アジア航測とSDGsとの深い関わり アジア航測とSDGsとの深い関わり

NHKの情報番組「ブラタモリ」でもしばしば登場した赤色立体地図は、2002年にアジア航測が発明した技術で、空からのレーザー計測により地形の凸凹を詳細に再現する。航空測量は国土の保全や社会インフラに密接した存在で、そのビッグデータは私たちの暮らしにも大きな影響を及ぼしている。公共・公益サービスに関わるプロジェクトで長年の実績を持つアジア航測は、環境省のエコ・ファースト企業に認定された環境先進企業でもある。国連のSDGs(持続可能な開発目標)を軸に社会貢献を意識する同社の取り組みと、企業としての独自性について、代表取締役社長の小川紀一朗氏に日経CNBCの瀧口友里奈キャスターが聞いた。

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精緻な空間情報を有効に活用する 精緻な空間情報を有効に活用する

■瀧口小川社長が着けているネクタイ、素敵な絵柄ですね。

■小川これですね。航空レーザー測量のデータを可視化する技術で特許を取得した「赤色立体地図」がモチーフになっています。北海道の洞爺湖周辺を表していて、ちょうど下に見えるのが有珠山の噴火口です。

■瀧口おもしろいですね。いったいどのような特徴がある地図なのですか。

■小川地形には凸凹がありますが、その度合いを視覚的に捉えるにはどうすればよいかと、当社の技術者である千葉が考案したものです。急峻になるほど赤く、平らなところは白くして、谷は暗くし、尾根は明るくします。明暗と赤白を重ね合わせることで、立体感を表現しています。

アジア航測株式会社 代表取締役社長 小川紀一朗氏

アジア航測株式会社
代表取締役社長
小川紀一朗氏

■瀧口勾配の角度まで視覚的に表しているのが画期的ですね。千葉さんもそうですし、小川社長も博士号を持ち技術畑を歩まれています。アジア航測は技術を愛する会社といったイメージを個人的に持っています。

■小川確かに社員の7割以上が技術者ですし、より高い技術力でお客様に愛される会社を目指しています。

アジア航測株式会社 代表取締役社長 小川紀一朗氏

アジア航測株式会社
代表取締役社長
小川紀一朗氏

■瀧口そもそもアジア航測は、どのような経緯で設立されたのですか。

■小川元々、満州の開発、例えば鉄道敷設や発電所の建設などのために航空写真測量をしていたメンバーが1954年(昭和29年)2月に設立した会社です。1952年にサンフランシスコ講和条約が締結されたことで、ようやく日本人も日本の空を飛ぶことが許されるようになりました。橋や道路、港湾といったインフラづくりに不可欠なのが測量です。高い精度で効率よく行う上で最先端の技術が航空測量だったわけです。

日経CNBCキャスター瀧口 友里奈

日経CNBC
キャスター
瀧口 友里奈

■瀧口まさに戦後の復興の象徴ともいえる事業ですね。航空測量は、一般の方にはあまりなじみがありません。設立から65年にわたる発展の道筋を聞かせてください。

■小川当社は創業当時から常に最先端の技術に立脚して企業活動を行うことに努めています。創業翌年の1955年(昭和30年)には早くも研究部を設け、世界に先駆けてコンピュータを用いた解析航空三角測量法の実用化などもしています。航空測量のターニングポイントは大きく2つあります。1つは測量そのものの技術の進歩、とりわけ80年代以降のデジタル化の波です。空間情報は、様々なレーザー計測機や高性能カメラによってより精緻に捉えることができます。いまや高度1000メートルから地表の10センチものを撮影することができるのです。

 また、測量する高度に応じて人工衛星やヘリコプター、ドローン、自動車といった異なる方法で計測するマルチプラットフォームが進んでいます。【図1】

【図1】マルチプラットフォームによる測量革新(センシングイノベーション)

■瀧口最近話題のドローンも登場しているのですね。

■小川例えば、森林に住む動物の生態を観察するにはドローンが適しています。実際に鷲や鷹といった猛禽類の巣を撮影しヒナ鳥を確認するような仕事もやっています。

■瀧口測るものもずいぶんと多様になっているのですね。

■小川そうですね。地表のみならず地下空間の屋内測位も進み、得られる空間情報は実に多種多様です。そこで問われるのは、空間情報をいかに有効に活用するかといった考え方。つまりコンサルティングです。これが2つ目のターニングポイントで、いまアジア航測は「空間情報コンサルタント」を目指しています。

■瀧口コンサルティングの思考は、どういった分野に応用できるとお考えですか。

■小川自動運転といった最新分野はもとより、伝統的な産業にも生かせるはずです。林業は典型的な事例です。いまや山にある木の種類や本数、またその1本1本の直径や高さまでレーザーによって計測できます。そのビッグデータにICTを結び付け、需要に応じて適切な木材を選び、流通させ、効率的に収益を上げるといったスマート林業が実現できるのです。

■瀧口これまで職人さんの知恵に頼っていたような分野も精緻な空間情報の生かし方で大きく変えられるかもしれませんね。

■小川まさにチャンスは山のようにあります。

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Profile

アジア航測株式会社 代表取締役社長 小川紀一朗氏

北海道大学大学院修了。アジア航測株式会社入社。一貫して砂防調査、計画分野を中心に流砂系における土砂動態現象の解析業務に携わり、2011年から代表取締役社長となり現在に至る。技術士(建設、森林、応用理学、総合技術監理)。博士(農学)。
・主な著書:「土砂災害調査マニュアル」(1988年、鹿島出版会;分担執筆)、「応用地学ノート」(1996年、共立出版;分担執筆)、「斜面防災・環境対策技術総覧」(2004年、産業技術サービスセンター;分担執筆)、「地文学事始・日本人はどのように国土をつくったか」(2005年、学芸出版社;分担執筆)、「家族を守る斜面の知識」(2009年、土木学会・丸善;分担執筆)、「砂防学」(2019年、朝倉書店;分担執筆)。

日経CNBC キャスター 瀧口 友里奈

神奈川県出身。小学生時代をアメリカで過ごす。東京大学卒。在学中「現役東大生が作ったFXノート」出版。NHK教育「100分de名著」MC(2011年)、ラジオNIKKEI(2014年)、BS朝日「CNNサタデーナイト」MC(2015年)、テレビ東京「Newsモーニングサテライト」(2014年〜2017年)。2017年4月から日経CNBCに出演。