SUSTAINABLE DEVELOPMENT GOALS 13 CLIMATE ACTION

提供:MS&ADインシュアランス グループ

MS&ADインシュアランス グループ シンポジウムリポート 気候変動をテーマに SDGsへの次の一歩を考える

 急激な気候変動や相次ぐ自然災害──。我々は今、このような深刻な問題に直面しており、持続可能な社会を実現する「SDGs」への取り組みが急務となっている。5月に都内で開催された気候変動をテーマにしたシンポジウムでは、有識者や専門家が登壇。SDGsをめぐる最新の動向や各国・企業の取り組みが紹介された。

ご挨拶 SDGsを取り入れた新中期経営計画で事業を展開

MS&ADインシュアランス グループ ホールディングス 取締役社長 グループCEO柄澤康喜

社会的課題解決の視点組み込み。リスクをチャンスに変える次の一歩を

 MS&ADインシュアランスグループは、今年度から新しい中期経営計画「Vision 2021」にSDGsを取り入れた。社会的課題の解決を経営目標に組み込み、社会と共に価値を創造することで持続的な成長を実現する企業のあり方を提示。特に気候変動はグループ全体として長年取り組んできたテーマの一つで、豊富なデータと緻密な分析に基づいたソリューションを提供している。

 地球規模の異常気象が社会にもたらす影響は甚大で、グローバル化を進める日本企業にとっても、ビジネスそのものの存続を左右する重大な問題だ。「気候変動をテーマにSDGsへの次の一歩を考える」と題した本シンポジウムでは、SDGsへの取り組みの最新動向を踏まえ、気候変動への対応を中心とした持続可能な社会実現に向け、講演とパネルディスカッションで意見や議論を交わしていただき、社会的課題の解決への視点を企業経営の次の一歩として取り入れ、気候変動を中心としたリスクをビジネスチャンスに変えていくための新たな発想やヒントを得る機会としたい。

基調講演 SDGs・地球を守る新しい“ものさし”

東京藝術大学 理事/自然エネルギー財団 理事国谷裕子氏

地球システムの崩壊への危機感。SDGs採択の背景

 2016年に23年間務めた番組のキャスターを離れてから、SDGsへの取り組みや取材を通して、その認知を広げる活動を行っている。

 私がキャスターを務めた1993年から20年ほどの間に日本の世帯当たり平均所得は120万円下がり、国際競争力も大きく低下した。番組ではテーマごとにその課題解決策を提示してきた。しかし、しばらくたつと、その解決策がさらに深刻な問題を社会にもたらしていることに気付かされた。

 例えば規制緩和に伴う非正規社員の増加。企業のコストは減り競争力は高まったもののリーマン・ショックにより解雇された人たちが炊き出しに頼る状況が生まれた。若い人たちがネットカフェで寝泊まりしながら、「こうなったのは自己責任だから『助けて』とは言えない」と話していたのが忘れられない。なぜもっと社会全体を俯瞰(ふかん)した解決策を提示できなかったのだろうか。そうしたことを考えていたころ、SDGsに出会った。

 SDGsは様々な課題がつながり合っていることを意識しながら、一つの解決策が他の課題の解決にもつながるという好循環を生み出そうとしている。新しい視点を得られたと感じた。しかしニューヨークから国連でのSDGs採択を伝えて帰国すると、SDGs採択を知っている人がほとんどいないことにショックを受けた。こうして私は、新鮮に受け止めたSDGsをさらに取材しつつ認知を広げる活動を始めることにしたのだった。

 2015年は、これまで向かっていた方向を変えなくてはならないという強いメッセージが世界に発せられた年だ。9月に国連で採択されたSDGsと12月のパリ協定。SDGsの課題解決とパリ協定のCO2削減目標の達成が、車の両輪となって今後の世界のあり方を規定していく。

 SDGsのアジェンダには「我々は地球を破壊から守ることを決意する」「誰一人取り残さない」と書かれ、また「我々は地球を救う可能性を持つ最後の世代になるかもしれない」ともある。人間の生活を維持してきた地球システムの崩壊が迫っているという危機感がSDGsの採択をもたらしたのだ。

SDGsは議論の段階から
実践段階へ

Planetary Boundaries ─ 地球システムの境界

図

出所:steffenら、2015,Scienceから作成

 17年9月、世界経済フォーラムがニューヨークで初めてSDGsサミットを開いた。冒頭で主催者は「これは会議の場ではない。実践の場だ」と述べ、SDGsが議論の段階から実践段階に入ったことを印象づけた。

 SDGsの達成へ向け、企業には強い期待が寄せられている。企業が持っている技術・資金・人材が目標達成をもたらすイノベーションを生み出す原動力だと考えられているからだ。

 今、世界で広がっている「ESG投資」は投資判断の基準となる企業評価の指標づくりが難しいといわれている。そうした中でSDGsの進捗を測る指標は、ESG投資の指標として応用できる可能性を持っている。SDGsの目標やターゲットは、企業を評価する「ものさし」になっていくのではないか。

 SDGsサミットの中では「社会的対話」「連携」「再結合」の3つの言葉が繰り返し語られた。SDGsの目標17である「パートナーシップで目標を達成していく」が重要なのだ。18年1月のダボス会議でコカ・コーラやペプシコーラ、ユニリーバ、ウォルマートなどグローバル企業11社が25年までにプラスチックなどすべての商品容器の廃棄をゼロにすると宣言した。この宣言の実現は、SDGs目標14、「海の豊かさを守る」の達成に多大な貢献となる。

 30年までに実現したい目標から逆算して、なすべきことを決めていかねばならない。しかし、目標達成のためには企業も個人も様々な痛みや葛藤を伴うことになる。合意形成に向けて対話を進めていくことが重要だ。

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