後藤僚治
北海道生まれ愛知県豊田市育ち。自衛隊員からトヨタ自動車社員になった父の元に生まれる。専門学校で電気工事士取得。自動制御設計施工の会社に10代から就職。33歳で退職、一人親方・同職業で生計を立てる。トヨタ自動車構内にて常駐メーカー責任者経験の後、2006年株式会社SP-Logic設立。
http://www.sp-logic.com

INTERVIEW

私たちが取り扱っている自動車製造設備の制御システムは年々新しくなっていて、ほんの2~3年前の技術がもう使えない、などというようなことばかりです。常に勉強しながら手探り状態で進んでいます。「できない」と言ってしまえばそこで終わりですから、困難なことでもまずは挑戦する精神で乗り切っています。規模の大きな会社になる必要はありません。高性能な技術者集団の組織を目指したいですね。

周囲に促されてなんとなく起業

後藤僚治

トヨタ自動車のお膝元である豊田市で生まれ育ちました。私の家もそうですが、周囲はトヨタ関係者の家庭ばかりでした。子供の頃はおとなしく内気な性格で、運動はそれなりにできましたが勉強は苦手でしたね。高校を卒業すると親に勧められるままに電気工事の専門学校に進学して資格を取り、あまり深く考えずに工場設備の小さな会社に就職しました。先輩は厳しくて、嫌々仕事をしていましたが、それでも叩き込まれたことが体に染みつくと自然にできるようになっていきましたね。厳しい世界で育ってきてよかったと思います。

しかし、物事を白黒はっきりさせたい性分から会社と合わなくなり、32歳の時に後先考えずに退社してしまったんです。フリーの電気工事士になってほどなく、取引先の紹介でトヨタの構内常駐責任者の仕事を始めました。納期の遅れやミスは絶対に許されないシビアな環境でしたから、休日の朝もハッと跳び起きたりして、気持ちが休まることがありませんでしたね。技術的なことよりも、運営の難しさを痛感しながら学んでいきました。心身ともに大変でしたが人脈もできましたし、この重圧を経験したから、後にいろんな仕事にチャレンジできたと思います。その後もフリーの仕事を続けるうちに安定した稼ぎを得るようになり、周囲に促されて何となく会社を立ち上げました。しかし会社経営は想像以上に大変で、しばらくは起業を後悔するほどでした。

知人の経営診断士の勧めで、月に一度経営の勉強会に参加していたのですが、ある経営コンサルティングの講演テープを聞いて心に響いた内容があります。従業員に「経営者の立場に立って仕事をしなさい」と求めるなら、支払う報酬もそれ相応でなければいけないというものです。言われてみれば当然ですが、経営側と従業員側は立場がまったく違うのです。従業員は会社のために仕事をしますが、経営のことを案じるのは他ならぬ経営者であり、経営者にはそれだけの責任があるのだと思うと身が引き締まりました。他にも、「会社は社長そのものであり、社長が変われば会社もガラリと変わる」「社員の意見ばかり聞いて肝心なときに責任逃れをするよりは、ワンマン社長であるべき」というような教えが強く印象に残っています。

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若い作業員も権利を主張できる環境を

現場では重量物や電気設備を扱うので常に危険を伴います。どの現場でも安全第一の文字を見かけますが、あれは本当に大切なことで、技術や作業効率よりも優先しなければいけません。看板を掲げるだけではなくそれを実践できる会社こそ、仕事が増えるのだと思います。
うちでは、現場責任者や上司に指示された仕事であっても、自信がなかったり危険を感じたりするなら、断る権利があるのだということを若手の作業員にいつも話しています。特に現場が切迫すると、立場上頼まれた仕事を断れないというのはよくあることかもしれませんが、そのような状況が事故を引き起こすのです。雇われる側が権利を主張できる風土づくりも、経営者としての大事な役割だと思っています。

これまで、リーマン・ショックなど数々の危機がありましたし浮き沈みを繰り返しながら今に至ります。技術の世界では、運だけでは必ずぼろが出ます。実績を積み重ねなければ社会は評価してくれませんし、本当のことも分かりません。これからも新しい技術に対応するべく勉強を続けながら、地道な積み重ねを続けていくのみです。

自分のやりたいことをやっているという意味で、私にとって仕事とは人生そのものであり、仕事こそ自分の生き様だと思っています。
生きているといろんな出来事に翻弄されますが、それを未然に防ぐことはできませんし、起こったことを悔いても仕方がありません。人生の行方なんて誰にも分からないのですから、現状を受け入れて毎日をただ一生懸命生きるのみではないでしょうか。人生は長くても100年足らずです。皆さんも、あまり細かいことに悩まず、やりたいことをちゅうちょせず実行してください。

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