小鍛冶洋介
1977年生まれ、北海道出身。2000年札幌学院大学卒業後、日立建機株式会社を経て、03年株式会社小鍛冶組入社。現場代理人として約6年間従事した後、08年専務取締役に就任して経営に参画する。16年から現職。常に最新の技術と工法を追求し、基礎工事・躯体工事を総合的に管理できる専門工事業者として躍進を続けている。
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INTERVIEW

我々の業界の仕事は人なくしては成り立ちませんので、いかにお客様に信頼される社員を育成していくかということが、今いちばんの責務ではないかと考えています。例えば当社がお客様から仕事を受注した際は、必ず現場代理人という責任者を置きます。良い建物ができるかどうかは、コスト面・安全面・品質面なども含めて全体的に良い仕事をするということが大切ですが、それらは現場代理人の采配次第でいかようにも変わってくるんですね。そういった意味でも、現場代理人を中心に、人材を育てていくことが私の役目だと思っています。

小鍛冶組に入るまで 〜今の自分を作ったもの

小鍛冶洋介

小さい頃のことで今でもよく覚えているのは、当社の創業者である祖父との思い出です。社員だけではなくうちの親族も含めて会社に呼んで、大運動会を開催したりバーベキューをしたりイチゴ狩りをしたり、とにかく皆で集まる機会をたくさん作ってくれていました。常に仕事のことを考えているような人でしたが、なぜ仕事が成り立っているのかということを考えると、おのずと働く人を大事にするということにつながるからこそ、社員や家族の形を大切にしていたのだろうと思っています。

高校時代は野球部に所属し、3年生の時に春の選抜で甲子園に出場しました。良い思い出であると同時に悔しい思いもたくさん経験しており、それは今の会社経営にも生かされています。早々にチャンスをいただいたにも関わらず、心のどこかで有頂天になってしまった部分があり、監督もそれに気付いて、その後1年半の間ずっと表舞台に立つことができませんでした。この時のつらさは今も忘れられない。それからは、常にお天道様は私のことを見ていると考えるようになり、一切妥協せず最大限の努力しようと取り組むようになりました。

私が今大事にしていることの一つに、お客様からの要求に対しては絶対にNoと言わないということがあります。その思いを私に植え付けてくれたのは、大学卒業後に就職した建設機械メーカー時代の上司です。どうすればお客様の役に立てるかということをとにかく一生懸命に考える方で、お客様の懐に入ってニーズを聞き出し、それに真摯に応えるという姿勢を新入社員の時に学べたことは、今の自分にとって一番の財産になっています。ここで得た知識や経験をいずれは家業で生かしたいと思っていたところ、現場代理人として小鍛冶組の仕事をしてみないかという打診があり転職を決意。入社後は作業員の皆さんに教わりながら、自分の体を動かして仕事を覚えていきました。正直とても厳しくて、慣れるまでは本当に時間がかかりましたね。

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リーマン・ショック後の苦境を打破した「思い」

それから6年ほど現場を経験した後、自分で工事の受注を取れるようになっていたことから、先代の社長から経営に加わるように言われました。私自身は三兄弟の末っ子でしたので、それまで後を継ぐことは正直考えてもいなかったのですが、就任を先代からのメッセージと受け取り、経営者になることを意識するようになりました。しかしちょうどこの頃、リーマン・ショックの影響を受けて日本の建設業界は非常に厳しい状況にありました。当社も工事の受注高が4割も落ち、有能な人材がどんどん退職していきました。残った社員に対しても、気持ちの部分でも給料の部分でも応えることができないような時代が続き、本当に苦しかった。とにかくこの小鍛冶組という会社を1日でも早く真っ当な会社にしたいという思いで、社員のモチベーションをどう上げていくかを第一に考えました。何度も何度も現場に足を運び、自分の気持ちを伝え、「皆さんの力を貸してほしい」と呼びかけました。それを1年2年と続けるうちに社員が私の方を見てくれるようになり、期待をしてくれたことで、私もより一層がんばろうという気持ちになりました。

そうした厳しい状況を代表になる前に経験できたのはとても大きかったと思っています。社員が下を向いたり、モチベーションが下がらないようにするためにはどうしたらいいかということを考えて経営に臨めています。より多くのお客様からの工事を受注して、それを会社全体で消化して、良い仕事をして評価をいただく。この循環が成り立っていくと、おのずと会社は成長していくと考えており、仕事を通じて社員も成長していくと思っています。成果はこれから何年かたってから感じられることだと思いますが、社員の顔色を見たり発言を聞いたりすると、お客様の期待に応えられる人材が育ってきてるのではないかなと感じています。やはり人材こそが全てです。

今後もさらに人材の育成に力を入れて行きたいと考えております。特に新入社員の無限の可能性をいかに伸ばしてあげられるかということは、これからますます大事になっていくと思っています。当社ではまず建設業の基礎的な知識を身に付けるところからになりますが、現場だけではなく、取締役を専属講師とした座学も行い、仕事に関する理解をより深めてもらっています。今春入社した社員が最近少しずつ明るくなって、自分の言葉で伝えてくれるように変わってきたと感じます。少しずつ自信がつきはじめ、それが言葉に表れているのかなと思っています。私自身は、皆からは随分気さくな社長に見えているのかなと思いますが、この形が私です。飾ることなく常に謙虚でいることが、今後も代表として務めていく上で大切なことではないかと思っています。

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