海外投資家と個人投資家 投資における着目点の違い

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個人投資家が外国人投資家に対して抱いている誤解

■伊藤 井上さんは昨年までファンドマネージャー、ストラテジストとして活躍された一方で、個人投資家に対する啓蒙活動も行われてきましたが、日本の個人投資家が外国人投資家に対して抱いている誤解のようなものはありませんか。

■井上 たくさんあるのですが、一つ挙げるとすると、外国人投資家の先物や現物と先物のサヤ取りである裁定取引の影響によって、相場が短期的に乱高下することはありますが、現物株については、基本的に銘柄の入替え割合(ターン・オーバー)は高くないということです。ロング・オンリーのファンドや年金資金でこの比率が30%を超えることはまずありません。つまり7割以上の銘柄については継続保有しているということです。

スプリングキャピタル株式会社 代表 チーフ・アナリスト 井上哲男氏

 一方で、日本の個人投資家の投資スタイルは両極端になっていると思います。一つはNISA(少額投資非課税制度)導入により、PBRが低く配当利回りが高い銘柄を拾うやり方で、これは、枠の使いきりもあって、昨年11月中旬から年末にかけて活発化しました。もう一つは、総ディーラー化です。QUICKと金融財政事情研究会がネット証券6社の月次の売買代金を集計しているのですが、信用取引における担保制度が変更されてから、この金額が通常20兆円から25兆円程度で推移しています。ピンと来ないかもしれませんが、これは、国民ひとり当たり平均で月間15万円から20万円信用取引の売買を行っている計算です。4人家族で60万円から80万円になります。あくまでもネット証券の金額ですし、ネット証券でも集計に入っていない証券会社もありますので、実際の金額はさらに大きくなります。昔から、通常の現物売買の2倍以上信用取引が行われてきましたが、このところ、やや短期的な売買志向が強いという印象を受けます。
 もう少し中・長期的な視点から銘柄を発掘してほしいと思いますが、そのためには企業もIRに対する意識をもっと高める必要があると感じます。自社の方向性、成長性といった定性面だけでなく、同業他社や上場企業全体に対する自社の経営指標計数の総体的な優位性を示すなどの、定量的な面での充実が必要であり、そのことが結果的に投資家と企業の距離を縮めること、言い換えれば、日本株市場の健全な成長につながると思っています。

株式会社プロネクサスIR事業部担当部長 伊藤直司氏

■伊藤 なるほど、「ROEで8%を目指す。配当性向は30%を維持する」と述べるだけでなく、それが会社として目指す方向性に沿ったものであるということと、数字目標の理由を明確に示すということですね。IRの現場にいる者として貴重な意見をうかがった気がします。どうも有難うございました。

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Profile

スプリングキャピタル株式会社 代表 チーフ・アナリスト 井上哲男氏

日本株における需給分析の第一人者として知られる。保険会社における有価証券運用を経て、UAMジャパン・インク株式運用部長に転身。その後、外資系投資顧問などでストラテジスト、CIOを歴任後、昨年から現職。企業のIRコンサルティング、財務コンサルティングも行っている。

スプリングキャピタル株式会社

株式会社プロネクサスIR事業部担当部長 伊藤直司氏

早稲田大学法学部卒業。1980年HOYA(株)入社。国内外の営業を経て1995年広報IR部門。2008年HOYAグループIR・広報室長。2013年米国Institutional Investors誌の「ベストIRプロフェッショナル」精密部門第1位に。同年秋(株)プロネクサスに転職。

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