マザーズ投資の魅力 東証マザーズ指数先物は2017年7月19日で1周年を迎えました

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マザーズ投資の魅力 東証マザーズ指数先物は2017年7月19日で1周年を迎えました

マザーズABC

5先物の活用で一段と強い投資家に
~マザーズ先物を活用した3つの戦略~

太田 忠氏
太田忠投資評価研究所 代表取締役社長

2017年7月11日

太田 忠氏 太田忠投資評価研究所 代表取締役社長

太田 忠氏
太田忠投資評価研究所
代表取締役社長

先の第4回では『マザーズ銘柄 投資の鉄則~テーマ性より利益重視で~』と題して、個別銘柄の投資アプローチについて紹介した。その中で、私はこのように述べた。

『成長性に期待して成長株を買う投資家にとって一番悩ましい問題は、「高成長&短期」の場合において頻繁に株価が大きく下落するという、連動性のない局面に遭遇することだと思う。腰を据えて長期投資に徹するのならほったらかしでもよいが、さりとて株価が半値になるような事態に直面すれば、どんな投資家でも心穏やかではないだろう……』

実はこうした場合に、「先物」という便利なツールを組み合わせた効果的な投資手法がある。

マザーズ先物の登場でこう変わった……

従来、個人投資家が最も困るのは「急落時」に機動的な対処ができなかったことだ。保有株があっという間に下落してしまえば、投げ売りするのにちゅうちょしてしまい、わずか数日のうちに大幅下落に見舞われる。現行のルールだとマザーズの個別企業の信用売りはほとんどできず、保有株を売らずに同一銘柄を売り建てるといった東証1部銘柄でよく活用される「つなぎ売り」の投資手法も使えない。

ところが、2016年7月の東証マザーズ指数先物の登場で投資家を取り巻く景色が大きく変わった。「売り」の選択肢ができたのが最大のメリットであるが、先物によって次の3つの投資戦略が可能となった。

① 保有株のヘッジ
② 市場全体へのリアルタイムの「売り」「買い」
③ アービトラージ(裁定)取引

ただし、先物取引は現物株とは異なり、証拠金取引のため短期決戦で臨むのが賢明である。

マザーズ先物活用法その① 保有株に対するヘッジ

現物株を保有する場合、成長株であっても相場局面によって大きな下落を被ることがある。ちなみに直近においてマザーズ市場が大きく下がった局面は2016年の5月から6月にかけての動きである。トップ3は5月18日の-7.8%、6月14日の-10.3%、6月24日の-8.5%で、平均-8.9%の下げ率を記録している(図表1)。

同時期において人気を集め、時流に乗っていた銘柄の3日平均の下げ率を見ると、そーせいグループ-14.3%、インベスターズクラウド-12.7%、モルフォ-13.4%、ロゼッタ-13.7%などとなっており、約-13%の下げである。要するにベータ値(市場平均に対する個別銘柄の価格変動の大きさ)が高いと下げ率も大きい(図表2)。

ヘッジは自分の保有銘柄の投資金額と同等の先物を売るのが基本だが、時流銘柄保有の場合は同等金額の先物では間に合わず、1.5倍~2倍の先物の売りで対処する必要がある。図表3は、A株、B株、C株の3銘柄を保有して-13%の下落率となった場合の損益と、マザーズ市場が9%下げた時に等金額、1.5倍、2倍のヘッジをしていた場合の損益を比較している。1.5倍のヘッジで現物株の損失がほぼ解消できる。個別銘柄のベータ値を計算するとより正確なヘッジができるが、1.5倍は変動率の高い銘柄の基本値と考えていいだろう。

図表1 東証マザーズ指数の推移

図表1 東証マザーズ指数の推移

図表2 マザーズ下落時における「時流に乗っていた銘柄」の下落率

図表2 マザーズ下落時における「時流に乗っていた銘柄」の下落率

図表3 東証マザーズ指数先物を使ったヘッジ戦略の例

図表3 東証マザーズ指数先物を使ったヘッジ戦略の例

マザーズ先物活用法その② 市場全体の売り買いがリアルタイムにできる

〈先物買いの場合〉
「個別銘柄はよく知らないがホットなマザーズ市場に乗りたい」という場合は先物を買うことで、短期的なインデックス運用と同じ感覚で投資できる。最大のメリットは個別銘柄リスクを受けないことだ。個別銘柄では突然の下方修正や悪材料の発表で株価が急落することがあるが、先物はマーケット全体への投資となるためその影響をほとんど受けない。

〈先物売りの場合〉
一方で「ホットなマザーズ市場が崩れ始めた……これはチャンス!」と思えばタイムリーに先物を売ればよい。「利益確定売りの殺到&割高是正の激しい下げ」に乗じて先物を売っていく手法である。相場下落で利益を得る手法としては非常に有効である。

ただし、自分の思惑と反対の値動きとなった時に大きな損失を抱えないように逆指値を活用するなどしてリスク管理をしていただきたい。図表4は2016年のイギリス国民投票開票日の6月24日の大きな値動きの中における大きな損失を抱えた「買い」「売り」の例と、リスク管理をしていた場合の小さな損失の例である。

図表4 2016年6月24日のマザーズ先物の動き

図表4 2016年6月24日のマザーズ先物の動き

マザーズ先物活用法その③ アービトラージ(裁定)取引

〈修正MN倍率によるアービトラージ〉
最も一般的なアービトラージは「現物株の買い」と「先物の売り」を組み合わせてスプレッド(価格差)利益を得る手法である。ただし、マザーズ先物の場合、この手法を使うには十分な流動性が確保されているとは言い難く不向きである。そこで別の手法を紹介したい。

マザーズ市場と日経平均株価は異なる動きをすることが多く、それに着目した修正MN倍率によるアービトラージである。図表5はマザーズ指数vs日経平均によるアービトラージで、①の局面が「マザーズ先物の買い+日経先物の売り」、②の局面が「マザーズ先物の売り+日経先物の買い」である。さらに発展させたのが図表6であるが、マザーズ指数を100倍した数値を日経平均で割って「修正MN倍率」とした動き。ほぼ4~7倍のレンジで動いていることがわかる。このレンジを利用してアービトラージをすれば、有効な投資手法になりうる。

図表5 マザーズ先物を使ったアービトラージの手法

図表5 マザーズ先物を使ったアービトラージの手法

出所:日本取引所グループ

図表6 修正MN倍率の推移とアービトラージ

図表6 修正MN倍率の推移とアービトラージ
太田 忠氏

太田 忠
太田忠投資評価研究所 代表取締役社長

1988年関西大学文学部仏文学科卒。第一證券(現、三菱UFJモルガン・スタンレー証券)、DBモルガン・グレンフェル・アセット・マネジメント(現、ドイチェ・アセット・マネジメント)、ジャーディン・フレミング証券(現、JPモルガン証券)、JPモルガン・アセット・マネジメントを経て、2009年太田忠投資評価研究所設立。日本の中小型株市場に一貫して携わり、25年以上もの経験を持つ。

1988年関西大学文学部仏文学科卒。第一證券(現、三菱UFJモルガン・スタンレー証券)、DBモルガン・グレンフェル・アセット・マネジメント(現、ドイチェ・アセット・マネジメント)、ジャーディン・フレミング証券(現、JPモルガン証券)、JPモルガン・アセット・マネジメントを経て、2009年太田忠投資評価研究所設立。日本の中小型株市場に一貫して携わり、25年以上もの経験を持つ。

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