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先物・オプション投資の魅力 日経225先物・TOPIX先物取引開始30周年

先物・オプション投資の魅力 日経225先物・TOPIX先物取引開始30周年

現物とは異なる収益機会として注目が高まる先物・オプション取引。
個人投資家の参加も拡大する先物・オプション取引の魅力や投資戦略を紹介する。

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  • 日銀総裁・財務相が教えてくれた「ドル円」の読み方

    武部 力也
    岡三オンライン証券 投資情報部長 兼 シニアストラテジスト
    2018年8月10日

    武部 力也氏 岡三オンライン証券 投資情報部長 兼 シニアストラテジスト
    武部 力也氏
    岡三オンライン証券
    投資情報部長 兼 シニアストラテジスト

    筆者の外為市場デビューは1989年。以来、日経平均を読むうえで気付いた点が一つ。それは日本経済のバロメーター日経平均株価への影響を念頭に、「時の政権」「日銀」「財務省」が市場対話をもってドル円相場の方向性を教えてくれることである。

    逆に言うと、ドル円への影響を鑑みて日経平均を上下させる、とした話を兜町や日本橋本石町、霞が関や永田町関係者から聞いたことはない。我が国が対米関係・国際協調枠組みを重視し、日経平均のために"円安・円高"を"抑制・助長"してきた場面を幾度となく感じてきた。これらを踏まえれば、日本経済(≒日経平均)のために日銀・財務省がドル円の強弱を示唆してきた、との見方につながる。本稿では日経平均への投資戦略を探るうえで、日銀総裁・財務相が筆者に教えてくれたドル円の読み方を紹介したい。

    日銀と財務省の着眼点

    筆者が安倍首相の経済ブレーン、浜田宏一氏(内閣官房参与)に初めて会ったのが2015年。当時、2国間同一商品の価格を比べて算出される為替(交換)レート、いわゆる購買力平価からみたドル円水準、円の価値を気にしておられた。同年6月の衆院財務金融委員会で日銀の黒田総裁は「実質実効為替レートがここまできているということは、ここからさらに実質実効為替レートが円安に振れることはありそうにない」と答弁。アベノミクスの理論的支柱である浜田氏の見解に類していると筆者は理解している。

    実質実効為替レートとは、貿易相手国との貿易取引量で加重平均し、インフレなどの物価調整を施したものだ。黒田発言があった2015年6月の円の実質実効為替レート(2010年=100)は67.86と1972年以来の安値圏。直物(じきもの)為替レートでの東京市場ドル円最高値は125.28円だった。(図表1)

    図表1 ドル円と実質実効為替レート指数の推移
    図表1 ドル円と実質実効為替レート指数の推移
    ※日銀データから岡三オンライン証券投資情報部が作成

    では直近はどうか。2018年6月の実質実効為替レートは74.85、東京ドル円高値は110.02。対米ドル以外、他複数通貨と貿易額なども加味して相対的な通貨実力を算出しているため、特に米側からの非難に当たらない水準でもあり、まだのりしろがあると読める。要は円独歩安が進行し2015年6月時の実質実効為替レート67.86に近接したら、米国、国際協調関係国が日本に物申す可能性がある、と筆者は考える。

    具体的な「ドル高・円安」水準は、2017年2月、麻生財務相が「今後とも、日本が金融緩和で円安だなんて言われたって、(中略)まだ120円まで行っていませんから、うちは円安と言われる覚えはない、まだ円高の方なんだ、ということが言える」と答弁。財務相が為替水準に言及するのは異例だが、2018年3月にも参院財政金融委員会で、「(長期金利について)これまでの歴史をみると米国との金利差が3%に達すると必ずドル高・円安に振れる。例外は一つもない」と明言。つまり実質実効為替レートと日米金利差を前提とし、関係諸国がクレームを言ってきても整合性があれば日本は突っぱねる覚悟がある、しかし、危険水域は「120~125円近傍」、と読めそうだ。

    対して「ドル安・円高」の警戒水準はどこか。2018年6月の日銀短観・想定為替レートで製造業は1ドル=105円97銭を想定。同水準はベンチマークだ。

    数年前だが筆者は浜田内閣官房参与から「『105~110円より円高はそれほど進まないだろう』『日本は円が100円まで急伸した場合介入をすべきだ』『日本は為替介入の権利がある』と発言をしたら(某筋に)叱られたよ……」とのエピソードを直接聞いたことがある。某筋がどこかはつまびらかにしていただけなかったが、米国側である印象を受けた。米当局としては為替操作をあからさまに発言されることは看過できないとの姿勢にも映るが、"余計なことを言わず"、"実弾介入さえなければ"、同盟関係上、黙認のケースもあり得る、とのウラ読みもできる。2018年7月に日銀黒田総裁は、現在の金融緩和策を一部修正したが長期継続を明言し、政府も持続性強化と評価している。物価目標の達成見込みは少なくともあと3年先となった。現政権下でデフレ回帰≒円高進行を甘受するとは到底思えない姿勢だ。

    結論は1ドル=105~120円程度が現実か

    そうなると当面のドル円上下枠は前出数字から105~120円近傍が推考され、「熱くもなく冷たくもないスープ」のような「Goldilocks(適温相場)」に委ねられることとなろう。まれに「年内『1ドル=50円』あるいは『200円』」、とした見解も聞いたりするが、年間の平均変動幅を越えたエキセントリックな動きを時の政権、日銀、財務省が看過した記憶は筆者にはない。

    日経平均の上伸性期待から、輸出増/円安志向は支持するがドル円相場が対米関係・国際協調枠組みから解き放たれない現実を踏まえると、そろそろ日経平均もドル円離れをして独自の潜在能力を覚醒させないといけない時期、とも見ている。

    図表2 ドル円と日経平均株価の推移
    図表2 ドル円と日経平均株価の推移
    武部 力也
    岡三オンライン証券 投資情報部長 兼 シニアストラテジスト
    1989年日本大学法学部卒業、東京短資入社。トウキョウフォレックス上田ハーローで外為ブローカーを務めたのち、2009年岡三証券入社。12年から18年まで東京金融取引所為替・株価指数証拠金市場運営委員会委員。東洋大学では社会人基礎力特別講師を務めた。その他、ラジオやテレビに多数出演。著書に『勝ち残りFX』(扶桑社)。趣味は剣道、映画鑑賞。