださった笑顔は今でも鮮明に覚えています。

開業して10年が過ぎましたが、これからも地域に密着して「この先生なら安心だね」と地域の方々に広く認知してもらえるような歯科医院でありたいですね。今後は、高齢や病気で来院が難しい方のために、私たちが訪問診療に出向くような取り組みも検討しています。また、すべての患者様に理想の治療を提供するには一つのクリニックでは限界を感じていて、分院も考えているところです。私の考えに賛同してくださる先生方と一緒に仕事ができたら幸せですね。昔、私の祖母はよくお客様を招いてはごちそうをして、精いっぱいのおもてなしをしていたんです。幼い頃からその姿を見てきたからでしょうか。私にも、人とのご縁を大切にしたい気持ちが根底にあります。

これまでいろんな人に助けられ、導かれて今の私の存在があります。たとえば、私が歯科医師になるきっかけをくださった先生、技工士をしている親友、いずれも思い返せば偶然出会っただけで、すれ違ってしまえばそれまでだったはずです。まさか彼らが自分の人生に影響を与えるなんて思いもしませんでした。こうして縁あって何十年もお付き合いが続いているのは本当にありがたいことです。これからも人との出会いを大切にしながら生きていきたいですね。

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