笠井玲子
株式会社J-Labo代表取締役。日本航空の客室乗務員(国際線)を経験後、コミュニケーション&マナーのチーフインストラクターとしてJALアカデミーで活躍。事業部長を経て、JALグループ初の女性取締役に就任し、2000年沖縄サミット・08年洞爺湖サミット準備研修など国家的イベントでは企画段階から携わり高い評価を受ける。13年7月にJ-Labo代表取締役社長に就任。現在は人財育成コンサルティング業に従事し、幅広い活動を行っている。TV・雑誌・新聞など出演多数。
http://j-labo.co.jp/

INTERVIEW

今、AIやロボットが人間の仕事を代替し、多くの職業が消えると言われています。これからのビジネスパーソンに必要とされるのは、頭を柔らかくして、多様なセクションの仕事に対応できるマルチなスキルです。人間が機械よりも優れているのは、人の気持ちを理解する力。そして、どのような仕事も、実際にお金を出してくれるのは顧客です。常にお客様の心を考えることができる人材は、変化の激しい時代にあっても評価されるはずです。

CAから研修事業、そして起業

笠井玲子

私の社会人としてのキャリアは、小さいころから憧れていたJALの客室乗務員(CA)からはじまりました。その後、結婚、出産を経てCAを退職。JAL系列の人材教育会社のインストラクターとなり、事業部長として多数の研修を企画、グループ初の女性取締役にもなりました。JAL破綻後の混乱の中退職しましたが、私の働きぶりを見てくれていた経営者の方々の勧めで、人材教育の企画・運営、企業イメージ向上のコンサルティング等を行うJ-Laboを設立しました。

CA時代に、お客様の視点を意識したサービスの在り方を学んだこと、教育事業へ転身し、多くの企業・団体の人材育成に携わったこと、また私自身が、出産や育児と仕事との両立に苦労しながら働き、役職に就き、起業したこと、すべてのキャリアが、現在の事業に生かされています。

当社の強みは、多様な企業のニーズに合わせ、研修の内容をカスタマイズできることです。多くの企業は、自社が持つ課題が曖昧なまま、人材育成を外部委託し、パッケージ化された研修を受けています。残念ながらこれでは、研修を実際の業務に落とし込むことができません。

私たちは、経営者や社員とのコミュニケーションにより、企業の課題を抽出したうえで、その解決のために独自のプログラムを開発することに自信をもっています。たとえば「英語」。インバウンド需要の高まりで、あらゆる業種で外国のお客様の対応が迫られていますが、英語が苦手で、ほぼ話した経験がない人たちに、一般的なビジネス英語の研修はほとんど役に立ちません。 しかし、CAの仕事もそうですが、特定の業種でお客様と話す内容は限られており、中学程度の英語力でも、できることはたくさんあります。何もできないのは、単に話すのが怖いからです。当社では現在、様々な業種で、想定されるお客様との英語のやり取りをカタカナで教えるとともに、外国のお客様に対するおもてなしの心構えを教える研修を行っています。短期間の研修でも、格段にレベルアップできるとの評価をいただいています。

  • 笠井玲子
  • 笠井玲子

女性の人材育成へかける思い

女性の人材育成も、私のライフワークの一つです。現在、政府で2020年までに女性管理職を30%に引き上げるプロジェクトが推進されていますが、個々の企業に、その準備ができているかは疑問です。女性の部下の育成の経験が乏しく、どうしてよいかわからない上司、経営者の方も多いでしょう。

また、女性の側も、役職に就くことに壁を感じています。実は私自身、育児などとの兼ね合いで困難を感じ、課長への昇進を3年も固辞し続けたことがあります。今となっては「早くなっておけばよかった」とつくづく思います。先輩に良いモデルケースがないことから、キャリア形成に尻込みしている女性には、具体的なスキルを教えるだけではなく「上に上がれば、今とは違う景色が見えるよ」と伝え、背中を押してあげるような人材教育が必要なのです。

性別を問わず、能力があるにもかかわらず「私なんか…」と後ろ向きになっている人がたくさんいます。人材不足が叫ばれる中、そういった人を応援することは、社会的な要請でもあります。ビジネスパーソンが「なりたい自分」になるために、また課題を抱える企業が「なりたい会社」になるためのお手伝いをしていきたいと思っています。

ページの先頭へ